01_おはようお姉様。ここは四葉の部屋だよ。
「おはよう、お姉様。気分はどう? 頭が痛かったりしない?」
「そう。特に体調が悪いわけじゃないなら良かった」
「不思議そうな顔をして、どうしたの? どこかおかしなところでもある?」
「あー、手と足が動かせないの、気になっちゃったかな?」
「それはリボンだよ。可愛いでしょ? お姉様にぴったりだと思うの。とても似合っているよ、お姉様」
「手だけじゃなく、ちゃんと足も同じやつで縛ってあるから、引っ張って外そうとするのは無理だと思うな」
「ん? なぁに、その顔? もしかして、四葉がふざけてやってると思ってるの? 冗談でお姉様を縛ってるって?」
「そんなわけないのに……」
「あのね、お姉様。これは冗談じゃないの。四葉は本気」
「手と足にリボンをされちゃって何だろうって思っちゃうのはわかるけど、冗談でお姉様を縛ってるんじゃないってことだけは、わかってほしいな」
「それにしても……はぁ……お姉様が私の部屋にいて……私のベッドの上で縛られてるなんて……」
「いつかこんな日が来るかもしれないって、想像することはあった……ううん、何度も、何度も何度も想像した……でも、本当にそうなるなんて、思ってなかった……夢みたい……」
「手足を縛られて、身動きできないお姉様……抵抗できないお姉様……なんて素敵なの……なんて色っぽいの……はぁ……ゾクゾク、しちゃう……」
『ほら、こうやって……急にお耳を舐められても……抵抗、できないでしょう?』
『くすぐったい? ふふっ……でも、手も足も縛られてるから、逃げられないよ?』
『抵抗することができないお姉様に拒否権はないの……全てを受け入れるしかない……わかる?』
「ふふっ、お姉様ってばじたばたして……そんなに嬉しいの? それとも……まさかとは思うけど、逃げ出そうとしてるわけじゃないよね?」
「だめだめ、さっきも言ったよね? いくら強くひっぱっても外れないよ? ほら、よく見て。そのリボンかわいいでしょ。お姉様に似合うのを、一生懸命選んだんだから……」
「思ったとおり、すごく似合ってる……手と足をリボンで縛りつけられてるお姉様……すごく、いい……」
「ん? どうしたの、お姉様。何か言いたそうな顔して……あ、ひょっとして、リボン、きつかった?」
「ごめんね。痛いのは嫌だよね。お姉様の手や足に見とれて、つい強く締め付けすぎたかも……。お姉様の手首にの跡が残っちゃうのは、四葉も嫌」
「でも、緩めてあげることはできないの。折角結んであげたリボン、外れたら勿体ないから」
「……あれ? そういうことが聞きたかったんじゃないの? 違った? ごめんね? 四葉、ちょっと勘違いしちゃった」
「じゃあ、どうして四葉がこんなことをするのか知りたい、とか思ってるのかな?」
「……え、当たり? すごい! すごいすごい! 以心伝心、だね!」
「でもね、お姉様。残念だけど、四葉がこんなことをする理由は教えてあげられない。えっとね、正確には、簡単には教えたくないってこと。わかる?」
「こんなことをする理由は、お姉様自身に気づいてもらいたいの。だから、胸に手を当てて、よーく考えてほしい」
「お姉様、目が覚めたばかりで頭がぼーっとしちゃってるからわからないのかな? 四葉なんかよりも頭が良いお姉様にはちゃんとわかると思うよ?」
「胸に手を当てて、よーく考えてみて。ほら、少しだけ時間をあげるから、ちゃーんとお姉様、自分の頭で理由を考えてみて」
「あっ、でも胸に手は当てられないかな。当てたつもりで、考えてみて?」
『まさか……分からないなんてことは、無いよね? お・ね・え・さ・ま』