01_お帰りなさい。今日もお疲れ様ね。
「あら、お帰りなさい。今日も……随分とお疲れの表情をしているのね」
「でも……帰宅なさるとすぐに明るい表情になるなんて……そんなに私の顔を見られて嬉しいのかしら? ふふふ」
「帰宅するとすぐにこうして私の高貴な笑顔に触れられるなんて……光栄で仕方ないものね?」
「冗談――冗談でも無いのだけど、本当にお疲れ様。疲れたでしょう?」
【位置 正面若干左寄り 距離 近】
「そうやって貴女は……いつも頑張りすぎてしまうのが良いところでも、悪いところでもあるわ」
「……私は、そんなところも愛おしいと感じていたりするのだけど」
「あら、疲れているのに……立ち話をしてしまって、私ったら。ついつい貴女の顔を見ると……嬉しくなって言葉が止まらなくなってしまうの」
「家事をしながら『帰ってきたら何を話そうかしら』と、そんなことばかり考えてしまっているの……おかしいかしら……?」
「ええ、そうよね。愛おしい貴女のことを考えるのは当然だわ。だって、愛おしくて仕方ないのですもの」
「ふふっ、こうして話しているだけで……貴女と一緒になって良かったと痛感するわ」
「そうそう、今日の夕飯は何が良いか迷ったのだけど……貴女が食べたいものを作ろうと考えていたはずなのに……気が付けばラーメンになってしまったのだけど……良かったかしら……?」
「……でも悪いのは私ではなく、あんなに良い匂いを漂わせているラーメン屋さんだと思うの」
「……ねえ、貴女? 貴女はラーメン……食べたくないかしら? それとも、他の食べ物が良いかしら?」
「私はラーメンを食べたいのだけれど……貴女もラーメン、食べたいわよね?」
「ふふふ、良かったわ。買い物をしているときから今夜はラーメンと決めていたから、貴女に断られたらどうしようかと思っていたの」
「やはり……ふたりで一緒に同じものを食べたほうがおいしいと感じるものだから」
「……さて、夕飯のメニューも決定したことですし、私もお腹が空いているから早速ラーメンを作る準備、することにするわ」
「貴女は……そうね。お風呂にでも入ってきたら良いと思うのだけど……」
「……」
「……でも、ラーメンを食べたら汗をかいてしまうから……お風呂は後のほうが良いかしら?」
「……それでは、ラーメンが出来るまでゆっくり寛いでいてくれると良いわ」
「さあ、どうぞ? テレビでも見ながらゆっくりと――」
「……」
「あら? どうしたのかしら? 急に腕まくりをして……」
「もしかして……テレビを見ているより、私と一緒に居たいのかしら?」
「ふふふ、貴女ったら。それじゃあ……ふたりで一緒に、ラーメンの準備、しましょうか」
「ええと……私は麺を打つから、貴女はスープの鍋、見ていて頂戴。昼間から煮込んでいるからおいしいスープが取れていると思うのだけれど……」
「あ、そうそう。チャーシューを切っていて貰えるかしら? 私は……5枚くらいあれば嬉しいわ。貴女は……お好きなだけ切り分けて」
「切れ端はミニチャーシュー丼にするから、摘んだりしてはダメよ? 少しくらいの味見であれば構わないけれど」
「ええと、それじゃあ私は――」