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■0.プロローグ

プロローグ  おにーさん?  ……うん。そうそう。おにーさんのこと。  どしたん? そんなとこに座り込んじゃって。  もうそろそろ終電だよー?  怪我とか病気してる……って感じじゃないよねー。  何か嫌なことでもあったカンジ?  ……へー。はー。  マジー?  それは大変だなー。  アタシ、社会のこととかよく分かんないけど……それはマジでヤバいことだなってことくらいは分かるよー。  そりゃ、会社に行く気、なくなるよねー。  隣、失礼するねー。んしょ、っと。  ん? アタシ? 別に、下りるとこ、この駅だし。これから帰るだけだし、気にしないでいーよ。  てゆーかさ。そんなヤバイ会社だったら、いっそ辞めちゃえばー?  うん。だってそんなの、おにーさんの寿命縮めるだけだしー。早死にしちゃうよ?  んー? ああ。生活のこと心配してんの? ま、そりゃそっか。給料ないとご飯食べられないもんねー。  それに?  ……えぇ。休んでると、会社の人が家まで訪ねてくんの? ひぇー。  んー。じゃーさ。  アタシがおにーさんのこと、養ってあげるよ。  うん。そう。アタシが。  養ってあげる、ってゆーのがヤだったら、雇ってあげる、って言ったほうがいーかな。  ウチこない? おにーさん。  んー? にひひ。おにーさんウケるー♪ こんな黒ギャルな社会人なんているわけないっしょー。  アタシ、フツーにJKだし。制服着てるっしょ? これ、学校の制服だよ?  ウチさ、パパが金持ちで、お小遣いめっちゃもらってんの。  で、最近、パパにお願いして、マンションをまるまる一部屋もらってさー。一人暮らし始めたんだけど。  意外と家事ってメンドーだなーって思って。  いや、できないわけじゃないし。できなくはないけど……なかなか難しーじゃん。あれ。  だから、おにーさん。うちで家事やってくんない?  お給料出したげる。  ついでに、アタシの家でそのまま住めば、会社の人に会う心配もないじゃん?  どーかな? にひひ♪  ……んー? なーに?  パパ?  あー……おにーさんのスケベー♪ 〝パパ〟って、そーいう意味じゃないし♪  本物のパパだってば。アタシの親のことだよー♪  なんか、パパもママも、会社をいくつも持ってて、めっちゃ金持ちなの。  友達に話したら、ガチめに引かれるくらい金持ち。  だから、おにーさん一人くらい、余裕で養えちゃう、ってわけ。  どーかな?  ……んー。まー、そりゃそっか。怪しむのもトーゼンだよね。  もちろん、嫌になったら、いつでも家から出てってくれていーよ?  次のお仕事が見つかるまで、って感じでもいーしさ。  ツツモタセ、だっけ? そーいうんじゃない、ってゆーのは……信じてもらうしかないけど。  学生証とか見せたら信じる? 別に見せるのは構わないけど。  でもさー。今のおにーさんの顔、かなりヤバイよ。  疲れ切ってて……そこでぶっ倒れるんじゃないかって、割と心配になるくらい。  だったら、少し怪しくても、カワイイ黒ギャルJKについてったほうがよくない?  いい目にあえるかもしんないよー♪  ね? どーかな。  …………。  ……おっけー?  よっしゃー♪  アタシ、ハル。  うん、名前、ハルってゆーんだ。  んじゃ、早速いこいこー♪  ウチ、こっからすぐだからさ♪  うん。アレ。あそこに見えるタワマン。  いつまでになるか分かんないけど……  これからよろしくね、おにーさん♪

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