雨_迷子_バス停_キス
予報、晴れだったのに。
大丈夫? 寒くない? 濡れたよね。
よかった。
あたしは平気。
まさか、こんな降られるなんて思わなかったよねぇ。
バス来るまで後三十分か。
まだちょっとあるね。
ううん。あんたのせいじゃないよ。
『こっちの道行ってみよう』とか、適当言ったあたしが悪い。
それでも、バス停見つかって安心したよね?
こういう小さい待合所って、すごい田舎~っていうか。
風情ある~って感じ。
ん?
え。これ、貸してくれるの?
ダメだよ。あんたの持ち物なんだから、あんたが着なよ。
え?
あっ……⁉
透け、てる。
……そっか。
……ごめん。目立つよね。
ありがとう。お借りします。
あんたってすごいね。
なんか荷物でかいなと思ったら、上着持って歩いてるなんて。
さすが、あたしの彼女は違うな。
ううん。そんな事ない。すごいよ。
……あたし、こんなに大事にされるの、初めて。
なんか、照れるね……。
うん?
……どうしたの? 急に。
なんで、謝るの?
…………。
いいんだよ。いつも、かっこよくなくても。
ほら、あんたって最初に会った日から、ずっと頼れて。
今も上着貸してくれてさ。
年下だけど『お姉ちゃん』って感じじゃん?
だからさ。ちょっと変な言い方だけど。
あんたにも、完璧じゃない時があるんだなって。
そう思うと、ちょっと安心するよ。
あたしでも、あんたの力になれる事があるのかもしれないって思えるから。
そもそも、主に悪いの、あたしだし。
あんたはあたしを助けようとしてくれて、ちょっと迷っただけなんだから。
『さっきの人に見つからないように帰ろう』って言ってくれて、嬉しかったよ?
うん……?
うん。
…………。
あんたはとっくに。あたしの自慢の女の子だよ?
こっちおいで。
膝の上、乗って。
ふふ。泣いてる。かわいー。
思わないよ。嫌になる訳ない。あんたが好きだから、一緒にいるんだよ?
ああ。
あんた。もしかして。
あたしが『さっきの人の方がいい』とか言って、ついてっちゃうとでも思ったの?
ばかだね。
そんな訳ないじゃん。
そりゃ、あたし。
確かに軽い、って言うの?
そういう風に思われる感じかもしれないけど。
ほんとはいつも、なんか明るい感じのキャラ作って。それでなんとかしてるってだけ。
さっきだって、普通に嫌だったよ?
『早くあんたに来てほしい』って、ずっと思ってた。
そうだね……。
あんたと普通に話せるのは……。
あんたが優しいからだと思う。
あんたといると、安心するからだと思う……。
だからね。
あたし、あんたが思ってるよりもずっと、あんたが好きなんだよ。
他の人からそう見えなくたって。あんたはあたしの、自慢の恋人なの。
ね?
うん?
え……?
これ……あたしに?
まさか。さっきこれ買ってたから、遅かったの?
じゃあ。あんた。
さっき。あたしにプレゼントしてくれようとして。
なのに、戻ったらあたしがさっきの人といたから、怖くなっちゃったの?
『自分より、歳の近い男の人のがいいかも』って思っちゃったの?
ばかだね……❤
ううん。ごめんね。不安にさせたよね。
こんなに一杯想ってくれて、ありがとう……。
これ、靴?
開けていい……?
……。
可愛い。
もしかして。今着てる服に合わせて、探してくれたの?
うん。絶対合うと思う。履いていい?
ほら、見てよ。完璧。
そうだ。最初の日に教えてたね、靴のサイズ。
そっか……これ鞄に入ってたから、荷物でかかったんだ。
ありがとう。ずっと大事に履くね。
すごく、嬉しい。
喜ぶよ。喜ぶに決まってるじゃん。
好きな人からのサプライズプレゼントだよ? 嬉しいに決まってる。
本当にありがとう……。
てかさぁ……。
あんた、昨日人のおっぱい死ぬほど揉んだり吸ったりしといて、何不安になってんの?
帰ったらさ。今日もするでしょ?
明日もするでしょ?
あたしと、付き合ってるんでしょ……?
うん。しよ。引く位やばいのしよ。
他の人とは、まず出来ないようなの、しよ?
来てよ……。どうせバスまだ来ないし、他の人も来ないよ。
ちゅ。
恋人同士のエロい事しよ。