Track 1

Next Track Back

ちせの自己紹介と、この音源の楽しみ方

;ちせの足元は足袋 ;タイトルコール 【ちせ】「あやかし郷愁譚 ~大禿(おおかぶろ) ちせ~」 ;環境音 旅館の和室 ;↓襖越し ;9/前遠 (小声) 【ちせ】「お客はん……えろうすんまへん。お客はーん」 【ちせ】「(様子を伺う呼吸音)*4」 【ちせ】「……息はしてはる。寝息やろか。 ぐっすりおやすみのとこやったら、起こしてまうのは忍びないけど……」 【ちせ】「(悩む呼吸)……まる二日、お食事とられにも来ぉへんし、廊下でもロビーでもさっぱりお顔見かけとらんし」 【ちせ】「――うん。寝息は安全の補償にならへん。脳梗塞やらで倒れとっても聞こえてくるって教わっとるし。 おやすみのお邪魔やーいうて怒らてしもたって、万が一で後悔してまうより、百億万倍マシやもん」 【ちせ】「『お客はーん、お客はーん! お休みのとこ失礼します。 ウチ、ちせですけど。背ぇの高ぉて体の大きいおかっぱの、 『旅館 あやかし』の仲居ですけど――失礼しまっせ? よろしいですか?」 【ちせ】「(返事を待つ呼吸)(呼吸音)(呼吸音)」 【ちせ】「あかん。返事ない。これはいよいよ確かめんと。 (すうっ) 『お客はーん。失礼します』」 ;SE ふすま開け ;9/前遠→;1/前(抱きかかえる距離) 【ちせ】「わ!? 随分とちらかって――って! お客はん!? 倒れてはる!?? お客はん! お客はん! お客はん!!」 ;SE 軽くひっぱたく、ペチペチ ;【ちせ】「お客はん! ああ、これ、お医者はん呼ばんといけ――っ!!? お客はん、気づかれはった!? あ、勝手にお部屋に入ってしもうてえらいすんまへん。せやけど――っ!」 【ちせ】「あ、その前に体調――ご体調、おかしなことあらしまへん―― (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ああ、お水。それに、なにか食べるもの」 【ちせ】「(安堵のため息)……食欲があるんでしたら、まぁ危ないことはなさそうですな。お水はお部屋のポットにありますさかい―― かるく食べられるものもなんや、板長はんにたのんで、すぐにこしらえてもらいますな」 ;SE 畳の上足音、数歩 ;15/左遠 【ちせ】「お水お水――」 ;SE ポットから湯呑に水を注ぐ ;SE 戻る足音 ;1/前 【ちせ】「はい、お水。むせたりせんよー、慌てないで飲んでくださいね。 で、厨房に電話電話」 ;SE 畳の上足音→受話器あげ ;10/右前遠 【ちせ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――あ、板長はん。あんな――ああ、そうそう、まる二日お食事にも見えんかったあのお客はん…… そうそう、うちらを珍しがらん、やさしいおひと――あん人な? なんや、どーんて散らかった部屋に――――(呼吸音)(呼吸音)」 【ちせ】 「ああ、せやね、うん。軽く手早くたべれるもん頼めんか思うて――(呼吸音)――うん、ありがと。ほな、まっとるね」 ;SE 受話器置く ;SE 戻ってくる足音 ;1/前 【ちせ】「おまたせしました、お客はん。板長はんがお粥さんつくってもってきてくれることになりましたさかいに、もーちょっとだけまっとってください」 【ちせ】「板長はんのお料理、お客はんの口におーてたみたいですからな。長い滞在で板長はんもお客はんの好みわかっとるかもしれんし――期待してもろてもよろし思います」 【ちせ】「ゆーか……お客はん、もしかしてお仕事がんばりすぎてしもたんですか? お食事もお風呂も忘れるくらいに…………(呼吸音)(呼吸音)――あ! 修羅場いうやつ――(呼吸音)――(安堵の息)――それを抜けたゆーならなによりのことですなぁ。おつかれさんで、おめでとうさん」 【ちせ】「ほんなら、お祝いにちせ……お粥さんじゃもりあがらへんかもわからんけど――お酌しましょか? ふふふっ、気分だけでも、打ち上げがわりに」 【ちせ】「(呼吸音)(呼吸音)――ほんなら、うん。そないにしましょ。 ってか、お客さん……まだ少しぼーっとしとるゆーか、しゃっきりしとらん感じやねぇ。ちせのこと、誰だかちゃあんとわかってはります?」 【ちせ】「……イマイチ不安やさかいに。改めて自己紹介しますな。 うちは、ちせ。お客さんが泊まってるこの旅館。ものべのでご宿泊される方をもてなすために、大土地につい昨年できあがったばかりの旅館、『旅館 あやかし』の、仲居をやってるあやかしです」 【ちせ】「どないなあやかしかは、見たまんま、すぐにわかりますやろ? 大禿(おおかぶろ)――この禿髪(かぶろがみ)に、屏風より頭が飛び出るくらいの大きな体。あんまり大きいさかいに、“男のこのあやかしやー”いう伝承もありますけど、正真正銘、女のこのあやかし」 【ちせ】「その辺のことはご宿泊の初日にもお話してます……って、まだぼーっとしたお目々してはりますなぁ。 これはアレやね、ちせの声がもーっとよー聞こえるように、お手伝いせなあきまへんねぇ」 ;SE 身じろぎ ;1/前(密着) 【ちせ】「せやさかい、ちいとお側に失礼しますな。 お客はんがお使いになられとるヘッドホンやらイヤホンやらは…… (呼吸音)――ああ、これやねぇ」 ;$=SE ヘッドホンつけたげる 【ちせ】「ほんなら、ちせがつけてあげましょ。 ん…… $ っしょ――これでどないやろか? 試さんといけんね、うん」 ;3/右 【ちせ】「右耳。右のお耳。聞こえてますかー。どないですかー」 ;7/左(耳打ち)→囁き 【ちせ】「左のお耳はどないですかー。 ささやき声でも、届きますやろかー」 ;7/左→;1/前→;3/右 【ちせ】「そしたら最後の確認は、ぐるーーーーーんて回って~ (ふーーーーーーーーーーっ)」 ;1/前 【ちせ】「あはは! やーっと目ぇぱっちりしましたな。 あらためましておはようさん。 で、修羅場あけたん―― おめでとうざん」 ;SE ふすまの外でお膳を置く音 【ちせ】「あ! 板長さん来はったみたい。 そうしたら、お粥さん食べて――そのあとは、うふふっ!」 ;3/右(耳打ち) 【ちせ】「ささやかにでも、打ち上げ、しましょな!」 ;環境音 F.O.

Next Track Back