■01
お父さん?
ビールのお代わりいかがですかはい、わかりました。
それでは、日本酒にしましょうか……んふふ。
私も、ちょっとお相伴にあずかっちゃおうっと♪
ふんふふ~ん……おっとっと。
はい、どうぞ♪
あらやだ。
お父さんってば、いつもお上手ですね……会社でも、女の子にモテるんじゃないですか?
そんなコトありますよ。
それに比べてあの人ときたら、お世辞の一つも言えないんですから……あ。
お世辞って言っちゃいましたね、んふふ。
でも、女の子はお世辞ってわかってても喜びますから。
私ですか?
あ~……そうですね。
せめて、お世辞くらい、言われたいですよね~。
ふぅ~……最近は特に忙しいようで、私の方が労りの言葉をかけるばかりです。
もう何年も、愛の言葉さえもらってない気が……って、あ、あはは。
すみません、こんな愚痴……うう、そうですか?
情けない嫁ですみません。
でも、ありがとうございます♪
あ~ぁ、お父さんが旦那様なら良かったですね。
亡くなられたお母様、幸せだったと思います。
絶対そうです!
私から見ても、お父さんは本当に魅力的な人だと思いますよ。
って。
こ、これじゃ、愛の告白みたいですね……あはは。
それに、今夜も二人きりで夕飯……あの人がいる時の方が少ないんじゃ、まるで私とお父さんが夫婦みたいですよ。
えぇ、本当に……えっと、あ、あはは……。
んひゃっ!?
あっ、あぁ、やっと帰って来た?
すみません。
迎えてきますね?
お、お帰りなさい、あなた~。
あぁ、もうっ……なんでそんなに酔っ払ってるんですか!?
お酒弱いんだから、あれほど飲み過ぎないようにって……あ、あん!
そんなコト大声で言わないで?
お父さんに聞かれちゃうわ。
それに、そんなに酔ってたら何もできないでしょ……。
ほら、寝るならお部屋でっ。
お風呂は明日の朝……あぁもう、歯磨きくらいできないんですか?
ふぅ~、やれやれ……。
まったくもう……酔ってる時ばっかりその気になって。
どうせ途中で中折れしたり、寝落ちしちゃうんだから……あ。
あらやだっ……お父さんっ、いらっしゃったんですね?
うぅ、恥ずかしい……すみません。
また、変な愚痴を聞かせてしまって。
忘れて下さい。
えっ……あぁ、えっと。
そう、ですね……夜の元気は、あまり出ないようで……。
これでは、いつになったら孫を抱かせてあげられるのか……本当に、不甲斐ない嫁で申し訳なくて。
あぁいえ、昇進したばかりで、仕事を頑張る時期なのはわかってますから。
で、でも……あはは。
お恥ずかしながら、私もいつまでも若くはないですから、できれば、早いに越したことはないと思ってはいるんです……思っては。
でも、あの人があれでは。
本当に……あの人が、お父さんくらい精力的な人だったらって思います。
お酒も強いですし、きっと、あっちの方だって……って!
い、いやだ私ったら……うう、すみませ~ん!