Track 6

峠の飯屋と右耳耳かき

;1/前 (こたつテーブル越しに向き合って座る距離感) 【ラン】「(リラックスした吐息)」 ;使用環境音:峠の茶屋_座敷から聞こえる台所の音 F.I 【ラン】「『峠の飯屋(めしや)』……か。 こんなお店があるだなんて、ランは少しも知らなかったよ」 【ラン】「たまにはゆっくり歩いてみるものだね。 列車の速度では見落とすものを、見つけ出すのは素敵なことだ」 【ラン】「……こうしてゆっくり畳の上に座っていると、感じるよ。 今日のランは、かなり気を張っていたんだなぁ、って。 音探し、音に意識を配ること…… 慣れないことに集中するのは、やっぱり負荷がかかるものだね」 【ラン】「個室があるお料理屋さんでよかった。 障子一枚だけでもあると――ぐっとくつろげる感じがする。 今は、うん……(ほおっとした息) ――お店の人とのおしゃべりとかより、こんな時間の方がいい」 【ラン】「……疲れたなぁ。けど――(安堵の息)――楽しかった。 いや、過去形じゃなく、現在進行形でランは、とても楽しい」 【ラン】「……おっきりこみっていったっけ。ここのおすすめ。横河の郷土料理。 ランは石炭でのお相伴になってしまうけど――ふふっ、どんな料理か、目にするものとても楽しみだし――」 【ラン】「(相手の顔をにこにこ眺める感じ、ゆったりとした呼吸音。一分ほど)」 【ラン】「……音探しをしていたせいかな。座敷の向こう、お料理をつくってくれている音も、ここちよいものと感じるよ。 マイロード。貴方のために、誰かがこころをこめてくれてる―― その音だもの、ランにも、とても幸せに響く」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……お料理、か。 お料理をできるレイルロオドは、たぶん、ほとんどいないんだよね。 御一夜の、レイルロオド・サミットのときにそういう話になったんだけど……」 【ラン】「お料理が得意って明言してたのは、常州電鉄(じょうしゅうでんてつ)のかかあさんと、みかん鉄道の紅(べに)くらいなものだった」 【ラン】「まぁ、紅は一時期……列籍を抹消されていた時期に、車体を『ガタンゴトン亭』っていう食堂として運用されて、そこで働いていたそうだから――仕事として覚えたんだろうけど……」 【ラン】「かかあさんは、純粋に趣味……楽しみ、として作ってるていうな話だった。 でね、料理を人から教わってるってレイルロオドの話も聞いた。 ハチロクさん――あの有名な8620形(はちろくにいまるけい)トップナンバーレイルロオド」 【ラン】「それで、ランは思ったんだ。少しね。 ハチロクさん――ランよりもずうっと古いレイルロオドが、練習をして、お料理をもしも覚えられるなら」 【ラン】「ランも――お料理を覚えられるのかもしれないなぁって。 お料理を覚えられたら、マイロード、貴方にふるまうことができたら…… 『おいしい』って、もしも言ってもらえるのなら――あっ」 ;SE 環境音 F.O ;座敷のふすまがひらく ;SE 料理が届く。トレー+食器+汁ものがテーブルにおかける ;環境音 F.I, 室内環境音(空調のみ) 【ラン】「(感心の息)これが『おっきりこみ』か。 ほうとうと似てるね……かぼちゃが入っているかいないかの違い、かな」 【ラン】「って、これは冷めたらおいしくない料理だよね。絶対。 いただきますしよう、マイロード。 ランも、石炭を用意するから。ん――」 :SE ごそごそ。ポーチから石炭を出す。 【ラン】「……おまたせ、マイロード。 それじゃあ、食べよう。 『いただきます』」 ;環境音 F.O. 【ラン】「……(ばりっ、ぼりっ、がりっ)――ごくんっ」 ;環境音  F.I. 【ラン】「ふうっ。ごちそうさま。おいしかったー―― (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ふふっ」 【ラン】「『おいしかった?』って聞くまでもないね。 マイロードのお顔、言葉よりもずうっと雄弁だ」 【ラン】「しかし、ここは本当にいいお店だね―― 食事はおいしい、配膳も片付けも早くて綺麗。 おまけに……ふふっ、マスターが眠たそうに見えたのかな」 【ラン】「他にお客もいないから、のんびり休んでくださいね、って―― サービスのドリンクまで出してくれて」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― 美味しいもので満腹できて。その上こんなにゆっくりできて――(満足の吐息)―― ――満たされるって、こういう感じのことをいうのかな」 【ラン】「……ね、マイロード。 ラン、少しだけ――ん……」 ;SE 畳の上にじり移動;1/前→;2/右前→;3/右 ;////***このあたりから安眠導入を意識して、基本的におさえぎみ。声の強弱ではない方向でメリハリいただけますと幸いです。***//// ;3/右(寄り添い) 【ラン】「……レイルロオドのランでもだから。 貴方のお耳が疲れてないか、心配なんだ…… (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「ひざまくら――とか、どうだろう。 お耳が疲れているのなら、もちろんいやしてあげたいし…… それに、耳かきもしてあげたいんだ。 ここのところバタバタしてて、しばらくできてなかったから」 ;三呼吸目くらいでひざまくら状態になって、うれしい 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 ;3/右 (密着) 【ラン】「ふふっ、それじゃあ、まずはお耳のマッサージからだね。 眠くなったら、眠ってしまっていいからね」 【ラン】「軽ぅく引っ張ってパッと離す。 あのマッサージでいくからね? まずは耳たぶから。 ん……」 ;SE 耳引張りマッサージ 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【ラン】「……耳、いっつもよりも少し冷たい。 やっぱり疲れているんだね。 マッサージで、血行しっかり戻さないと。ん――」 ;SE 耳引張りマッサージ 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)――ん…… (呼吸音)(呼吸音)――フチも、結構冷えてる感じ…… (呼吸音)(呼吸音)――これ……うん――」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「(ほーーーっって、手をあっためる感じの息で吹きかけ) *3」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「これで少しはあったまるよね。 で――」 :SE 耳マッサージ(継続) ;3/右 【ラン】「こうして、指で――(呼吸音)(呼吸音) 揉み込む感じで――(呼吸音)(呼吸音)―― マッサージ、して――(呼吸音)(呼吸音)―― 血行、を――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「ん……(集中してる呼吸音)*4」 【ラン】「っと―― <;SE stop> ああ、うん。お耳に赤みが戻ってきた。 指先にもぽかぽかが伝わってくるようになってたし。 これで右耳は大丈夫そうだね」 ;3/右 (接近囁き) 【ラン】「じゃあ、耳かきをはじめるからね。 まずは、あさぁいところから……(呼吸音)――」 ;SE 耳かき(浅・継続) 【ラン】「下から、じわじわ――(呼吸音)(呼吸音)―― ひっかい、て――(呼吸音)(呼吸音)―― だんだん、中へ――(呼吸音)(呼吸音)―― 中の方に、で……(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「めくれ、てるとこ――(呼吸音)(呼吸音)―― 慎重に、して――(呼吸音)(呼吸音)―― 上の、フチまで――(呼吸音)(呼吸音)―― ゆっくり、と――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「ん……(集中してる呼吸音)*4―― っ――」 ;SE stop ;3/右 接近囁き 【ラン】「これでどうかな――失礼するよ。 (ふーーーーーーーーーーーーーーーっ)」 ;3/右 密着 ”よし”で→;3/右(通常 【ラン】「ん……(耳の中を覗き込んでる慎重な呼吸音) ん――(同上)―― ん……っと――うん! よし」 ;3/右 【ラン】「なかなか素敵な仕上がりにできたと思う。 耳かき綺麗にするから、少しだけ待って。 んっ……(呼吸音)」 ;SE ちり紙引き抜き→耳かきふき 【ラン】「よし、っと―― それじゃあ深いところに行こう」 ;3/右 接近囁き 【ラン】「ランのこと信じて、全部任せて。 身体もこころも、ゆるめられるだけ、ゆるめてくれたらうれしいな」 ;SE 耳を優しく5回撫でる 【ラン】「(呼吸音)*5」 ;3/右 【ラン】「じゃ、はじめるよ。 ん……(呼吸音)」 ;SE 耳かき(深・継続) 【ラン】「ん……っと――(呼吸音)(呼吸音)―― これ、ちょっと――(呼吸音)(呼吸音)―― 拍子抜け、しちゃうほど――(呼吸音)(呼吸音)―― 綺麗、だね――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「あ、けど――(呼吸音)(呼吸音)―― ん……(呼吸音)――っと――(呼吸音)―― ああ、うん――(呼吸音)(呼吸音)―― いっこ、ごろって――(呼吸音)――大きい、の――(呼吸音)」 【ラン】「ん……(集中した息)*3―― で……(集中した息)*3――」 【ラン】「すくって――(呼吸音)(呼吸音)―― 乗った、うん――(呼吸音)(呼吸音)―― あとは、ひたすら――(呼吸音)(呼吸音)―― こぼさないよう……(呼吸音)――慎重、に――(呼吸音)――」 【ラン】「(息をつめておっきなのを耳の穴から運び出す) ――~~~……っ――うん」 ;SE stop ;SE 耳かきをちり紙でふく ;3/右 接近囁き 【ラン】「あとは―― (ふーーーーーーーーーっ) ん~~……おっきいのはなさそう、かな――けど」 ;SE<耳かき(深・継続) 【ラン】「もうちょっとだけ――(呼吸音)(呼吸音)―― ほじりすぎないよう――(呼吸音)――気をつけ、て――(呼吸音)―― こまかい、やつも――(呼吸音)(呼吸音)―― とっちゃいたい、かな――(呼吸音)(呼吸音)――」 【ラン】「(呼吸音)(呼吸音)……っ―― (呼吸音)(呼吸音)――っと―― (呼吸音)(呼吸音)――ふふっ―― (呼吸音)(呼吸音)――ん……」 【ラン】「(呼吸音)――あと――(呼吸音)――もう―― (呼吸音)――ちょっと――(呼吸音)――だ、け――」 【ラン】「んっ―― (集中した呼吸音)*4―― っと……(呼吸音)――ん……」 ;SE stop ;耳かきふき ;3/右 (接近囁き) 【ラン】「(ふーーーーーーーーーーーーっ)」 ;3/右 【ラン】「ん~~……(呼吸音)―― んっ――(呼吸音)―― どう、かな――(呼吸音)(呼吸音)―― ああ――(呼吸音)――うん――(呼吸音)――うんっ」 【ラン】「お疲れ様、マイロード。ふふっ。 右のお耳はすっかり綺麗で、血色ももどって―― うふふ、まるで新品のお耳みたいだ」 ;3/右 (接近囁き) ”ふふ”で→;3/右 【ラン】「そしたら今度は、左のお耳も新品のお耳にしてあげなきゃだね―― ふふっ」 ;3/右 【ラン】「ランが『ぐるーん』っていったらさ。 身体ぐるんて入れ替えて、左のお耳、上にむけてね」 【ラン】「それじゃ、いくから。 せーの、 『ぐるーーーーーーーーーん』」 ;環境音 F.O.