Track 10

雨_迷子_バス停_キス

 予報、晴れだったのに。  大丈夫? 寒くない? 濡れたよね。      よかった。    あたしは平気。   まさか、こんな降られるなんて思わなかったよねぇ。  バス来るまで後三十分か。  まだちょっとあるね。    ううん。あんたのせいじゃないよ。  『こっちの道行ってみよう』とか、適当言ったあたしが悪い。  それでも、バス停見つかって安心したよね?  こういう小さい待合所って、すごい田舎~っていうか。  風情ある~って感じ。  ん?  え。これ、貸してくれるの?  ダメだよ。あんたの持ち物なんだから、あんたが着なよ。    え?  あっ……⁉  透け、てる。  ……そっか。  ……ごめん。目立つよね。  ありがとう。お借りします。  あんたってすごいね。  なんか荷物でかいなと思ったら、上着持って歩いてるなんて。  さすが、あたしの彼女は違うな。  ううん。そんな事ない。すごいよ。  ……あたし、こんなに大事にされるの、初めて。  なんか、照れるね……。    うん?    ……どうしたの? 急に。    なんで、謝るの?    …………。    いいんだよ。いつも、かっこよくなくても。    ほら、あんたって最初に会った日から、ずっと頼れて。  今も上着貸してくれてさ。  年下だけど『お姉ちゃん』って感じじゃん?  だからさ。ちょっと変な言い方だけど。  あんたにも、完璧じゃない時があるんだなって。  そう思うと、ちょっと安心するよ。  あたしでも、あんたの力になれる事があるのかもしれないって思えるから。  そもそも、主に悪いの、あたしだし。  あんたはあたしを助けようとしてくれて、ちょっと迷っただけなんだから。  『さっきの人に見つからないように帰ろう』って言ってくれて、嬉しかったよ?    うん……?  うん。  …………。  あんたはとっくに。あたしの自慢の女の子だよ?  こっちおいで。  膝の上、乗って。    ふふ。泣いてる。かわいー。  思わないよ。嫌になる訳ない。あんたが好きだから、一緒にいるんだよ?  ああ。  あんた。もしかして。  あたしが『さっきの人の方がいい』とか言って、ついてっちゃうとでも思ったの?    ばかだね。  そんな訳ないじゃん。  そりゃ、あたし。  確かに軽い、って言うの?  そういう風に思われる感じかもしれないけど。  ほんとはいつも、なんか明るい感じのキャラ作って。それでなんとかしてるってだけ。  さっきだって、普通に嫌だったよ?  『早くあんたに来てほしい』って、ずっと思ってた。    そうだね……。  あんたと普通に話せるのは……。  あんたが優しいからだと思う。  あんたといると、安心するからだと思う……。  だからね。  あたし、あんたが思ってるよりもずっと、あんたが好きなんだよ。  他の人からそう見えなくたって。あんたはあたしの、自慢の恋人なの。  ね?  うん?  え……?  これ……あたしに?  まさか。さっきこれ買ってたから、遅かったの?    じゃあ。あんた。  さっき。あたしにプレゼントしてくれようとして。  なのに、戻ったらあたしがさっきの人といたから、怖くなっちゃったの?  『自分より、歳の近い男の人のがいいかも』って思っちゃったの?  ばかだね……❤  ううん。ごめんね。不安にさせたよね。  こんなに一杯想ってくれて、ありがとう……。    これ、靴?  開けていい……?  ……。  可愛い。  もしかして。今着てる服に合わせて、探してくれたの?  うん。絶対合うと思う。履いていい?    ほら、見てよ。完璧。  そうだ。最初の日に教えてたね、靴のサイズ。  そっか……これ鞄に入ってたから、荷物でかかったんだ。  ありがとう。ずっと大事に履くね。  すごく、嬉しい。  喜ぶよ。喜ぶに決まってるじゃん。  好きな人からのサプライズプレゼントだよ? 嬉しいに決まってる。  本当にありがとう……。    てかさぁ……。  あんた、昨日人のおっぱい死ぬほど揉んだり吸ったりしといて、何不安になってんの?  帰ったらさ。今日もするでしょ?  明日もするでしょ?  あたしと、付き合ってるんでしょ……?    うん。しよ。引く位やばいのしよ。  他の人とは、まず出来ないようなの、しよ?    来てよ……。どうせバスまだ来ないし、他の人も来ないよ。  ちゅ。  恋人同士のエロい事しよ。