世界で一番、大好き
はぁ……こういうところも、近くにあるんですねぇ。
んーっ……。
すーっ……はーっ……空気も美味しくて、風も気持ちいい…。
見上げた空も、綺麗に澄んでいますまるで……生まれ育った故郷みたいな感じ……ですねぇ…。
あ、マスター。
ちょっと、身体を起こしてもらっても良いですか?
【ニィナ】…すみません。
ありがとうございます実は、少し見せたいもの…といいますか。
聴かせたいものがあるんですええと…この草を抜いて、マスター、見てください今から、私のちょっとした特技をお見せしますね…この草を、口に当てて…ふふっ、驚きましたか?
この草なんですけど、こういうふうに、口に当てると……。
笛の音色みたいな、綺麗な音がするんです。
私たちの村では、子どもの時からみんな練習するので、誰にでもできることなんですよ。
こちらでは、そういう…風習?
みたいなものはないのかもしれませんね。
マスターも、試しにやってみませんか?
ふふ、では、どうぞ。
……はい、そうです。
指で挟んで……口に、当てて……。
息を、少し強めに……あ、中々…音が出ないですよねでも、少し練習したら、すぐできるようになりますよ。
マスターは、何でもできちゃいますからえ?
そ、そんなすごいことでもないですよ?
私なんかでも、できることですし……。
えへへ……褒められちゃい、ました。
ありがとうございます。
あ……でも、初めてかもしれませんね。
私がマスターより上手くできること。
ふふふっ♪ 褒められちゃいました。
ありがとうございます。
草笛に関しては、私がマスターの先生になれますねっ♪ええ、もちろんです。
いつでも教えますよ…また、横になりましょうか【ニィナ】んーっ……はぁ…。
…それにしても……本当に、いいところ、ですねぇ……。
懐かしい気持ちになります…え、故郷…ですか?
…はい…。
前までは、帰りたいって思っていました。
でも、今は考えたこと、ないです。
思い出すことはありますけど…。
今は故郷よりも、もっと大事なものが、できたんです。
マスターのおそばに居られることが、私の幸せ…ですから。
ふふもちろん、今まで生きてきた中で、一番の幸せですマスターと一緒にいられるこの時間が、ずっと、ずぅっと続けば良いのにって、いつも考えちゃいます…マスターも、同じ気持ち…なんですね?
良かったぁ…私、まだまだ一緒にしたいこと、教えていただきたいことも、いっぱいあるんです。
……あの、マスター草笛を吹くというのは、私のいた村では、意味のあることなんですよひとつは、お祭りを祝うため、そしてもう一つ……お祭りの時以外に吹くと…大好きな人に、思いを伝えるっていう、意味になるんです……っ。
…私、マスターのこと、大好きです。
世界で一番、大好き……。
大好き、なんですっ……ん、ちゅっ。
えへへへ♪ 。
唇に…キス、しちゃいました…。
…あの、マスター…。
…手を、握ってもらってもいいですか……?
私、マスターの温もりを、感じていたいなぁって…我が儘、でしょうか…?
…あ。
ありがとうございます。
…本当に、心が落ち着きます……。
マスターの手、すごく、温かい……。
この温もりが、私を救ってくれたんですね。
…マスター。
……これからも、ずっと一緒ですよ私も、ずぅっと…マスターのお側に…ん……、すぅ……すぅ……すぅ……すぅ……すぅ……すぅ…………ん……ます、たー……すぅ……すぅ…………大好き、です……すぅ……すぅ……すぅ……すぅ……すぅ……すぅ……
(END )