プロローグ
あの。
ちょっといいですか。
そう。キミです。
クラスメイトとして、一つお願いがあるのですが、いいでしょうか?
ありがとうございます。
で、キミへのお願いですが。
私に甘えてくれませんか。
……ああ。さすがに話が見えないですよね。
一から説明させてもらいます。
実は私、今日から“ママ係”になりました。
知ってますでしょう? ママ係。
この学校特有の、係活動で――
最近、他人に上手く甘えられない男性が増えたから、学生のうちに甘える練習をしてもらう……という目的で作られた係です。
それに、女子も、将来的に子どもを持つ練習ができます。
私、そのママ係に、立候補したんです。
立候補すると、内申点の評価がよくなるから、という打算もありますが……
純粋に、このママ係という活動に、興味がありました。
今まで生きてきて、誰かに甘えられるなんて経験、ありませんでしたから。
どんな気分なんだろう、って。
それに私は……話していて分かると思いますが、感情表現というものが苦手で。
仲のいいお友達はいますけど……最初のうちは、どうしても怖がられてしまうことが多くて。
ママ係を経験すれば、少しは雰囲気は柔らかくなるのかな、って。
ただ……さすがに、他のクラスのまったく知らない人に甘えられるというのは、まだ少し早いかなと。
先ほども言ったように、私には、誰かに甘えてもらった経験がありませんから……逆に、男子に遠慮させてしまうかもしれません。
スムーズにママ係ができるように、甘えられる、という経験を積みたいのです。
だから、クラスメイトであるキミに、声をかけさせてもらいました。
私に、ママ係の練習をさせてくれませんか。
ああ。もちろん、嫌なら嫌と言ってください。無理やり甘えさせるなんて、ママとしてはありえないことですから。
ただ……キミも、健全な男子でしょう。誰かに甘えたい、という欲望は、人並みにあるのではないですか?
将来的に、大切な人ができたとき、自然に仲を深めていく練習にもなると思いますよ。
悪くない提案だと思いますが、どうでしょうか。
ありがとうございます。
よろしくお願いします。
では早速、練習させてください。
そうですね……甘える、といえば、やっぱりハグでしょうか。
ちょうど、教室から人もいなくなったことですし。誰かに見られて恥ずかしい、ということもないでしょう。
私は、見られたところで別に気にしませんけれど。
では、いきますよ。
ぎゅ~~~~~~……。
ああ。遠慮しないでください。キミも、私の腰に腕を回して、ぎゅっとしてください。
これは、ママ係の練習なのですから。
恥ずかしいことではありません。
ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ~~……。
ん……。
家族以外と、ハグをするなんて、初めての経験ですが……
そんなに、悪くはない気分ですね。
温かい。
それに、体格が違いますから……私の体を全部、包んでもらうみたいで。
なかなか、落ち着きます。
これが、ママ係、ですか。
人と人の触れ合いを促せる……いい係活動だと思います。
ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ~~……。
……ところで、どうかしましたか?
急にもじもじして。まるで、私から逃げようとしてるみたいですが。
キミは、ハグが嫌いですか? あまりしたくない?
……そうではなくて?
あぁ。理解しました。
キミの股間が、大きくなってしまったのですね。
はい? いえ。別に、驚いてはいません。
お友達にママ係の経験者がいたので、彼女から色々と話を聞いたのですが……
健全な男子は、女子とハグすると、ふいに股間を大きくさせてしまうことがあるのだとか。
それから、そういうときは……
気持ちよくさせてあげるといい、とも聞いています。
違いましたか?
男子は、一度射精をさせてしまえば、股間がすぐ落ち着く、と。
だから、ママ係の子は、男子を射精させてあげることが多いらしいです。
私も最初は驚きましたが……射精は、男子にとって一番弱い瞬間でもあるので、そこをさらけ出してもらうと、もっとママに甘えやすくなってくれる、と聞いて納得しました。
どうでしょうか?
ああ。遠慮しないでください。これは、しっかりママ係の練習をしたい、という、私の都合でもあるので。
キミさえよければ、私に射精を手伝わせてください。
分かりました。ご協力ありがとうございます。
では、これから私が……
……ママが、キミのここを、気持ちよくしてあげますからね。