オオカミさん、大丈夫…?
…オオカミさん……オオカミさん?
まだ…寝てる?
…あ、良かった。
気付いたのねオオカミさん、あの後のこと…憶えてる?
…良く、分からない?
あ、私の名前は…少しだけ憶えててくれたのね「ソフィア」よ。
改めてよろしくね。
…でも、私はよく皆から、赤ずきんって呼ばれているの…ほら、頭に真っ赤なずきんを被っている事が多いから…オオカミさんも、私のことは、今はそう呼んでほしい、かな……だって、名前…滅多に呼ばれないからその、急に呼ばれると、恥ずかしくて…だから、ね?
ふふ、ありがとあ、もう起きて…大丈夫なの?
まだ…痛む?
そう…よね。
でも、手当する道具、色々持ってきたからオオカミさんは、そのままじっとしててまずは、その大きな背中から、手当していくわね【ソフィア】水で濡らしたタオルだから、ちょっと沁みるかもしれないけど…大丈夫。
側に…ついてるから。
頑張ろうね……ん、ふぅ擦り抜いちゃったところに、ばい菌が入ると、大変だから…ん、しょ…ん…ふぅ。
背中、少し汚れちゃってる…せっかくの良い毛並みなのに……ん、はぁん…んぅねえ…オオカミさん。
オオカミさんは、どうして怪我をしちゃったの?
躓いて、転んじゃったとか…高い所から、落ちちゃった…とか?
そう…憶えて、ないのね…んー、じゃあ、オオカミさんのこと、教えてオオカミさんのお家は、この近くにあるの?
そっか、それも…忘れちゃったんだ…でも、きっと大丈夫よここで、しばらくゆっくり休んでいれば、絶対に良くなるわ私、お世話するのは得意だから。
怪我が良くなるまでの間、オオカミさんのお世話をさせて。
…もちろん、付きっきりでいるのは難しいけど…それでも、なるべく側にいるから……ん、ふぅ…ん、しょ……っと今度は、乾いたタオルで拭くね…ん、ふぅ。
ゴシ…ゴシゴシ…ゴシん、はぁ。
泥や土の汚れも…だんだん、取れてきたよん…んぅ、ふぅ…んっ……はぁ。
オオカミさんも、一人だと心細いよね…【ソフィア】でも、私…毎日、ここに遊びに行くからあっ…。
遊びにじゃ、なかったそうじゃなくて、手当とか…お見舞い…かなだけど、オオカミさんの怪我が良くなったら、森へ出かけて、一緒に遊びましょ?
きっと、お家で寝ているよりも、楽しいはずよお日様のあったかい光を浴びながら…追いかけっこ、とか……オオカミさん?
どうしたの?
大丈夫、この辺りには、人が来ないから安心して。
追いかけっこ…きっと、楽しいと思うなぁ。
本当?
オオカミさんも…そう思う?
じゃあ、安静にして、一日でも早く良くなろうねん…はぁ。
……ん、んっ…ふぅ…次は、前の方を拭いていくわね【ソフィア】まずは、濡らしたタオルで…んっこっちの方は、そこまででも、ないわねん…しょ。
ん…ふぅ……んっ、んぅふぅ。
仕上げに、乾いたタオルで…ん……んっふぅ…。
オオカミさんが、早く良くなりますように…っん、はぁ…。
こうやって、気持ちを込めた方が、良いかなってそう…思ったんだけど。
ヘンじゃ、ない?
良かったぁ。
じゃあ、このまま、続けるねん…はぁ。
痛いの痛いの、とんでけぇ…っどこかに、いっちゃえ…っ、ん、ふぅ…んぅ…はぁもうちょっとで、綺麗になるからね…ん…ふぅはぁ。
こんな感じ、かなあとは、包帯を巻いていくよお腹から、背中に掛けてと…。
あとは、頭の部分ね…んっ…はい、これで手当ては終わり後は、ゆっくり休んでねあ…ほんとは、何か食べて、栄養をつけた方が良いんだけど…オオカミさん、食欲…ある?
じゃあ…仕方ないわねとりあえず今日は、ぐっすり寝て…怪我を治してねあったかくなるように、毛布を掛けるから。
はい、お休みなさい…あとは…暖炉の火を付けた方が、良いかな夜は冷えちゃうから。
…ん、しょ【ソフィア】ちょっと、待っててすぐ、あったかくなるから。
この、火を起こせる、魔法の石を使って…ん、ふぅ。
中々…つかないわねでも、本当に魔法なんてあったら…オオカミさんの怪我も、すぐに良くなるのにんっあ…付いたん…ふぅぅ、ふぅぅぅ――はぁ…っ。
すぅっ…、ふぅぅぅ――…はぁ。
しばらくしたら、あったかくなると思うわ…ん、ふぅ暖炉の側は、落ち着くわね…ん、はぁ。
あったかい…オオカミさんのところも、ぽかぽかしてきた?
ふふ、良かったじゃあ…朝になったらまた来るから。
それまで、ゆっくり休んでるのよ?
外に出たりしたら、ダメ…だからね私との、約束それじゃあ、また明日ね、オオカミさん