02_理由が知りたかったら、わかるよね?
「どう? お姉様、そろそろ理由、分かった? 頭の良いお姉様のことだから、とっくに分かってるかなとは思うんだけど」
「……」
「……あれ? その沈黙は、わからないってこと? 本当に?」
「考える時間はいっぱいあったよね? お姉様、本当にわからないの?」
「……そっか、わからないか。うん、まぁ仕方ないよ。頭がぼーっとしてる今のお姉様には、難しいかなって思ってたし」
「それじゃ……お姉様、黙ったまま、目を閉じて。そうしてくれたら、ヒントを教えてあげる」
「こんな状態で目を閉じたら、何をされるかわからなくて不安だと思うけど……お姉様を傷つけたり、痛くなるようなことは絶対にしないから」
「もちろん、四葉を信用できないなら拒否してくれてかまわないよ。お姉様を四葉の部屋に閉じ込めておいて、信じてほしいっていうのは虫のいい話だし……」
「でも、でもね。四葉のことを信じる気持ちが少しでもあるなら……目を、閉じてほしいな……」
「……目隠しまでしてしまうと、お姉様の可愛らしいお目めが四葉から見えなくなってしまうから……」
『……お姉様……ありがとう……』
『これが……ヒントだよ……』
「ちゅっ」
「……お、お姉様ぁ……目を閉じててって言ったのに、急に目を開いたら、ドキドキしちゃうよ……そんなふうに見つめられたら、恥ずかしい……」
「でも、その驚いた顔……もしかして、今のキス、冗談だと思ってる?」
「冗談で、こんなこと、しないんだから……」
「ちゅっ……ちゅっ……ちゅっ……」
「これで、四葉の気持ち、伝わった、かな……」
「ヒントっていうのはね、四葉の気持ちのことだよ。四葉がお姉様をどう思ってるか。それがヒント」
「お姉様はすごく勤勉で、真面目で、聡明で……誰に対しても分け隔てなく優しくて……他の誰から見ても、そんな素敵な女性だけど……」
「そんな素敵なお姉様のそばにいるために、四葉はいっぱい、いっぱいいっぱいがんばった」
「お姉様のためなら、どんな辛いことでも全然苦にならなかった。お姉様が笑顔になってくれるだけで、とっても嬉しくて、幸せで……」
「そうやって、いつもそばにいて、お姉様に尽くしていれば、いつか、お姉様が四葉の気持ちに気づいて、四葉だけを見てくれる……そんな関係になれるんじゃないかって思ってた……」
「でも……お姉様は……」
「なんて、昔の話はもういっか。過去のことより、大事なのは今だよね」
「お姉様がこんなにも近くにいる。四葉の手だけが届く場所にいる。それだけで、四葉はすっごく、すっごくすっごく幸せなの」
「だけど……やっぱり……こうしてお姉様が目の前にいると……ふふっ」
「少しくらい、四葉も素直になりたくなってくるの」
「嫌だったら……思う存分抵抗、して良いよ。お姉様」
「ふふっ、抵抗しなかったってことは……お姉様も喜んでくれているってことだよね? 四葉、嬉しい」
「それじゃあ……もうちょっとだけ……」
「お姉様? ちゃーんと口を開けて四葉のキスに応えてくれて嬉しい。でも……四葉が舌を動かしてるのに、お姉様の舌、動いてなかったよ?」
「ほら、もう1度してあげるから……次はお姉様も」
「……やっぱりお姉様、まだ頭がぼーっとしてるのかな? そうだよね? だから、舌を動かしてくれなかったんだよね」
「でも……嫌だったらきっと舌を噛み切ったりしてたはずだし、嫌だったとかは全然ないよね、お姉様。四葉、安心したよ」
「お姉様の気持ちも確認できたところで……そろそろこうして手と足にリボンされちゃっている理由も気付いてほしいな」
「お姉様は……まだわからないのかな? お姉様は頭が良いし、四葉のことをたくさん想っているのに……おかしいなあ……」
「おかしい……本当におかしいなぁ……気付いて、ないのかなぁ……」