トラック1
いま何か……物音がしたような?
お客様、ですか? そちらは、施術室ではありま……まぁ……! あなたは……?
魔法陣が出現している……と、いうことは……。
ああ、なるほど。異世界からのお客様ですね♪
ええ、はい。そうですよ。異世界です。
いまあなたの足元にある魔法陣は、異世界召喚に用いられる魔法陣ですからね。きっと、ここではない、どこか別の世界からいらっしゃったんでしょう。
あなたのその格好……このあたりでは……あ、と、いうより、見たことのないような衣装ですね。
そうなりますと……きっと、異世界転移、ですね。
記憶はしっかり残っていると思うのですが……いかがでしょう?
転移、ですので、お姿にお変わりないとは思いますが……よろしければ鏡をお貸ししますので、お確かめになりますか?
もしもどこか痛んだり、気分が悪いときは遠慮なくおっしゃってくださいね。
ふふっ、よかった。少し落ち着かれたようすですね。
突然、何も知らない世界に飛ばされてしまったわけですから、気持ちはわからなくもないですけど……
でも、安心してくださいね。
異世界から突然ご来店なさるお客様は、よくいらっしゃるんです。
自慢をするわけではありませんが、訪れたお客様は、ここのサービスにとても満足してくださるんですよ。
わたし、これでも自分の腕には自信がありますからね、うふふっ♪
幸い、召喚魔法の作用で、こうしてお互いの言葉は理解できますから、コミュニケーションに困ることもありませんしね。
……はい? わたしが、誰なのか? ここは一体、何をするところなのか?
……あ、いけない。
ごめんなさい、わたしったら……自己紹介がまだでしたね。
わたしはエルフィムと申します。
そして、このお店はわたしが営む魔法の癒やしリフレ。ここで日々訪れる、お客様に極上の癒やしを提供するのが、わたしのお仕事です。
最近、お疲れだったのではありませんか?
わたしのリフレに召喚されたということは、あなたの心は癒やしを求めている……
ここは癒やしの魔法リフレですからね、そういうお客様を呼び込んでしまうんですよ。
では、改めまして――
いらっしゃいませ、お客様。エルフィムの癒やしリフレにようこそ♪
たっぷり、癒やして差し上げますね ❤