Track 1

Next Track Back

「プロローグ。紅の自己紹介」(気動車内走行音)

;//////// ;Track1 プロローグ。紅の自己紹介 ;//////// ;プロローグタイトルコール ;1/前 【紅】「蓄音(ちくおん)レヱル。現・肥薩(ひさつ)みかん鉄道所属。 旧南颯鉄道(きゅうなんさつてつどう)キハ100形(ひゃっけい)キハ101(いちまるいち)専用レイルロオド 紅。 紅の自己紹介!」 /// ;環境音 列車内(肥薩おれんじ鉄道列車内走行音を想定) F.I. ;3/右 【紅】「(うたたねの寝息)(寝息)(寝息)(寝息)」 【紅】「(寝息)(寝息)(寝息)――ふがっ!?」 【紅】「うぁ――あ……いまぼく……紅、寝ちゃってたね。 ん……(のび)――はぁ。 ごめん、相棒。あんまり乗り心地がよくって、っていうか――」 【紅】「(30秒ほど列車の音に耳をすませる呼吸音)」 【紅】「……いいね、この新型気動車。試運転とは思えないくらい安定してる。 新型っていっても、観光用に改装されただけの車両だけど、いじった部分もかぎられてるんだろうけど。 それでもこの安定加減はすごいよね」 【紅】「車両デザイナー、右田日々姫(みぎたひびき)か。 御一夜鉄道(おひとよてつどう)のれいな、キハ07s(れいななえす)のレイルロオドの同僚だから、どんなものかって思ってたけど―― この改装の仕上がり具合を見る限り、本物なんだね、実際に」 【紅】「……(呼吸音)(呼吸音)……それにしても……ぁ……ふ……(大あくび)」 【紅】「乗客として乗るっていうのはいいもんだねぇ。 なーんにもしないで、それこそ居眠りしてたって目的地につけちゃうんだから。 ……乗務ももちろん楽しいけどね。こっちはこっちですごく楽しい」 【紅】「ま、居眠りとかするくらいゆるんじゃったのは――へへっ、隣に相棒がいてくれるおかげかな。 なにもかも忘れるくらいに安心できて…………って、いけね、実際わすれちゃってた」 【紅】「インタビューっていうの、どうなった? 新聞記者だかなんだかの。 ぼくが寝てる間にひょっとして終わってたりとか――」 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――まだならよかった。 ってか、この試運転に乗り込んでくるって話だった気がするけど―― いったい何時にどの駅から…………ぁ」 ;ブレーキ→停車 ;SE ドア開 ;SE 足音乗車 ;SE ドア閉 ;ブレーキ緩解→走行 ;3/右 接近囁き 【紅】「…………この試運転って関係者以外乗ってこれないよね。 ってことは――(呼吸音)(呼吸音)――っ!」 ;3/右 (顔は記者に向ける=マイクと同じ視線) 【紅】「こんにちわ。インタビューの話をくれた新聞記者さんって……(呼吸音)(呼吸音)―― ああ、やっぱり、はじめまして。ぼくは紅。 廃止されちゃった南颯鉄道のキハ100形トップナンバー機、キハ101の専用レイルロオドで、 いまは相棒――マスターと一緒に、肥薩みかん鉄道でお仕事してる」 【紅】「記者さんは、南颯鉄道って知ってる? (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……そっか。 いい鉄道だったんだよ。すごく――ものすごく」 【紅】「鹿兒島(かごしま)の西南端。颯馬(さつま)半島の枕咲(まくらざき)から加勢田(かせだ)を経由して移住院(いじゅういん)まで。 ……大詔(たいしょう)うまれの蒸気機関車がことこと貨物を牽(ひ)いてたりしてさ、とってものどかな路線だった」 【紅】「そののどかな路線で、紅はエースだったんだ。 南颯のキハ100形は、帝鉄(ていてつ)のキハ07形(れいななけい)――あの大傑作気動車の唯一の弱点だった足回りを補強した、『改良形』の気動車だったからね。 自社発注のピカピカの新車――ものすごく期待されたし、その期待にも応えてた。絶対に」 【紅】「紅たち、キハ100形は6姉妹でさ。みんな一斉に新造されたいわば六つ子で。 (微笑)……楽しかったよ、毎日毎日。 ただお客さんを運んで戻るだけなのになんでこんなに楽しいのかなって…… ちょっと不思議になっちゃうくらい。うん。楽しかった」 【紅】「けど――エアクラが発展して、鉄道が衰退して。 南颯鉄道も大廃線の波に抗いきれずに廃止されて……妹たちも解体されて」 【紅】「………………。 しんどい時期もあったけど、相棒がいてくれたから、乗り切れて…… いまはもう一度走れてるし、楽しいよ。 楽しいって思えるようになったんだ、また」 【紅】「乗ったことある? 肥薩みかん鉄道。 海沿いの車窓は、多分日ノ本一(ひのもといち)だよ。おおげさじゃなく」 【紅】「ん? ……(呼吸音)(呼吸音)――ああ、そうだ、インタビューだったっけ。 インタビュー、ちょうどみかん鉄道の話を聞きたかったの? ああ、ならよかった」 【紅】「あ、他にも話が?……(呼吸音)(呼吸音)――うん――(呼吸音)――うん。 沿線の……音」 【紅】「音を探せばいいの? 言われてることはわかるけど――でも、音ってそんなのなんのために」 【紅】「うん……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音) ! わ! いい!!! それいいねぇ! 『蓄音レヱル』! 音を通じて沿線の、みかん鉄道の魅力を紹介してもらえるって。 しかも新聞、全国紙で!」 ;3/右(顔記者向き) “ねぇ”から →;3/右(顔マイク向き) 【紅】「やるやる、そんなの絶対やるよ。やらなきゃ損じゃん。ねぇ相棒。 あ……けど、音のことなんてぼく全然わかんないし、相棒だって……」 ;3/右(顔マイク向き) “そのへん”から→;3/右 (顔記者向き) 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)――だよね。 そのへんって、どうすればいいとかあるかな」 【紅】「うん……(呼吸音)……あー……(呼吸音)ふんふん、そっか。なるほどねー。 紅たちたはただ、紅たちが『いいかんじー』っておもう音がする場所をチェックして、 それを記者さんに伝えればいいだけなんだ」 ;3/右 “んじゃ”で座席から立ち上がり→;1/前 【紅】「そうするためには――オッケーわかった。ヘッドホンかイヤホンね。 んじゃ――よいしょ――紅が相棒につけたげるよ」 ;$=SEヘッドホン装着音(両耳同時) 【紅】「ん…… $ (呼吸音)(呼吸音) ――っと、どう、こんな感じかな。耳、しっかりあたってる?」 【紅】「ちょっとテストした方がいいかな。しよっか。 じゃ、いくよー」 ;7/左 (接近) 【紅】「ひだりみみ」 ;1/前 【紅】「ふふ、よく聞こてるっぽいね。 んじゃ、今度はちっちゃいの聞こえるかのテスト」 ;3/右 (耳打ち・小声) →ふきかけ 【紅】「みぎみみ。でもって―― (ふーーーーーーーーーーーーっ)」 ;1/前 “んしょ”で座席に座り直して →;3/右 【紅】「あはは、良く聞こえてるみたいだね。 テストオッケ-! んしょっ」 ;3/右(顔記者向き) “ってか”から →(顔マイク向き) 【紅】「それなら記者さん、相棒と紅で、『蓄音レヱル 肥薩みかん鉄道』の取材、たしかに引き受けるから安心して。 ってか……ちょっと相棒、耳かして」 ;3/右 (耳打ち) “あはは”から→;3/右(通常) 【紅】「今日ふたりともおやすみだしさ。 このまま一緒に――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― あはは! オッケー、そーしよ!!」 ;3/右(顔マイク向き) 【紅】「それならふたりで、このまま一緒に! 音探しの旅! 出発! しんこーーーー!!!」 ;SE 環境音 F.O.

Next Track Back