Track 2

雨水川、音探しの始まり(ドラマパート)

;タイトルコール 【ラン】「蓄音(ちくおん)レヱル。 高嵜鉄道(たかさきてつどう)横河線(よこかわせん)D51 840(でぃーごじゅういち はっぴゃくよんじゅう)専用レイルロオド、ラン!」 :使用環境音/碓氷川 ;SE ラン、足音、川砂利。数歩 ;1/前 【ラン】「雨水川(うすいがわ)――いつも乗務で、橋梁(きょうりょう)の上からなら渡っている川だけれども」 ;あたりをぐるーりと見渡しながら 【ラン】「知らなかった。これほど駅の近くだというのに、なかなか綺麗な景色じゃないか。 ……すぐそばに道路が走っているのが気になるけれど、アングル次第では、ここも撮影スポットの候補にあげられるかもしれないね」 【ラン】「そうして――(呼吸音)(呼吸音)――ああ、あそこが入り口か。 撮影スポット候補のひとつ、麻織(あさお)の滝へと続く道への」 ;1/前 “麻の糸が“から→;7/左 【ラン】「ふふっ。楽しみ。 麻織の滝は、横河でも有数の観光名所だものね。 ――麻の糸が織りなされるように水が振り散るから、麻織」 ;7/左 【ラン】「名前からしてとても雅(みやび)だし、 高嵜鉄道横河線――高嵜・横河間(たかさき・よこかわかん)の乗務についてからずっと、興味を抱いていた場所ではあったんだ」 【ラン】「けど――ふふっ、中途半端に近所にある観光名所ってさ。 ある意味、一番訪ねていきづらい場所だよね」 【ラン】「その意味でも、今回のポスター撮りのロケハンは、とても素晴らしい機会になったと思う。 正直ね『モデルをやる本人がロケハンを?』って、話を聞いた瞬間には、思わないこともなかったんだけど――(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「まぁ、うちの会社――高鉄(たかてつ)のお財布に余分なお金が一切ないことはランにだって容易に想像がつくことだし ――それに」 ;7/左 (接近囁き) 【ラン】「マイロード、貴方が一緒にいてくれるなら。どんな時間も、ランには極上の楽しみになるんだ」 ;7/左 (通常) 【ラン】「だから一刻も早くインタビューを済ませてしまって、麻織の滝を目指したい…… なんていったら、ちょっと失礼がすぎてしまうね。いけないいけない」 【ラン】「なにせこちらのわがままを受け入れて、ここまで運んでくれる新聞記者さんだもの。 そのご厚意には、ランとしてももちろん、誠意をもってお応えするつもり……っと――(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「……こんな川原にスーツ姿。革靴。 かの御仁(ごじん)が、ウワサの新聞記者さんで間違いないだろうね――(咳払い)」 ;7/左 (ダミーヘッドと同じ方向に視線) 【ラン】「おはようございます、ミスター。 今回、マイロードとランに取材依頼をくださったのは…… (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― やはりそうでしたか。では、改めましてご挨拶を」 【ラン】「高嵜鉄道横河線、D51 840号機専用レイルロオドの、ランです。 そしてこちらが、マイロード。ランのマスターです」 【ラン】「いまは横河線の観光列車『SL よこかわ』の牽引を主たる務めとしています――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「ああ、ご乗車くださり、記事を書いていただいたこともあるのですね。 実に光栄なことです。ありがとうございます」 【ラン】「では今回の取材依頼も、SLよこかわについての……――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― ふぅむ、そうでない。そうではなくて…… (呼吸音)(呼吸音)―― 音集めですか! ――ほほう!」 【ラン】「ランがマイロードとともに、横河線沿線の素敵な音を探し集めて。 それを記者さんに報告して、記事化いただいて全国広くにご紹介いただく!」 【ラン】「エクセレント! 素晴らしいご提案です!! その記事はきっと、高嵜線の魅力をお伝えすることへ、ひいては高嵜線の定期外客数(ていきがいきゃくすう)を増やすことへと繋がりましょう」 【ラン】「地域そのものの魅力を高め、伝えること。 そしてグッズ販売等を絡め、地域の魅力を収益化していくこと」 【ラン】「それこそが鉄道存続、復権にむけて大変大きな力になると、偶然にもランは、遠く御一夜(おひとよ)の地で学んできたばかりなのです!」 【ラン】「なんと運命的なことか! わくわくします。具体的にお話を詰めましょうとも」 【ラン】「実務として、ランとマイロードは何をどのように……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― ほう、モニタリング――音をより正確に聞き取るために、ですか」 【ラン】「というお話ですので、マイマスター。どうぞヘッドホンかイヤホンを――(呼吸音)(呼吸音)―― ふつつかながら、ランがお手伝いいたしましょう」 【ラン】「ん……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「うん。――ああ、とてもお似合いですよ。素敵だ。 では、モニタリングがうまくできているものかどうか、少しテストを」 ;3/右 【ラン】「右耳」 ;7/左 【ラン】「左耳」 ;7/左→;1/前→;3/右 【ラン】「ぐるーーーーーーりと回り込んでからの」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「(ふーーーーーーーーーーーーーーっ) 吹きかけだとか。どうでしょう」 ;3/右(マイク向き) →;3/右 (マイクと同じ視線) 【ラン】「ふふ、聞こえは上々のご様子ですね、マイロード。 それでは――記者さん、早速、ご依頼の案件にとりかからせていただきます (呼吸音)―― ええ、早速。このお話が終わり次第に」 【ラン】「極めてタイミングがいいことに、マイロードとランは、これから自然の中にわけいっていく予定なのですよ。 高嵜鉄道横河線沿線の自然の魅力を伝える新しいポスター。 その背景に最も適した場所を探すための、ロケハンに」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ええ! 極めて光栄なことに、みなさんがそうおっしゃってくださいます。 『ランは、高嵜鉄道の看板レイルロオドだ』と」 【ラン】「ですから、そのポスターのモデルも務めさせていただくことになっています。 そうしていつでも――ふふっ、ランがもっとも美しく輝く瞬間を見つけてくれるのは、必ず、マイロードなんですよ」 【ラン】「だからきっと、横河の美しい自然景とともに。 その自然にふさわしい、豊かな音も見つけ出せるかと」 【ラン】「ご期待ください。 それでは記者さん、ご機嫌よう。 そうして、マスター」 【ラン】「麗しい景色と音を探しに、ランとともに踏み出しましょう! 大きく一歩――麻織の滝に続く道へと!」 ;SE ラン、足音、大きく一歩 ;環境音 F.O.