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おまけ 1,2

◆おまけ 「兄の秘密」 【優衣】 「…………ふふっ」 【兄】 「おーい」  ソファに座ってテレビを見ている優衣。 【優衣】 「ん、お風呂上がった?」 【兄】 「おう」 【兄】 「ドライヤー戻すんだろ?」 【優衣】 「はーい。ありがとーにいさーん」  返事を聞いて、二階へ上がる。 【優衣】 「さて、と」  …… 【優衣】 「ドライヤーよし、櫛よし。  えっと……? 歯磨きもしたからー……?」 【優衣】 「うん?」  視界の端に見慣れない物体が写る。  洗濯籠の中に埋もれるような形で見えている。 【優衣】 「なにかしら、これ」  寄って見てみる。 【優衣】 「洗濯籠の中の、ピンク? の物体……」 【優衣】 「さっきまで……お風呂から上がったときはなかったわよね。  ……ていうことは、兄さんのものかしら」  一体なんなのだろうか?  頭の中に点在する物体形状に一切当てはまらない。 【優衣】 「……」 【優衣】 「触ってみましょう」  掬うようにして洗濯物から上げる。 【優衣】 「うわ、冷たいっ! 柔らかい、というか……なにこれ?  独特なプルプル感……、……初めての感触だわ」 【優衣】 「んー……結構ずっしりしてるし、変な形…………うん?」 【優衣】 「穴が開いてる。中身があるのね……。中はー……んー……、  空洞、と呼ぶにはみっちりしてるわね」 【優衣】 「肉厚で、凄く狭い……。  ……えい」  指を挿入してみる。 【優衣】 「うわー……中は複雑な構造をしてるのね。それに結構キツい……」 【優衣】 「ん~?」  思案する。  難問だ。  一体これはなにで、なにに使うものなのか。  う~ん。  まあいいや、兄さんに直接訊こう。  ……  扉がノックされる。 【優衣】 「兄さん? ちょっといい?」 【兄】 「開いてるぞ」  声を聞いてか、遠慮なく扉が開く。 【優衣】 「あのー、これが洗濯籠の中に落ちてて、一体なにに使うものなのか  まったく検討が――」 【兄】 「でえええええええい!!!!!」 【優衣】 「あ、奪われた」  ななななんということだ。  まさか忘れるなんて! 【優衣】 「……ねえ、それってなに? どういう使い方をするの?」 【兄】 「はっはは、気にするな」 【優衣】 「気にするなっていうのは、どだい無理な話ね。  私の好奇心センサーがビンビンに反応してるわ」 【優衣】 「ほら、なにに使うものなのか教えて? 後学のために、ぜひとも兄  さんのご教授を与りたいわ」 【優衣】 「ほら。ほらほらっ」 【兄】 「なんと言われようとも無理なものは無理だ!」  ブツを後ろ手に回して防御態勢を取る。  こればっかりは説明することはできない。  何か、人として終わってしまっているような気がするからだ。 【優衣】 「むぅ……。なによー、いいじゃない。  兄さんってそういう頑固なところあるわよねー」 【優衣】 「ふん、じゃあもういいわ」 【兄】 「わかってくれたか」  優衣は俺を横切って机の傍へ向かう。  勉強でもするつもりか? 【優衣】 「見たところでは、まだ真新しい感じだった。滑らかな手触り……  パッケージから開けたばかりのような化学薬品の香り……」 【優衣】 「きっとどこかに……。……商品の外装が……ん」 【兄】 「なにをしている?」  机の脇にしゃがみ込んでゴソゴソとしている。  あそこの位置は……ゴミ箱……  あっ、しま―― 【優衣】 「やっぱりあった」 【兄】 「待て!! やめろ!!」 【優衣】 「ええっと、なになに~」  こちらに背を向けて部屋を歩き出す。  奪わせる気はないようだ。 【兄】 「読むな、こら!!」 【優衣】 「『妹の蜜壺』?」 【兄】 「ぐ――っ!!」 【優衣】 「『究極なまでにリアルを追及した精巧な内部構造』」 【兄】 「やめ……」 【優衣】 「『まるで生娘のような狭さで絶頂へと導きます』……」 【兄】 「……」 【優衣】 「『や❤ だめ❤ 優衣のアソコが壊れちゃう――」 【兄】 「せええええええええい!!!!」 【優衣】 「あ、奪われた」  ブツと外装を両手に抱え、ベッドに飛び込む。  しばしの静寂。 【優衣】 「……兄さん。液体の入ったペットボトルみたいなのも脱衣所に――  あっ」  奪い取る。  考えろ。  考えるんだ。  どうすればいい。  どうすれば切り抜けられる。  コロンブスもびっくりな、奇想天外のやり過ごし方は!? 【兄】 「これは、花瓶だ」 【優衣】 「? …………花瓶」  少し考えるような間のあと、口にした。 【兄】 「そうだ」 【兄】 「ここに穴があるだろう?」  実物を見せようと手元を開こうとして、止めた。  勘付かれるとまずい。 【兄】 「ここに茎を差し込むんだ」 【兄】 「さっきの液体は栄養剤だ」 【兄】 「数滴ほど滴らせるだけで、ぱかっと満開の花が咲くんだ」 【優衣】 「その、柔らかいのが……花瓶?」 【兄】 「あぁ。びっくりしたかもしれないが、その通りだ」 【優衣】 「花瓶が、花を絶頂まで導くの?」  ……。 【兄】 「『絶頂』とは、園芸用語の『満開』という意味なんだ」 【優衣】 「ふふ……園芸用語で『満開』という意味を表すんだ……くす」 【優衣】 「優衣のアソコっていう表現は?」 【兄】 「この花瓶には名前がついてるんだ。アソコは、あそこだ」 【優衣】 「ふふっ……。ふぅ~ん? その花瓶の名前なの……へぇ?」 【優衣】 「まるで生娘のような狭さっていうのは?」 【兄】 「それは……」 【優衣】 「ちなみに『生娘』っていうのは、ヴァージンの若い女性っていう意  味よ?」 【優衣】 「それを踏まえて、……兄さん? 生娘のような狭さって、どういう  ことなの? クスッ……説明してみせてー?」 【兄】 「ヴァージンの、ような、初々しい感じの……なんだ、花瓶。うん、  花瓶……そうだ、花瓶……花瓶」 【優衣】 「早くぅー、兄さーん」 【兄】 「待て、待て、いま考えるから」 【優衣】 「くすっ、いま考えるんじゃ答えにならないじゃないの。  兄さんの……お間抜けさん」  新しい玩具を見つけたような表情をして、こちらに寄ってくる。 【優衣】 「兄さん。――はい、見せて」 【兄】 「……なにをだ?」 【優衣】 「実物と包装」 【兄】 「いやいやいや」 【優衣】 「今さら何を誤魔化そうっていうの? そんなよく解らないものを私  に見つかった時点で、隠すなんて無駄なことだわ」 【優衣】 「それとも、お母さんに兄さんが『妹の蜜壺』とやらを購入していた  ことを報告してほしいのかーしらー?」  血の気が引いた。  逃げ場はない。  策などないに等しかった。 【兄】 「……はい」  素直に差し出す。 【優衣】 「はい、お利口ね」  優衣は、しなやかに変形するブツとコテコテなデザインの包装をま  じまじと見比べた。 【優衣】 「んー……どれどれ……。あ、裏表紙に使い方が書いてるわね。  ……ふむふむ」  頭が冷水に浸けられたようにひんやりとしている。  脂汗が止まらない。  手を握り直すだけで汗でぬめる。  優衣は一つ大きなため息を吐く。 【優衣】 「…………なるほど」   【兄】 「は、ははは……」  乾いた笑いしか出てこなかった。 【優衣】 「兄さん」 【優衣】 「これ、もう使ってみた?」 【兄】 「えっと」 【優衣】 「正直に答えて」 【兄】 「まだです」 【優衣】 「まだぁ? 脱衣所まで持っていったというのに、  使わなかったというの?」 【兄】 「一線を超える勇気が湧かなくてな……」  我ながら馬鹿な考えだと思う。  優衣と交わることはできないのだからと『妹の蜜壺』などという馬  鹿げた名前の玩具に手を出したというのに。  結局、玩具と優衣とを重ね合わせ過ぎて、行為に及ぶことができな  かった。  笑うしかない。 【優衣】 「……まったく、なんの勇気なんだか」  呆れたように言う優衣の顔をまともに見れない。  布団に潜り込んでしまいたい。 【優衣】 「……そっか。まだ使ってないんだ」  小さな声。 【優衣】 「……なら、兄さん?」  だから、危うく聞き逃すところだった。 【優衣】 「してあげるから、寝転んで?」 ◆おまけ.1 「オナホでじゅぐじゅぐ」  優衣がローションを垂らす。 【優衣】 「うわ~……」  初めて見る光景に声を漏らした。 【優衣】 「ドロドロしてるのね。まるで水で薄められたスライムみたい。  ……水溶き片栗粉を入れ過ぎたあんかけにも似てるかも」  オナホールの入り口にローションの露が出来あがる。 【優衣】 「ん……、ぁ……。  こんな程度でいいかしら」 【優衣】 「んーっと……『中の空気を抜いてご使用ください』……。  ん、…………こう? こう、かしら……」  ぶひゅ、ぶひゅとローションを分け入って空気が抜けていく。 【優衣】 「あ、ローションが中に入ってった。  くすっ、これで奥までヌルヌルね」 【優衣】 「さて、と。こっちの準備は完了ー。兄さんのほうは……くすっ」 【兄】 「……笑うな」 【優衣】 「あぁ、ごめんなさい。……相変わらず、期待してヒクヒクしてる。  準備は万端そうね」 【優衣】 「……そういえば、電気を点けたままで兄さんのペニスを見るのは初  めてね。……緊張してる?」  明るい室内で、明瞭な優衣の表情。  レースから差し込む柔い月明かりに頼っていた今までとは明らかに  異なっている。  部屋の細部まで見ることができるし、意識も正確だ。  何より、今までは灯りを落とした中ということもあり、日常と異な  った雰囲気だった。  だが、今は逆だ。  室内灯が輝く私室は、日常そのものを演出している。  唯一異なるのは、日常で優衣に見せるはずのない陰茎を露出してい  る状況だ。 【兄】 「……凄く、複雑な気分だ」  ある意味、消灯後は異世界にいる気分だった。  それを今回は、現実にいる気分の中で行為に及ぶ。  俺たち兄妹は、本当におかしい関係なのだと実感してしまう。  それが罪悪感でもあり、興奮でもあった。 【兄】 「お前は?」 【優衣】 「私は……どうだろう?」 【優衣】 「……う、ん。複雑な感じ、ね」  俺の腹部をそっと撫でる。 【優衣】 「でも……やっぱり」 【優衣】 「くす、わくわくしてるかも」  優衣は相変わらずだ。  こんな状況でも、探求心が勝る。  そして、俺への加虐心が募る。 【優衣】 「……ねえ、兄さん?」 【優衣】 「これって、おもちゃだけど……女性の膣内を模した内部構造をして  るのよね?」  パッケージの表紙に書かれた謳い文句の一つだ。 【優衣】 「それで、兄さんは……その、……女性器の具合を、知っているのか  しら?」 【兄】 「それは、どういう?」 【優衣】 「……だから。……ん、兄さんは……」 【優衣】 「童貞、なの?」 【兄】 「どっ」 【優衣】 「くすっ……はーい、その表情で答えが解るわ。  私の記憶通り、兄さんはずっと独り身なようで」 【優衣】 「まったく、寂しいものねー。生身の女性の体を知らずに、  こんなおもちゃで味わおうとするなんて」 【優衣】 「……んふふー、でも……兄さんには、それがお似合いかもしれない  わねー」 【兄】 「どういうことだこら」 【優衣】 「さあ~? どういう意味なのかしらー? くすくすっ」  ベッドの上で足を崩している優衣がオナホを逸物に近づける。 【優衣】 「んー、ていうことは……兄さんはこれで、童貞を卒業することがで  きるわね?」  何か訳のわからないことを言い出した。 【優衣】 「童貞なんていう肩書きは、卒業したと思えばそれで終わり。  それまでのものでしかないわ」 【優衣】 「所詮形に表れるものじゃなくて、状態を表す概念でしかないんだか  ら」 【優衣】 「だから……。くすっ、……そう」  名案を思い浮かんだように微笑んだ。 【優衣】 「今から優衣っていう兄さんの妹の処女を、兄さんのペニスが散らす  の」 【優衣】 「兄さんの童貞を、優衣っていう兄さんの妹が奪っちゃうの」 【優衣】 「妹と兄さんが……繋がってしまうの」  言葉が胸に重なる。  優衣の瞳は俺を捉えていた。 【優衣】 「それはとってもいけないこと。兄妹で交わってしまうなんて、倫理  的にあってはならないこと」 【優衣】 「でも……兄さんは、それを行ってしまう変態だから」 【優衣】 「望んで事に及んでしまうような、最低な人だから」  見つめる目を、俺は逸らせられなかった。  魅了されたように、潤んだ瞳に釘付けにされた。 【優衣】 「兄さんは……こうして」  優衣の手が動く。  逸物の先端に微かな刺激。 【優衣】 「妹の処女を――」  優衣が微笑み、 【優衣】 「奪うの」  包まれた。 【兄】 「っ――!!」  ぞくぞくとした快感。  あるはずのない罪悪感が身体を淫欲に震わせる。  ペニス全体を余すところなく包み込む未知の感覚。 【優衣】 「あ……♪ ふふふっ、入っちゃったーぁ」 【優衣】 「根元まで一気に捻じ込んじゃったわねー? くすくすくす」  何がおかしいのか、あざ笑うように口元を引き上げる。 【優衣】 「どう? 優衣の中は。気持ちいい? 隙間なく兄さんのを包み込ん  で、引き上げるたびにペニスをずるるって搾り上げるの」 【優衣】 「どう? 兄さん。……ちゃんと説明してくれないと、動かすのやめ  ちゃうわよ?」 【兄】 「う、く……!」 【優衣】 「どうなの……にーさーん……」 【兄】 「っっ!?」  耳元で囁かれる声が脳を痺れさせる。  思考が麻痺していく。  羞恥心を根こそぎ奪っていく。 【兄】 「つ、包まれて……っ!」 【兄】 「やばい、ホントにっ、これ……やばっ!」  呼吸音も聞こえるような至近距離で優衣は微笑む。 【優衣】 「……くすっ」 【優衣】 「そう? ……よくできました」  手の調子を変えて、さまざまな刺激を楽しませようとしてくれる。  全方位からの体感したこともない快楽。 【優衣】 「いけない兄さん……」 【優衣】 「優衣の処女を奪っておいて、罪悪感を覚えるどころか……腰を突き  あげるくらいに興奮してる」 【優衣】 「膣の中を、自分のペニスで無理やりこじ開けていることに、喜びを  感じているのね」 【優衣】 「とんだ変態だわ」  オナホの入り口を何度も根元まで叩きつけてくる。  その振動が鼠蹊部に広がり、甘い痺れとなっていく。 【優衣】 「ある意味、そんな変態さんにはこんなおもちゃが相応しいかもしれ  ないわね」 【優衣】 「実物のものを想像して、空想した膣内とおもちゃとを混同させるの」 【優衣】 「本物だと思い込めば、それは本物」 【優衣】 「感じ方は人それぞれ。誰も兄さんの感覚を否定することはできない」 【優衣】 「それに、兄さんは……本物を味わったことがないんだもの」 【優衣】 「本物と偽物のおもちゃとの違いなんて、解りっこないでしょう?  くすくすっ」  顔の横で小癪に嘲笑する優衣。  冷淡な言葉と裏腹に、手の動きには熱が入っていた。  上下の動きは単調なようで、的確に俺の弱いところを探ってくる。  オナホを握る位置や力加減を変え、奥に備えられた吸盤を味わわせ  るように捻じ込ませてくる。  口から洩れる息を堪えるので必死だ。 【優衣】 「早く生身の女性を味わえるといいわねー」 【優衣】 「それまでは……ずぅーっと、おもちゃで我慢しましょうねー。  ふふっ」  発言内容は俺を煽るような憎々しいもの。  その実、子供をからかう優しい声色をしている。  皮肉屋の優衣の声音が、一層に逸物をいきらせる。 【優衣】 「……おもちゃと言っても、兄さんの反応は上々ね」 【優衣】 「快楽に流されまいと煩悶する顔……。時折漏れ聞こえてくる、震え  た吐息……」 【優衣】 「いつも手でしてあげてるときとは全然違う……」 【優衣】 「昨日の兄さんは、嬉しそうにだらしなく口を開けてたけど……。  今日は、凄く辛そう」 【優衣】 「ふふっ、兄さんはなにに耐えてるのかしら~?」 【優衣】 「ねえ。どうして『妹の蜜壺』なんて名前のおもちゃを買ったの?」 【優衣】 「こんな道具、どうせ馬鹿みたいに種類があるんでしょう?」 【優衣】 「それなのに、どうしてわざわざ『妹』が付くものを買ったの、兄さ  ん?」 【兄】 「それは、っ……」 【優衣】 「んー? 言えない? ……へぇ、言えないんだぁ」 【優衣】 「んふふー。……ねぇ、兄さん? もしかして、もしかすると……」 【優衣】 「兄さんは、……私とこういうことがしたかったの?」 【優衣】 「ペニスを……狭い穴の中に無理やり捻じ込むようにして、何度も何  度も奥を突いて……」 【優衣】 「兄さんは、このおもちゃで……私の代わりに、エッチをしようと思  ったの?」 【優衣】 「どうなの? ねえ……兄さん……?」 【兄】 「っ、く……ぅ!」 【優衣】 「……答えないなら、止めちゃう」 【兄】 「ぅ、あ」 【優衣】 「……ねえ、教えて?」 【優衣】 「違うなら違うって言って? 私の勘違いなら、そうちゃんと教えて?  またまただったって。買った後に気付いたんだって」 【優衣】 「でも……違わないなら、『うん』って言って?」 【優衣】 「妹の前で性欲処理するのが気持ちよくて、妹に手で射精させてもら  うのが気持ちよくて」 【優衣】 「彼女のいない兄さんは、妹の私と……」 【優衣】 「“子作りをしたくなっちゃった”って……ちゃんと言って?」 【優衣】 「それを紛らわすために、わざと『妹』と書かれたものを買ったんだ  って、私に教えて?」 【優衣】 「ほら……ほらっ、兄さん……っ」 【兄】 「お、俺は」  目を瞑る。  答えられるわけがない。  お前を犯したくなったのだと、口が裂けても言えない。  いくら優衣から本心を望まれたとしても、思いをぶちまける気には  ならなかった。 【優衣】 「……」 【優衣】 「知ってる?」 【優衣】 「兄さんは、否定するときははっきりと真っ向から否定するのよ?  勘違いされるのを一番に嫌うから、声を大にして否定するの」 【優衣】 「逆にね、肯定するときは、あまりはっきりと口にしないの」 【優衣】 「兄さんったら、総じて受け身姿勢だから。拒絶しなくてもいい場面  では、なあなあで事を運ぶの」 【優衣】 「兄さん……。兄さんが沈黙を守るなら、私は肯定と見なすしかなく  なる」 【優衣】 「妹に、……欲情しちゃった、駄目な兄さんっていう認識を持つしか  なくなる」 【優衣】 「それでも……」 【優衣】 「それでもいいなら……、黙ってて」  我が妹は、聡明だ。  兄の性格をよく理解している。  どのようにしてあげれば、兄から回答を得られるのかを熟知してい  る。  ならば、話は早い。  俺は安心して、沈黙を金とするだけだ。 【優衣】 「……」 【優衣】 「……まったく」 【優衣】 「本当に、駄目だめな兄さん」  手が始動する。  中断させられていた逸物への圧搾。 【優衣】 「こんなにビクビクと震えさせて……妹におもちゃで弄ばれて、そん  なに嬉しいの?」 【優衣】 「妹を犯す連想をして、ペニスでおもちゃを抉り回して。……こんな  ことをしたら壊れてしまうーとは考えないのかしら?」 【優衣】 「まだ……まだ、妹は処女なのに……兄さんの『おちんぽ』で、大人  に変えちゃうんだ……」 【優衣】 「絶対に入っちゃいけないところなのに、自分の意思で挿入して……  どんどん開拓していっちゃうんだ……」 【優衣】 「ギチギチに兄さんの『おちんぽ』を締め上げる妹の『おまんこ』、  兄さんのでブチブチーって分け入っちゃうんだ……」 【優衣】 「最低。……ホントに最低な兄さん」 【優衣】 「最低……最低……。最低……、最低、最低っ」 【優衣】 「……最低な兄さんは……このまま、どうするのかしら……?」 【優衣】 「まさか、中に注いだりなんて……ふふっ、しないわよね?」 【優衣】 「だって、そんなことをしたら、兄さんとの赤ちゃんができちゃう」 【優衣】 「妹を孕ませるためだけに吐き出された精液を、子宮がごくごくーっ  て飲み干して……そのまま、兄さんの子供を孕んじゃう」 【優衣】 「妹が兄さんと子作りしてるんだもの。奥に押し付けて射精しちゃっ  たら、絶対に……」 【優衣】 「……でも、兄さんはそれを……望んでるのよね?」 【優衣】 「だって、兄さんは最低な兄さんだもの」 【優衣】 「最低で、駄目だめな……お兄ちゃんだから」 【優衣】 「だから……しょうがないのよね」 【優衣】 「このまま中に、どぴゅどぴゅ射精しても……仕方ないものね」 【優衣】 「だって兄さんは……妹に優しーく、きゅぅ~って包まれながら……  妹の中でぴゅくぴゅくーって射精したいのよねー?」 【優衣】 「ふ……くすくすっ。…………いいよ、兄さん」 【優衣】 「好きなだけ、ナカに……出して?」 【兄】 「うっ! くっ、あぁ! ハ、ァァァ……っ!」  どぷっ! どぴゅっ! びゅっ、びゅくくっ!! ビューッ!! 【優衣】 「あっ❤ どぴゅ、どぴゅっ❤ ぴゅぅーっ♪ ぴゅっ、ぴゅっ♪  ぴゅぅーっ♪ っ、はぁ……何回も腰を跳ねあげて……、  ぺちっ、ぺちって腰をおもちゃにぶつけるくらい奥まで挿入して…  …射精してるー……」 【優衣】 「くす、ふふふっ。……そうやって、子宮口とキスしながら……、  中のほうまで……子宮の中まで、兄さんの赤ちゃんの素……注ごう  としてるんだぁ……」 【優衣】 「妹の処女まんこにそんなことしたら、孕んじゃうかもしれないのに?  妹が、兄さんの赤ちゃんを作っちゃうかもしれないのに?」 【優衣】 「……それなのに兄さんは、構わずに……『孕めっ、孕めーっ』て…  …妹の奥に注いじゃうのね?」 【優衣】 「……最低」 【優衣】 「最っ低」 【優衣】 「……サイテーな兄さん」 【優衣】 「……くす。  ふっ、ふふふっ」 【優衣】 「ふ、……ごめんなさい、兄さん。今のは全部冗談よ。  ……ちょっとばかり苛めすぎちゃったわ」 【兄】 「え……?」  荒い息を吐きながらぼんやりとした意識の中、優衣の顔を見つめる。 【優衣】 「もう、そんな顔をしないで。……ごめん、罪悪感を植え付けるよう  なやり方をして」  俺の頭を優衣の手が優しく撫でる。  撫でられた箇所からじんわりと熱が拡がっていく。 【優衣】 「兄さんはそんなことするつもりはないのに、誘導尋問のように、勝  手に兄さんの心象操作しちゃってた」 【優衣】 「兄さんは駄目ダメな兄さんじゃない。最低な兄さんじゃないわ。  おもちゃへの好奇心が勝った、普通の男の人」 【優衣】 「妹に手を出したいなんて、これっぽっちも思ってないもの。ね?」 【兄】 「……俺は」  言い掛けた声を優衣が遮る。 【優衣】 「今はまだ私の誘導による暗示にかかっている状態、きっと正常な判  断は下せないわ」 【優衣】 「思ってもいないことを口に出してしまう可能性が高い」  優衣は暗示を掛けた気でいるのだろう。  だが、それは違う。  あのやり取りは誘導尋問などではなく、俺の本心をただなぞっただ  けのもの。  最悪な話だが、何一つ間違っちゃいない。  それでも、優衣は自分の正しさを主張するように言葉を続ける。 【優衣】 「背徳感による快感は心地よかったかもしれないけど、それでは日常  に支障をきたしてしまう」 【優衣】 「だから、ゆっくり休んで」  下りてきた手は、次第に頬を撫でる。 【優衣】 「寝て起きれば、今までの、いつもの日常へ戻れる」 【優衣】 「昨日の自分はなんだったんだろうかって、不思議に思うくらいに」 【優衣】 「だから、今は休みましょう?」  未だかつてない疲労感が体を鉛に変えている。  優衣の言葉には何の説得力もない。  的外れな前提で話を結論付けようとしている。  ……が、今はそれでいいかもしれない。  背徳感や罪悪感に塗れながら、複合的に発生した快楽による性処理。  精神的にも肉体的にも疲労を感じていた。  的外れであろうと、睡眠を促す優衣の言葉は間違いではない。  潔く従っておこう。 【優衣】 「兄さん、……お休みなさい」  今日の出来事は、有耶無耶になるような気がした。

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