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00.旅立ちの前に

失礼致します。 姫騎士のコーネリアです。 お休みの…ところでしたでしょうか? 大丈夫ですか? それはよかったです。 明日からの旅のご出発の前に、勇者様に 改めてご挨拶しておきたく…こうしてお部屋に寄らせて頂きました。 いよいよ、ですね。 旅の支度は…先ほどお城のメイドに言いつけておきましたので 勇者様は手ぶらでお旅立ち下さい。 勇者様が魔王を倒し、この世界に平和が訪れ早1年。 すっかり世界中の国々が繁栄の礎を築き始めております。 多くの人々が亡くなった世の中でしたが、 これから多くの赤ちゃんが生まれると聞き及んでおります。 私たちのこの国「メイリード」も町で多くの赤ちゃんが生まれたと 王であるお父様から聞き及んでおります。 メイリードは騎士の国ではありますが、 私たちの騎士の剣(つるぎ)と盾は本来平和のための武具。 魔物や人を斬る為のモノでは決してありません。 これからはこの国や世界の人々を守るために、騎士の剣を使えることを望んでおります そもそも「騎士」とは 王であるお父様や第一王女である私も例外でありません。 「王族である前に、一人の騎士であることを忘れるな」と お父様からは何度も強く言いきかせられたものです。 前回の魔王討伐の旅で、この国に勇者様が寄った際 私はまだ幼く騎士の修行の身でありましたから、ご一緒することは叶いませんでした。 しかし、あれから数年が経ち、私も一人前の騎士となることができ、 今回の旅の「護衛」としてご一緒させて頂けることとなりました。 魔王がいなくなったとは言え油断禁物。 魔物の残党はおりますし、 治安の悪い地域もあり、決して安全とは言えない世の中は以前続いたまま…。 ですから 姫であり、騎士である、『姫騎士』の私の護衛が必要となるのです 勇者様も私に身を委ねて頂けたらと思います 私は、勇者様のように強力な魔法を使えたり、俊敏な動きは出来ません。 しかし、私は修行から得た長けた体力と、メイリードで作られた強力な防具があります。 勇者様の前に立ち、敵からの攻撃を盾で防ぎ、お守り致します! いわゆる前衛防御型のタンク、ですね♪ ところで… 今回の旅の目的、覚えておられますか? そう、エルフが治める国「クロワール王国」へと向かい エルフの姫君らを娶る(めとる)事。 平和が訪れた国々が繁栄を築く中、 クロワールはエルフの国という事もあり、男子が少なく、少子化に悩まされていると聞いております。 特に、王族はこの問題が深刻で子は女子ばかりな上に、 王族に適う男性がおらず、後継者不在の状況。 そこで 白羽の矢が立ったのが世界を救った勇者様だったという訳です♪ 勇者様であれば、血筋も功績もエルフの配偶者には適っております。 勇者様は若いですし、子を残すにはまだまだお時間もございます 更に「クロワール」は一夫多妻の国。 沢山のエルフを妻として迎え、同時に多くの子を残せるという訳です♪ 一つだけ、問題がありまして、 それはクロワール王国はここより遥かに西国(せいごく)の国と言う事。 勇者様とはいえ、とてもお一人では向かうことが出来ません。 魔物の残党はもちろんのこと、 悪しき淫魔「サキュバス」は、勇者様のお子種を狙い、多くの国で待ち伏せをしています。 だからこその私、姫騎士の護衛が必要という訳です 勇者の命とお子種は、私の命に代えてもお守りしなければなりません。 今回もおそらく長い旅になります。 今夜が、この豪華なお部屋でゆっくりできる最後の夜となるでしょう。 しっかりお寛ぎになり、心身をお休みさせ長旅に備えましょう では、 まだまだ未熟な姫騎士の私ではありますが 旅のお供として、どうぞよろしくお願い致します。

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