プロローグ。いよの自己紹介
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;Track1 プロローグ。いよの自己紹介
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;1/前
【いよ】「蓄音(ちくおん)レヱル
いよかん鉄道 甲1形1号(こういちけいいちごう)蒸気機関車専用レイルロオド専用レイルロオド いよ。
いよの自己紹介ぞなもし~」
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;1/前 (マイクに背中)
【いよ】「おおおおお! いいお部屋ぞねー!!」
:環境音 室内空調(エアコン) FI
【いよ】「あんまり立派すぎてびっくりぞなもし。
ここ、あの坂元良馬(さかもとりょうま)が泊まったゆーお部屋じゃあろ」
【いよ】「インタビューなんて、そこいらの喫茶店ですみそーなもんじゃけど、
こに上等なお部屋用意してくれるんやから、全国紙の大新聞っていうのはやっぱり大したもんぞね。
なぁちびちゃん――あ!」
【いよ】「ちびちゃんじゃないぞね。マスターぞね。
いよ、おばあちゃんやけん、ついついついつい、ちびっ――んんっ!
マスターがこどもだったころのことを懐かしく思い出してしもうて。
いけんねぇ――あ」
;SE 階段を登ってくる足音
;1/前 ‘ちょうど”からマスターの横に並んですわって →;3/右
【いよ】「男の人の足音――
ちょうど時間やけん、きっと記者さんが来たんよ」
;3/右(マイクと同じ視線方向)
【いよ】「『記者さんぞねー? そげならはいってつかーさい』」
;SE ふすま開く→畳足音数歩→座り
【いよ】「はじめまして、記者さん。ワシはいよかん鉄道の――
って……(呼吸音)――もしかして、いよと会(お)うたことあられますかね?」
【いよ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ああ、そげなら、きちんと自己紹介しましょおな」
【いよ】「ワシはいよ。
いよかん鉄道甲1形1号(こういちけいいちごう)蒸気機関車専用レイルロオドの、いよぞなもし。
で、"こんな"が いよのマスター――(呼吸音)(呼吸音)――
ああ(苦笑)――『こんな』ゆーんは、伊予弁で『この人』ゆー意味ぞね」
【いよ】「こんながこの人、あんながあの人。
じゃけん、外国人のアンナさんを指差して名前をおしえよーゆーたら、
‘あんながアンナさん”になりよるぞね。あははっ!」
【いよ】「ほんで、マスターといよにインタビューって……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――
ああ……大廃線(だいはいせん)……
(呼吸音)(呼吸音)――そがいな話なら…………(数秒考え込む呼吸音)」
【いよ】「んー……いよは日ノ本で一番めぐまれちょるレイルロオドかもしれんねぇ。
‘大廃線”の影響なんて、いよのまわりにはちくともなかったようなもんやけん」
【いよ】「そらニュースやらなんやで日ノ本中の鉄道事業者が次々と廃止になって、線路がばりばり剥がされてしもーたゆーんは、もちろん聞こえてきたよったよ。
けど、いよとマスターの走る待山(まつやま)市内線は、大廃線の影響は、まっことちょびっとも受けんかったんよ」
【いよ】「待山市内から堂後(どうご)温泉に行く観光客さんらを送って、迎えて、送って、迎えて――
観光客さんにマドンナ言われて、『わしの名前はいよぞなもし』って訂正して……
いよ、100年もまえから、ちくとも変わらずず----っとそれしかしておらんけん……
大廃線について話せるようなことは、なーんもないぞね」
【いよ】「あ、『マドンナ』ゆーんわ、小説の登場人物の名前ぞなもし。
待山を舞台にした、あの有名な‘嬢ちゃん”。
いよ、製造が髑国(どっこく)で金髪やけん、すーぐマドンナよばれてしまうんよ」
【いよ】「けど――(呼吸音)(呼吸音)――記者さん、‘嬢ちゃん”読んだことあられますかね。
マドンナは、あら尻軽で性悪な女ぞなもし。
やけん、いよはマドンナ呼ばれるんがイヤでイヤで仕方ないけん、いちいち訂正しとるわけぞね」
【いよ】「ほじゃけん、そげなインタビューはいよにするより、もっとあちこちで走っちょったよーな――え?
(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――沿線の紹介……(呼吸音)(呼吸音)――
待山市内線の沿線の魅力を、音で紹介」
【いよ】「ご当地の音を紹介することで、沿線の、ひいては鉄道そのものの魅力を――(呼吸音)(呼吸音)。
ふんふん、『蓄音レヱル』いう記事にまとめて、全国紙の新聞で紹介してもらえる。
おおおお! そりゃがいに面白そうな話ぞなもし」
;3/右 (マイクを向いて)
【いよ】「マスターが乗り気なら、いよは協力したいんじゃけんど……(呼吸音)(呼吸音)――
あはっ! なら協力するぞね! あ、けど」
;3/右 (マイクと同じ視線)
【いよ】「待山市内線は、待山の町中をぐるぐるまわるか、堂後(どうご)温泉いくかそれだけの路線やけん……
どこいっても人やら車やらの音がどーしても聞こえてきそうぞね」
【いよ】「じゃけん…………あ! ね、マスター! 耳かして、耳」
;3/右 (耳打ち/ひそひそ)
【いよ】「同じ愛姫(えひめ)ゆーて、猫島(ねこしま)のこと紹介するんはどげじゃろか。
せっかくこれからいくんじゃし、それで大丈夫なら一石二鳥……(呼吸音)(呼吸音)――ん!!」
;3/右 (マイクと同じ視線)
【いよ】「あんなぁ記者さん。マスターといよ、これから猫島に猫見にいくんよー。
猫島いうたら、愛姫で一番の観光地いうても大げさじゃないところぞなもし」
「ほじゃけん、沿線とは少し外れてしまうけれども、猫島の音を紹介して。
そこから愛姫の、待山・堂後、いよかん鉄道の紹介につなげる記事を書いてもらういうんは……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」
【いよ】「うふふっ! オッケーならなーんも問題ないけん、喜んでお話うけさせてもらうぞね。
ん? ……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ははぁ、
紹介する音をがいに聞けるよう、ヘッドホンかイヤホンを――わかったぞなもし」
;3/右 ”ん”から →;1/前
;$=SE両耳ガサゴソ
【いよ】「ほんならマスター、いよがつけてあげるけん――
ん――(呼吸音)(呼吸音)――
$
――これでいいぞね」
;1/前 “まずは”から →;3/右
【いよ】「ちゃんと聞こえるか試すぞなもし。
まずはこっち――ん――」
;3/右
【いよ】「右耳~~」
;7/左 (耳打ち・囁き)
【いよ】「ひだりみみ~」
;7/左→;1/前→;3/右
【いよ】「ぐるーっとまわって~」
;3/右(ふきかけ)
【いよ】「(ふーーーーーーーーーーーーーーーーーっ)」
;1/前 “ほんなら”から
【いよ】「あはは、よー聞こえてるみたいでなによりぞね」
;3/右 (マイクと同じ視線)
【いよ】「マスターといよ、いい音がないか探してくるけん。記者さん、報告楽しみにまっとってねぇ!!」
;3/右 (マイク向き。手をにぎる距離)
【いよ】「ほんならマスター! いよと猫島! レッツゴーぞねーっ!!」
;環境音 F.O.