音集め猫集め計画 (猫島行きフェリー内)
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;Track2 音集め猫集め計画 (猫島行きフェリー内
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;環境音 猫島行きフェリー(声じゃまするボリュームで
;9/前遠
【いよ】「おおお! 速い! フェリー、こげにスピードでるんじゃねえ!!!
風がびゅうびゅう! 波がざばざば! 大迫力で気持ちいいぞねー!!」
【いよ】「けど、けどっ!
こりゃめーっちゃくっちゃにうるさいぞなもしーーーーっ!」
【いよ】「フェリー、ここまでうるさいなんて夢にも思うとらんかったぞね。
これじゃあマスターとろくろく話も――ん? (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――」
【いよ】「いよのこと呼んどられる? 勘違い?
どっちにしても、もっと近くにいかんとなーんも聞こえんぞなもし!」
;SE いよ足音 ;9/前遠→;1/前→;7/左
;7/左(近接)
【いよ】「――ふう。これくらいくっつけば大きな声ださんでも会話できるぞね。
っていうことでマスター、いまのうちから会議しとこー、作戦会議。
インタビューのバタバタで、宿ではできんかったけんね」
【いよ】「なにせ猫島、いきのフェリーと戻りのフェリーとの間は8時間。
長いゆーたら長い時間で、短いゆーたら短いよーな時間でしょお」
【いよ】「ほじゃけんきちんと計画たてとかんと、猫ちゃんたちと遊ぶんも、音探しも、どっちつかずの中途半端になってしまいそーぞね」
【いよ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん。記者さんが猫島のことよーく知ってたのは助かったねぇ。
いよも下調べはしとったけんど、準備いろいろたりとらんかったって、おかげで気付かせてもらえたぞね」
【いよ】「あの有名なンョッハーさんでお買い物しとった分だけでなく――えへへ、宿のおばあちゃんも、相談したらいろいろ親切にしてくれたけん、多分、準備すっかり整ったでしょお」
;SE バッグがさごそ
【いよ】「マスターのためのおにぎり3つに、猫ちゃんのためのいりこの大袋に、おばあちゃんのくれたいよかんふたつ。
ペットボトルのお水もマスターの分もいよの分も。しっかり3本ずつ買うたし、いよの石炭もたぁんともってきてあるし――あ!」
【いよ】「ねこじゃらしみたいなのも持ってくればよかったかも。
猫島にそういう草生えてるかねぇ。生えてなかったら……(考え込む呼吸音)――ああ!」
【いよ】「これこれ。スカートの飾り紐つこーて遊ばせてあげればいいぞね。
噛んだり引っ掻いたりもしされちゃっても、交換すればすむだけのもんやけん。
うん! ほんなら猫ちゃんのおもちゃもこれで大丈夫、っと」
【いよ】「あとは……あ! ピクニックシートみたいなもの持ってきとったらよかったねぇ。
ほーたら、おべんとのときとかぽかぽかするとこに広げて、おひるねとかして……
運がよければ、へへ、猫ちゃんたちが一緒に寝てくれるかもしれんかったんに」
【いよ】「(呼吸音)(呼吸音)……あ。ん。そらぁそうやね。
どんなに準備して計画をねったところで、遊んでもらえるもらえんは、猫ちゃんの気持ちひとつやもんねぇ。
それに……別にこのまま、草原とかに座っても寝転んでも、よー考えたらなーんに問題もあらあせんぞね」
【いよ】「むしろ――ふふっ。そっちの方が懐かしい感じがして……
(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ああ。
言われりゃそーじゃね。遊びのことしか、いまいよ考えとらんかったねぇ」
【いよ】「(呼吸音)(呼吸音)――確かに。うん。
『蓄音レヱル』で紹介してもらう音探しの方についても、きちんと準備せんといけんね。
いよかん鉄道の発展のためだけでなく――猫島のためにも」
【いよ】「(深刻そうなため息)……記者さんも宿のおばちゃんもおんなじことぉ言うとったもんね。
『猫島にはいま5人の住人の方がいるから市の補助金で定期船を出せてるけど、
住民の方が島を去って、補助金が出せんよーになってしもたら、定期船も出んよーになる』って」
【いよ】「……『そうなったら猫は安楽死させるしかない。餓死させるよりマシ』って……」
【いよ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」
【いよ】「うん。――うん! そげなことにならんよーにも、猫島の音――
蓄音レヱルで紹介してもらえて、全国の人が『猫島にいってみたいな』『その音を聞いてみたいな』ってなるような音!
なにがなんでもさがさないけんね」
【いよ】「そげにして猫島の魅力をどーんと全国に紹介できたら、観光客がばーんと増えて、定期船廃止ってことになっても民間の業者が――あ!!」
【いよ】「もしもそーなったら、うちの――いよかん鉄道の社長にも話もちかけてみるぞね!
『いよ長濱と猫島との間の観光船を出せば、きっとボロ儲けできるぞなもし』って!!」
【いよ】「こらぁ儲かるってなったら、あの社長やけんね、きっと参入してくれよーし。。
直接が無理でも社長だったら、いろんな観光船業者とかとのコネとかツテもよーけにありそうやけん――うん!!」
【いよ】「そげに考えたら、音探しの方にももりもりやるきが出てきよったぞね!
ね、ね、マスター。スマホ見せて、スマホ…………(呼吸音)――
あ、電波通じてるんだね、よかったー」
;7/左 (マスターのスマホ覗き込む)
【いよ】「……猫島いったことある人のブログはチェックしとったんやけんど、
情報が何年のもの……(呼吸音)――んー……最新情報はやっぱりネットじゃよーわからんぞね」
【いよ】「ね、マスター。猫の餌やり場は絶対確定でいくとして、
その他の、音探しするのによさそうな場所とかは――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――」
【いよ】「……ああ、うん、そげじゃね。
猫の餌やりは他の観光客さんたちとかぶらんよーに、あとまわしにしたほうがよさそうじゃねぇ。
ほんなら……(呼吸音)(呼吸音)――うん。海岸線見て、山の方――ああ、こん廃小学校とか、おもしろそぉ。
うふふっ、ちびちゃ――マスターがちんまかったころを――(呼吸音)――ああああ!!!!!」
【いよ】「いよ、うっかりしとったぞね! こんなに長いことお店もなんもない島に滞在するゆーんに、
ちびちゃんのおやつ買うのわすれてしもーとった……って、――あ」
【いよ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ああ、自分で買ぉてある――(安堵の中に少し寂しさのある笑い)……そらそうじゃねぇ。
もうちびちゃんじゃなくマスターやけん――うん」
;7/左 (耳うち・ボートの爆音の中、あえてのささやきで)
【いよ】「いよのこと、甘えさせてもくれてもよかよ。たまには」
耳打ち距離→;7/左 (わらいながらぱっと身を離して)
【いよ】「うふふっ! 聞こえんかったなら聞こえんかったでかまわんぞなもし。
そげに大したことは――あ!」
;環境音 ボート、エンジン回転数ダウン
【いよ】「エンジンの音、変わったぞね。
スピードも目に見えて落ちて――っ!!!」
:SE いよ足音 ;7/左 →;7/左前 →;16/左前遠
;16/左前遠(マイク向き) →“あああ”からマイクに背中
【いよ】「マスター! マスター! 島が! 港が見えて――あああああ!
桟橋にもう猫ちゃんおるぞね! 二匹――三匹!!
これが蒼島(あおしま)――猫ちゃんの島! 猫島ぞなもし!!!!!」
;SE いよ、;7/左まで早足で戻ってきて
;7/左
【いよ】「マスター、身支度。
忘れ物のないよー、着岸したら一番に島に上陸できるよう、いまのうちから準備から一緒に――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――んしょ!」
【いよ】「(どんどんわくわくしていく呼吸音*4)――あああ! もうすぐ! もうすぐ! もうすぐっ!
――っ!!」
;SE いよ、マスターの手をとって立ち上がる
;7/左(手つなぎ距離)
【いよ】「マスター、やっぱりちょっとだけ。
船をおりたら、ちょっとだけ――海岸線を散歩するまえ、ちょっとだけ!
猫ちゃんのことナデナデさせてほしいぞなもし!!!」
;環境音 F.O.