プロローグ。ランの自己紹介
;プロローグタイトルコール
【ラン】「蓄音(ちくおん)レヱル
~高嵜鉄道(たかさきてつどう)横河線(よこかわせん)D51 840(でぃーごじゅういち はっぴゃくよんじゅう)専用レイルロオド ラン~。ランの自己紹介~」
;環境音
;町なみ、雑踏
;3/右(近い) ふたり並んで歩いてる
【ラン】「――なるほど。ありがとうマイロード。
ということは、そのインタビューをポスター撮りのロケハン……
撮影地探しの前に入れるしかない感じなんだね」
【ラン】「一ヶ月半ぶりに貴方と一緒におでかけできるというのに、ね。
(芝居がかったため息)。
忘れていたよ。運命の女神の趣味ってヤツを」
【ラン】「けれどもしかし、だ。
障害こそがドラマをつくる。
そう考えれば悪くもないかな」
【ラン】「インタビューは、西瓜にかける塩の粒。
お汁粉に添えるおしんこ。
あるいは、バニラアイスクリームに垂らす、ほんのひとしずくの醤油」
【ラン】「(苦笑)――しかし、まぁ。おでかけもデザートほどには甘くなりそうもないのかな。
ふたりっきりの時間とはいえど……ロケハンは結局、お仕事だしね――あ」
;SE 小さな女の子(モブ)の駆け足
【ラン】「あの子、ちょっと危なっかしいね。
急ぎすぎて、まわりが全然見えてな――っと!!!」
;SE ラン、数歩駆け足
;SE 対人衝突
;1/前 (しゃがみ)
【ラン】「……危なかったね。お嬢ちゃん。
転ばなかった? (呼吸音)(呼吸音)――
そう。ならよかった」
【ラン】「え? ……(呼吸音)(呼吸音)――
あははっ! 王子様に見えるんだ、ランのことが。
けれど、ごめんね? ランは、王子様じゃないんだ。
ただのレイルロオド――鉄道車両の運行を助けるための存在なのさ」
【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)――うん、そう。鉄道。
お嬢ちゃんは、この町の……高嵜(たかさき)の子かな。
もしもそうなら、見たことがないかな。
真っ黒な鋼鉄の塊が、真っ白な煙をモクモク吐きながら走っているのを」
【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ふふっ!
格好よかったなら嬉しいよ。ありがとう。
ランは、あの蒸気機関車――D51 840(でぃーごじゅういち はっぴゃくよんじゅうごうき)の、専用レイルロオドなんだ――っと」
【ラン】「時間は大丈夫? お嬢ちゃん。
随分と急いでる様子に見えたけど――
あ! やっぱりそうだよね――(呼吸音)」
【ラン】「うん。いってらっしゃい。気をつけて。
あははっ、いいよ、お礼なんて。
もし気が向いたら、高嵜鉄道にご乗車いただき、お楽しみいただければ、それが一番嬉しいかな」
【ラン】「今度はちゃんと周りをみてね。
――うん、それじゃあ!」
;SE 子供足音駆け去っていく →F.O
;1/前(しゃがみ)→;1/前 立ち上がり
【ラン】「……こどもっていうのはかわいいものだね。
ふふっ、王子様だって、ランのこと。
とても光栄なことだけれども――ね、マイロード」
;3/右 接近囁き
【ラン】「貴方と並んでいるときくらいは。
お姫様って呼ばれたいかな。少しだけ」
;3/右
【ラン】「あははっ! で、何の話をしてたっけ。
うーんと……(呼吸音)(呼吸音)――
ああ、そうだ、出かける前にインタビューを受ける、って話だったね」
【ラン】「音がどうのこうの……っていう内容のインタビューだっていうことだから――(呼吸音)(呼吸音)――
ああ、うん。ある程度は準備しておいたほうがよさそうだ」
【ラン】「例えば音がよく聞こえるように、ヘッドホンかイヤホンを用意しておく、とか。
うん。いま試しにつけてみるのも悪くない」
【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」
;1/前
【ラン】「じゃあ実際、聞こえ方が変わるかどうか、試してみよう」
;7/左 (密着)
【ラン】「左耳」
;7/左→;1/前→;3/右
【ラン】「ぐるーーーっとまわりこんで」
;3/右(密着)
【ラン】「み・ぎ・み・み。
(ふーーーーーーーーーっ)」
;1/前
【ラン】「ふふっ、よく聞こえてるみたいだね。
なんだかランまで嬉しいよ」
【ラン】「さて、そうしたらインタビューの手配を済ませてしまおう。
インタビューがすんだらそのあとは、ポスター撮りのロケハンだ」
【ラン】「ランが一番綺麗に見えるシーンを、マイロード。
その瞳でどうか、見つけ出してほしい――ふふっ!」
;1/前
【ラン】「もちろん!
今ここで見つけ出してくれてもかまわないよ!!」
;環境音 F.O.