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おっ……おはようございます!
今日からハウスメイドとして働かせていただきます、優良(ゆうら)です!
よろしくお願いします!
はっ、はい、ありがとうございます。それでは、お邪魔いたします
……はい、存じております。あなた様がお屋敷のご当主
私の、ご主人さま。写真では何度もお目にかかっておりますが、
実際にお姿を拝見するのは今日が初めてで……
ほえっ!? ご、ご主人さま! あっ、あのっ!
これは私の荷物ですっ、ですから、おっ、お気になさらずにっ
はわわっ! あ、ありがとうございますっ……!
……ご主人さまは、お優しいかたです
お噂はかねがね伺っておりました。
若くしてお屋敷を継ぎ、先代の残した技術を次から次に発展させて
事業を世界へと押し上げた……
それでいて、自らの功績を全く鼻にかけない気さくなお人柄で…
おっ……大げさなんかじゃありません!
みなが『素晴らしい人格者』だと言っております。
もちろん私もそのひとりです
……だって、事情も聞かずに私を雇ってくださったんですもの
こ、この恩はしっかりと、お仕事で返させていただきます!
ご、ごめんなさい、私…ご主人さまのこと、見つめすぎ、ですよね。
でも、まさか…こんなに格好良いひとだったなんて
お写真を拝見して凜々しいお顔立ちのかただとはわかっていたんです。
じ、実際にお会いすると、その何百倍も…男らしくて、たくましい…
『大人の男性』でいらっしゃったものですから……
な、なんだか、顔が熱くなってきちゃった
っ……忘れて……忘れてください!
もうっ、私、初対面でなに言っちゃってるんでしょうっ……
本当にごめんなさい! とにかく忘れてくださいっ
『どうしようかな』って……んんっ~!
ご主人さま!
ほえ? はわっ、ここですか?
メイド長としばらく相部屋だと伺っておりましたが……
……はわ~。想像したお部屋よりも遙かに広いです……
あっ、はいっ、荷物はどこにでもっ、
運んでくださってありがとうございます!
不慣れな部分もたくさんあると思いますが、一生懸命頑張ります!
今日からどうぞよろしくお願いします!