2.長期契約ザーメンゲップ
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はふぅ…。ベッド、最高でぇす…。あ、宿までの移動、ありがとうございました。…で、実際どうでしたか? 私の魔法のすごさ、思い知ったことでしょう!
ではさっそくこちらの契約用紙にサインを…って、え? いらない? いやいやいや、ちょっと。面白いことおっしゃられますね! あのような素晴らしい力を見せつけられて怖気づいたのですねぇ無理もないでしょう! あれはなかなかお目にかかれる魔法ではありませんからね…。時空の裂け目を生み出し、そこから力を得て対象を内部から増幅(ぞうふく)させ破裂させるものですから。使い続けることで時間軸(じかんじく)を歪ませてしまう可能性が、とも噂されてる魔法ですが心配ありません! 今までそんなことなかったので大丈夫ですよ!!
…だから、だから私を見捨てるのはやめてくださいぃ…。も、もう他に拾ってくれるパーティーがないんですよぉ!! お願いしますぅ~! なんだってやりますから、何卒、なにとぞ~~~!! 条件付き、ですか…!? わかりました! 私なんでもやるんで、よろしくお願いしますっ! で、その条件とは一体…? 準備?するから待っとけ…ですか。わかりました。ではこのまま待っておきます。
はー。でもよかったです。無事にパーティーにしてもらえて…。問題は、その条件というのがエッチな内容じゃないことを祈るばかりです…。うぅ…。自分から言い出した手前、いまさら引けないですからね…。あ、戻ってこられましたね。何を準備されてたんですか?? このビーカーに入ってるものを飲め、ですか? な、なんか怪しいですね…。毎日出すから飲んでほしい、というのが条件ということですね?
…ちなみにこの中身はなにか聞いてもよいですか? ザーメン?…というものなのですか…聞いたことありませんね。主成分が謎に包まれていますが…どれどれ。匂いはっと。スンスン…。あ、なんかこう、海鮮系というか、あれですね。クラーケンの胴体(どうたい)部分の香りに似てる気がします。でも個人的にはキライなにおいではないので、大丈夫そうですね…。お味のほうは…ちょっと失礼。(ペロッ)あー、ちょっと苦みがありますが、大人の味といった感じですね。これなら飲めると思います。舌もピリピリしないあたり、毒も特に入ってないようなので…。
わかりました。その条件、快(こころよ)く承諾(しょうだく)致します! これからもパーティーメンバーとしてよろしくお願いします♪ では、さっそくこのビーカーに入ってるザーメン?をいただきますね。あーーん…
《ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ…ゴックン♪》っと…。ごちそうさまでした♪ オトナな味わいでしたが、美味しかったですよ♪ まぁ私は学生時代貧乏だったので、なんでも食べれるってのが特技だったのが功をなしてるのかもですが…。
あっ、ごめんなさい。ちょっと席を外しますね…。え、いやあの、少々“曖(あい)気(き)”が出そうなので、部屋の外でしようかと思いまして…。曖(あい)気(き)の意味ですか? 自分で調べてもらえたらありがたいのですが…っと、そんなこと言ってたら、あ、もう出そう。す、すみません、ここで出してしまいm《ゲェェェェェェェップ!》…ごめんなさい。はしたない姿見せてしまいました…。曖(あい)気(き)というのは、その、俗に言うゲップのことでして…乙女として恥ずかしい限りです。うぅ…。あのザーメンとかいう飲み物になにか細工しましたか? まぁ、いいでしょう…。次からはその、気を付けるので、またよろしくお願いします!
あ、そういえばまだお名前お伺いしてませんでしたね。“サトウ・カズシ”というお名前なのですね。では、改めまして。これからよろしくお願いします、カズシ♪