Track 1

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……ごめんなさい。 神父様

……あ。 目を醒まされましたか、神父様。 どうぞ、横になっていてください。 神父様は、倒れていらしたのです。 ……はい。 ここは教会です。 神父様は、この建物の前に倒れていらっしゃいました。 森の、かなり奥にある教会ですので、神父様がご存じでないのも当然だと思います。 安全な場所ですから、どうぞご安心ください。 特に怪我などはされていませんでしたが……どうされたのですか? ……分からないのですか? そう……ですか。 意識が急に、吸い込まれるように無くなった……。 それは、不思議ですね。 あの……どうして神父様は、この森にいらっしゃったのですか? 深い森ですし、たまに魔物もいるので、危険だと思うのですが……。 “魔女”……? この森に、魔女が出るというお話が……? その調査のために、いらしたのですか。 そう、なのですか……。 ……い、いえ。 私は、魔女なんて、存じ上げません。 は、はい。 毎日、この教会で暮らしていますが……魔女の気配など、決して。 いえ……お役に立てず、申し訳ございません。 あ……神父様。 どうされました? 目を覚まされたばかりなのですから、安静になさっていてください。 めまいを感じるかと思います。 お体もまだ力が入らないでしょう? ……い、いえ。 お顔を見ていると、そうではないかと思いまして。 この教会から、近くの村までは二時間ほどかかります。 今のお体で歩くのは辛いかと思いますし……そろそろ日も暮れて参りました。 もし、神父様さえよろしければ……本日は、ここにに泊まっていかれてはいかがですか? はい。 そのベッドは、元々来客用のベッドですので、普段は使われておりませんですので、何も問題はございません。 ……いかがですか? ……はい!ありがとうございます。 ふふっ。 誰かとお話しするのは、とても久しぶりです。 私、嬉しいです。 あ……少し、不謹慎でした。 申し訳ありません……。 神父様は遊びに来たわけではないのに……。 ……いえ。 そう言っていただけると嬉しいです。 ……はい。 なんでしょうか? わ、私のこと……ですか? え、ええと……それは、その……。 この教会は……い、家のようなもので……。 えっと、わ、私は……し、シスター、みたいな、ものです……。 し、シスター・ロベルタと申します。 改めて、初めまして。 え、ええっ!? そ、それは……その……。 確かに、誰もこない場所ですけど……。 でも……私は、ここにいないと、いけなくて……。 その……うぅ……。 …………。 神父様? ひょっとして……急に眠くなってきたのではありませんか? いえ……。 何も、不思議なことはありません。 眠いのでしたら、そのまま、お眠りください。 いえいえ。 不思議なことなんて、何も……。 きっと、お疲れが溜まっていたんですよ……。 おやすみなさい、神父様……。 ……ごめんなさい。 神父様。 ごめんなさい……。

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