1時間目・催眠導入 深呼吸
やっと来たわね・・・呼び出されたらすぐ来る事。
で、どうして呼び出されたか解ってるわよね?
返事は「はい、先生」でしょ?
ほら、言って御覧なさい。
はい、返事はきちんとね。
今度先生に何か言われたら、ちゃんとそうやって返事する事。
「はい、先生」って、わかった?
今日あなたを呼び出したのは、事業中の態度よ、あなたたるみ過ぎよ。
先生の授業はそんなにつまらないかしら?
まあいいわ、あなたがね、そんなんなのは集中力が足りないからよ。
今日はあなたのそんなフワフワしたところを矯正して、しっかり集中力がつくように教育してあげるわ。
はい、お返事は?
さあ、じゃあそこのソファーに横になって。
なに?なんでそんな事?・・・じゃあ硬い机の上に横になった方がよかったかしら?
はい、さっさとする。
そうやって反応が遅いところもあなたの悪いところよ。
指示されたらすぐに返事して行動に移る事、悩むだけ時間の無駄よ。
解った?
さあ、横になったら訓練の準備よ。
集中力の訓練。
あなたも集中力付けたいと思っていたんでしょ?
まずは深呼吸。
軽く目を閉じて。
リラックスしたところから始めると、この訓練は効果的よ。
とりあえず自分のペースで始めて御覧なさい。
先生が見ててあげるから・・・吸う時は鼻から、吐く時は口からがいいわね。
吸う時に新鮮な空気が身体を満たすイメージをするともっといいわ。
吐く時に心の中の嫌だと思うものを全部吐き出すと更に効果的。
どう?身体が落ち着いて、ゆったりしてきたでしょう?
深呼吸はね、身体と心をリラックスさせるのに効果的よ。
さあ、もっと続けて・・・
吸う時に頭の天辺から脚の爪先まできれいな空気が行き渡る。
吐く時にあなたの中の嫌な事を全部息に乗せて吐き出す。
さあ、次のステップよ。
これ以上吸えないってぐらい息を吸い込んで、もう吐けないってぐらい全部息を吐き出す。
全部吐き出したら、息が苦しくなるまで息を止めてから・・・またいっぱいに吸い込む。
大きな呼吸、非常に大きな呼吸。
そんな大きな呼吸を続けていると、だんだん呼吸が大きくなるわ。
吸って~、吐いて~、息を止めて・・・また吸って~。
この繰り返しはあなたの呼吸をどんどん大きくして、どんどん大きくリラックスさせていきます。
はい、吸って~、吐いて~、息を止めて・・・また吸って~、吐いて~。
じゃあ最後にもう一回
お~きく吸って、いっぱい吸って・・・
苦しくなるまでちょっと我慢
そして、全部静かに吐き出して・・・
あなたの楽な呼吸に戻して
どう?リラックスできた?
先生と2人っきりでいるのに、すごくリラックスできたでしょ?
ふふ・・・でもまだ足りないわね、もっともっとリラックスして、リラックスすればするほど効果が高くなっていくから。
だからもっともっと・・・ね?
じゃあ、そのままの状態で先生の話を聴きなさい。
集中力。
集中力と一口に言っても、いろいろなパターンがあるの。
集中したいひとつの事にずーっと深く、深く集中する力と・・・
集中したいひとつの事以外を頭の名から締め出す力。
深く、深~く集中するのはとっても効果が高いけれど、脳の力をいっぱい使うから疲れやすいわ。
集中したい事以外を頭の中から締め出すのは、慣れないと中々上手くいかないけど、長時間でも疲れにくいし。
慣れれば慣れるほど効果も上がっていくし、簡単に入れるようになるの。
別に雑念や余計な事、他の音や声をシャットアウトする必要は無いわ。
そんな事に気を使っていたら疲れるだけ、余計な雑念が浮かんできたり雑音が聴こえてきても無視するだけでいいのよ。
必要な事以外には意識を向けない、これが長時間集中力を持続するコツよ。
たとえば今は― 先生の言葉だけを聴いて、それ以外の物音や、浮かんでくる雑念を無視すればいいのよ。
防音室とかでもなければ雑音は聴こえてくるし、雑念が浮かんでこない人は居ないわ。
それは人間として当たり前の事、でも集中力のある人は、そんな雑念や雑音を上手に無視する事ができるの。
そう、先生の声以外は気にしない。
慣れないうちはどうしても物音や雑念に気を取られちゃうと思うけど、気が付いたらでいから先生の声以外から心を反らすようにするの。
始めのうちは物音を追いかけたり・・・普段よりいっぱいの雑念が浮かんでくるかもしれないけど、リラックスが深まってくればだんだん気にならなくなるから。
今は物音や雑念を無視する練習に集中しなさい。
屋外から鳥の鳴き声が聴こえてくるかもしれないし、自動車の音や近所の子供の声が聴こえてくるかもしれない
それとも工事の音や、学校の喧騒なんかも届くかも知れないけど・・・気がついたそばから無視するリストに入れていけばいいわ。
何の音か解ってしまえばそれ以上気にする必要も無いから、あなたの意識の外において置ける。
そうやって全ての雑音を確認してから意識の外に出してしまえば、もうそれらに煩わされる心配は無くなるの。
ほら、集中を邪魔する雑音がどんどん減っていく。
心が落ち着いてきて、意識を向けるものが減ってくると、自然と雑念が沸いてくるわよね。
でもね、雑念は普段から常に頭の中にあるの。
忙しい時はそれに気付いていないだけ、リラックスしたり、何かに集中しようとして心の内側に意識が向うと、それに気付き易くなるだけなの。
雑念に気付かなければ、それは雑念にはならないの。
だから、もし雑念に気付いても、気付いた段階でまた無視してしまえば気付かなかったと同じ事。
雑音と一緒よ、そこにあるけど無視してもいいもの、気付かなければ無いと同じものを
意識に取り込む必要は無いわ。
先生の声を聴いている間も、雑音は聴こえてくるし、雑念は沸いてくると思うけど、それは無い物と一緒。
無視するだけでいいの、気にしないだけでいいの、聴こえてきても別にいいのよ。
雑念が沸いても気にする必要は無いし、雑音が聞こえても気にかける必要はありません。