1 起きたら牢屋の中だった件
※全編を通して、基本的な位置関係は「正面からやや近め~中くらい」でお
願いします。
両耳から25cm程度離れている位置です。
(「」で括っている部分は囁きです。
右か左、または両耳(正面)と記載します)
□遠くの足音SE(ブーツでコンコン踏む音が牢屋で反響している)
□牢屋のカギを開けるSE
□ドアを開けるSE
□足音が近づいてくるSE(ブーツでコンコン踏む音が牢屋で反響している)
おい、さっさと起きろ。
聞こえてるのか?
ふああああ、やっと起きたか。
ふん、何を呑気にキョトンとしている。
ああ、ここがどこか分からないのか。
(少し間)
なら教えてやる。
ここは、何らかの未練を抱えながら死んだ者達が囚われる牢獄だ。
そして、お前は未練という罪を抱えた罪人だ。
(○ざいにん読みでお願いします)
ふん、お前も何かしらの思いを馳せながら、無様に死んでいったようだな。
ああ、惨めなことだ。
もうお前は現実世界に戻れない...ついさっき死んだからな...くすくすくすく
す。
(少し間)
ま、そんなに焦っても仕方ないぞ。
もう死んでるんだからな、何を焦る必要がある?
ほら、少しは肩の力を抜いたらどうだ?
ふん、そんなに警戒しなくてもいいぞ。
少なくとも、私はお前の敵ではない。
ま、味方でもないがな。
(少し間)
はあ、まだ困惑しているようだな。
仕方ない、この牢獄の仕組みも教えてやろう。
ここでは、生前に叶わなかった未練を形にすることが出来る。
ふん、意味が分かったか?
そうだ、ここではお前がやり残した未練を叶えてやることが出来る。
(少し間)
おい、喜ぶのはまだ早いぞ。
もちろん代償もある。
条件はこうだ。
3日目が終了し、4日目を迎えても欲望に流され続けた場合、お前は代償とし
て魂を完全に吸収され、自我を失う。
死後のお前は、まだ魂を保っているおかげで、実体として存在できている
が、それを失くせば存在ごと消える。
そして、ネクロマンサーである私なら、お前の魂を吸収し、傀儡にすること
ができる。
空っぽの体になったお前は私の人形になる。
くすくす...どうだ?怖くなってきただろ。
って、何をニヤニヤしている?
また死ぬんだぞ...怖くないのか?
(少し間)
っぷ...くすくすくすくす、なるほどな、マゾ性癖を満たせないまま死んでい
ったのか。
ああ、惨めな死に様だな。
お前みたいな人間とは何度も遭遇してきた。
自分の性癖が満たせなかったという、下らない未練を抱えながら死んでい
く。
本当に男は単純だな。
それで、私はどうすればいいんだ?
(少し間)
ああ、やけに慣れてる感じがするだろ?
当然だ。
ここで何人もの男を相手にしてきたからな。
だが、勘違いするな。
もちろん、私自身にもメリットがあるからだ。
お前の欲望を満たし、3日間かけ、徐々に魂を吸収していく。
そのまま欲望に打ち勝つことが出来なければ、私の傀儡になる。
ま、最後まで勝ち残ったやつは1人もいないがな。
せいぜい安心して、もう1度死ぬ覚悟をしておけ...くすくす。
(少し間)
はあ、にしても、今の状況がまだ飲み込み切れていないようだな。
ま、仕方ない。
起きた途端、いきなり牢屋の中にいたら誰でも動揺する。
(少し間)
よし、そろそろ時間だ。
とりあえず今日はここまでにしておく。
明日になるまでに心の準備をしておけ。
□足音が離れていくSE
(ブーツでコンコン踏む音が牢屋で反響している)