オオカミさんとの出会い
…えっと、お肉にお野菜…これで全部ね…ふふ、おばあちゃんも心配性なんだから。
お使いなんていつもしてるのに森にはオオカミが出る、なんて。
そんなの私、一度も出会った事なんてないわ…でも、今日は、いつもより森の中が静かな気が…きっと、気のせいよね。
早く帰って、お昼ご飯を作らなくちゃ…おばあちゃんも、きっとお腹ぺこぺこよね…あったかくて、美味しいシチューを作ったら、喜んでくれるかなおばあちゃんは、あんな事言ってたけど…今日だけは、近道しちゃおきっと、大丈夫…あれ?
誰か倒れて…人…じゃない?
熊さん…でもないし。
オオカミ…さん?
こんなところで、お昼寝じゃないよね?
…あっ!大変っ、もしかして、怪我をしてるのかも…!オ、オオカミさん、大丈夫?
どこか、痛いの?
私の声…聞こえてない?
どうしよう…。
一人じゃ運べないし…そうだ、村に戻って誰かを呼んでくれば…っうぅ………でも、オオカミさんには近づくなって、皆言ってるから…オオカミ…さん?
気づいたの?
大丈夫?
自分の足で、歩ける?
そう…。
じゃあ、私が肩を貸してあげるから、それならどう?
私のお家、すぐ近くなの。
そこで、手当しないと…うん。
じゃあ、一緒に頑張ってみようね身体…起こしていくよ。
…ん、しょん、はぁ…じゃあ、ゆっくり…歩いていくねん…っはぁ…オオカミさん、やっぱり身体…大きいのねん、はぁ…でも、大丈夫。
しっかり、支えてるから…ね?
頑張って。
…ん、しょ……ん、ふぅ…どこか、痛いところ…ない?
頭が…少しクラクラするの?
ん、はぁ。
…あと、もうちょっと、だから…もう少しで、お家に…着くから……大丈夫。
絶対に、大丈夫……っん…はぁ。
ごめんね。
辛かったら、無理に喋らなくて良いからね。
んぅ……え?
私の、名前…?
ん、はぁ…私の、名前はね……オオカミさん…。
オオカミさん?
…起きてる?
もう着いたよ…立ってるの、辛いでしょ?
あそこにベッドがあるから、横になろうね……ん、ふぅここなら、もう大丈夫よ。
他の動物も、寄って来ないと思うから……あ、オオカミさん、寝ちゃってるの?
……きっと疲れてたと思うし…。
あとは、安心…してくれたのかな…それにしても、オオカミさんが、お家(ウチ)の中に…これから…どうしよう村の人や、おばあちゃんにも、話しちゃダメよね…そうなると、私一人で…あ、そろそろ戻らないと手当する道具もいるし…オオカミさん、少しだけ待っててねすぐ、戻ってくるから…なんて、聞こえてないと思うけど…それでも…私が帰ってくるまでに、いなくならないで、待っててね。