Track 2

ほんならお髭、あたりましょ

;SE 食器カチャカチャ→廊下に置く→ふすましめる ;9/前遠 【ちせ】「うふふっ。綺麗にたべはったなぁ」 【ちせ】「これなら板長はんも喜びますやろ。 職人はんゆーんはそないなもんかもしれへんけど、まー気難しうて繊細で―― ああ、職人はんやのーて、職あやかしゆーた方がよろしいのかな? どないですやろ。――っと」 ;SE 水の入った洗面器をもって近づいてくる ;9/前遠→;1/前 【ちせ】「や、思とったよりお水なみなみはいってますな、この洗面器。 こぼさんよーに気ぃつけんと……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ん」 ;SE 洗面器畳において、自分もすわる ;1/前 【ちせ】「ああ、この洗面器に入っとるのはただのお水ですわ。 なんでお水かゆーたら、お客はん……」 ;SE ひげを指で撫ぜる音 (継続) ;1/前(密着) 【ちせ】「こないに……ね? ――(呼吸音)(呼吸音)―― びてはりますやんか。無精髭 プチやゆーても、せっかくの打ち上げ、 こざっぱりしてからの方が、もっと楽しくなりますやろ? な」 ;SE stop ;1/前 【ちせ】「せやさかい――うふふっ。 ちせが廓(くるわ)に居ったときから使うとる、このカミソリを、水に濡らした革砥(かわと)――革の砥石でかるぅく研いで」 ;SE カミソリ取り出す→革砥を洗面器の水で濡らす→革砥でカミソリかるく研ぐ 【ちせ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ん。こないなもんやね。 そしたらお客はん。ちせのお膝に、頭あずけてくださいな」 【ちせ】「あ、腕前やったら心配あらしまへん。 禿ゆーたら、遊廓(ゆうかく)の雑用がかりですもん。 お髭あたるのんは慣れてますさかいに」 ;1/前→“ん。”から密着距離 【ちせ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音) ――ん。ふふっ、ちせのお膝に、よーこそいらっしゃいました」 【ちせ】「ほんなら、まずはしゃぼん、泡立てますな」 ;SE 石鹸をに水をかけ、ブラシで泡立て 【ちせ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― ん……っと――もちょっと―― (呼吸音)(呼吸音)―― ん……(呼吸音)――うん。こないなもんやね」 【ちせ】「指で押したらちょっと戻るよな感じがするくらい。 これっくらいに泡立てたらな、なめらかになって、お肌をまもってくれるねん」 ;$=SE ブラシで泡を縫っていく 【ちせ】「したら――まずは顎のラインに…… ん―― $ (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ん、よし」 ;$=SE ひとこすりだけ革砥でこする 【ちせ】「したら、カミソリに持ち替えて。 $ ほな、いきまっせ」 ;SE 顎のひげカミソリであたる(継続) ;カミソリの動き、右あご→下顎 【ちせ】「ん……(呼吸音)(呼吸音)―― ……ああ……久方ぶりでも……(呼吸音)(呼吸音)―― 体がきちんと――(呼吸音)(呼吸音)―― 覚えとる――(呼吸音)――もんですなぁ――(呼吸音)」 【ちせ】「かるぅ――(呼吸音)――やさしぅ――(呼吸音)―― 刃ァを――(呼吸音)――寝かせ、て――(呼吸音)―― くすぐるみたいに――(呼吸音)――すべらすように――(呼吸音)―― 力、いれんと――(呼吸音)――やさしぅ、やさしぅ――(呼吸音)――っと」 ;SE 刃を洗面器の水ですすぐ→革砥を1往復 ;SE 顎のひげカミソリであたる(継続) ;左顎 【ちせ】「少しだけ――(呼吸音)――手、触れますな――(呼吸音)―― ん……(呼吸音)(呼吸音)―― っと……(呼吸音)(呼吸音)―― 顎は、これで――(呼吸音)(呼吸音)――うん」 ;SE 刃を洗面器の水ですすぐ→革砥を1往復 ;SE 親指で顎をぐるっと撫ぜる 【ちせ】「……綺麗綺麗に剃れてますなぁ。 ふふっ、このカミソリは業物やさかい―― 篝火姐(かがりびねえ)はんにいただいてから…… もう何百年たったろーねぇ……ふふっ」 ;SE 左もみあげカミソリであたる(継続) ;7/左 【ちせ】「もみあげも……(呼吸音)――ん……(呼吸音)―― こないサクサク……(呼吸音)(呼吸音)―― あたるんやもの……(呼吸音)(呼吸音)―― 切れあじ、少しも――(呼吸音)――衰えてへん――(呼吸音)」 【ちせ】「篝火いうても――(呼吸音)――お客はん――(呼吸音)―― ご存知のわけ――(呼吸音)――あらしまへんよね――(呼吸音)―― 篝火太夫(かがりびだゆう)……(呼吸音)(呼吸音)―― 綺麗で優しい――(呼吸音)――最高のお姐はん……」 【ちせ】「太夫(たゆう)いうんは――(呼吸音)――遊女(ゆうじょ)――傾城(けいせい)……(呼吸音)―― 今様(いまよう)にいうんやったら……(呼吸音)(呼吸音)―― あ! 花魁(おいらん)はん――(呼吸音)――あれの―― いっちゃん位の高い――(呼吸音)――呼び名、ですなぁ」 ;SE 刃を洗面器の水ですすぐ→革砥を1往復 ;SE 右もみあげカミソリであたる(継続) ;3/右 【ちせ】「太夫になれる……(呼吸音)――遊女は――(呼吸音)…… ん……(呼吸音)(呼吸音)―― 千人に、一人……(呼吸音)(呼吸音)―― もっと、少ないかも――(呼吸音)――知れへん、なぁ――(呼吸音)」 【ちせ】「ちせも、ん……(呼吸音)(呼吸音)―― 太夫の、篝火姐はんに……(呼吸音)(呼吸音)―― つけて、もろうた――(呼吸音)――禿(かぶろ)……(呼吸音)―― 遊女の――(呼吸音)――見習い、やったさかいに――(呼吸音)」 ;SE 刃を洗面器の水ですすぐ→革砥を1往復 【ちせ】「ちせを……(呼吸音)――買い取った――(呼吸音)―― 廓(くるわ)の――(呼吸音)――遣り手(やりて)はんには―― 期待、して……(呼吸音)――もろうとった――(呼吸音)―― もんですけど――(呼吸音)――な――(呼吸音)」 【ちせ】「(ほっとした長い溜息)」 ;1/前 【ちせ】「もみあげもこれでさっぱりしましたな。 あとはお鼻の下と、眉毛をそれば、カミソリの時間はおしまいですわ」 【ちせ】「せやさかい。もっかいシャボンを泡立て直して……」 ;SE シャボン泡立て 【ちせ】「ん……(呼吸音)(呼吸音)―― ゆっくり、ゆっくり――(呼吸音)(呼吸音)―― 丁寧に――(呼吸音)――丁寧、に――(呼吸音)―― ふんわり、と――(呼吸音)(呼吸音)――で」 ;$=SE 鼻の下にブラシでシャボンぬり 【ちせ】「そしたらお鼻に……(呼吸音)(呼吸音)―― んふふっ――シャボンのお髭はん――(呼吸音)(呼吸音)―― えらい立派な白ひげで……(呼吸音)(呼吸音)―― 海軍はんみたいに――(呼吸音)――見えますなぁ――(呼吸音)――ん」 ;SE 鼻の下をカミソリであたる(継続) 【ちせ】「お鼻の下は――(呼吸音)(呼吸音)―― 切ってもーたら……(呼吸音)(呼吸音)―― えらい血の出るとこやさかいに――(呼吸音)(呼吸音)―― 小さく小さく……(呼吸音)――刃ぁ動かして……(呼吸音)」 【ちせ】「上から下にが――(呼吸音)(呼吸音)―― 終わったら――(呼吸音)(呼吸音)―― 下から上にで――(呼吸音)(呼吸音)―― 仕上げ、して――(呼吸音)(呼吸音)――よしょっ」 ;SE 刃を洗面器の水ですすぐ→革砥を1往復 【ちせ】「ん、で――(呼吸音)(呼吸音))」 ;SE シャボン泡立て →シャボン塗り 【ちせ】「最後は眉毛に――(呼吸音)(呼吸音)―― 右も、左も――(呼吸音)(呼吸音)―― シャボン――(呼吸音)(呼吸音)―― 塗っ、て――(呼吸音)(呼吸音)――」 ;SE 眉毛の上側カミソリであたる(継続) 右眉 【ちせ】「眉の上も……(呼吸音)(呼吸音) 切れやすいとこやさかいに……(呼吸音)(呼吸音) カミソリの……(呼吸音)――刃、で――(呼吸音)―― 撫ぜる――(呼吸音)――みたいに――(呼吸音)」 :左眉 【ちせ】「左の――(呼吸音)――眉も……(呼吸音)―― おんなじに、に――(呼吸音)(呼吸音)―― そーっと――(呼吸音)――そーっと――(呼吸音)―― 撫ぜて――(呼吸音)――さす、って――(呼吸音)……うんっ」 【ちせ】「(剃り終えて安堵のため息)」 ;SE 刃を洗面器の水でよくすすぐ→革砥を5往復 【ちせ】「(満足げな呼吸音)*4」 ;$=SE 洗面器の水で手洗い 【ちせ】「っと。あとは指もシャボンでよーぉ洗って…… $ (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――よーし」 【ちせ】「ほんなら、剃り具合みますさかいに。 すこぉし失礼しますな」 ;$=SE 指で顎、鼻の下、眉まわりと撫ぜていく 【ちせ】「ん…… $ (様子をみる、慎重な呼吸音)*4―― んふふっ! うん、よーお剃れてる」 【ちせ】「お客はん、お顔あらってさっぱりされるなら、温泉もいつでもはいれますよって、ご自由に。 うちは、こんお部屋、プチ打ち上げに備えて、お掃除して整えておきますよって」 ;SE ちせ立ち上がって足音→;9/前遠 ;9/前遠 【ちせ】「ほんなら、箒、失礼しますな」 ;SE 箒がけ(30秒ほどでF.O) 【ちせ】「(箒がけする呼吸とニュアンス、30秒)」 ;環境音 F.O.