プロローグ。汽子の自己紹介
;1/前
【汽子】「蓄音(ちくおん)レヱル
~名護耶鉄路樺郡線(なごやてつろかばごおりせん)
ホジ6016(ほじろくせんじゅうろく)専用レイルロオド 汽子(きこ)。汽子の自己紹介~」
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:使用環境音 ☆竹島_朝_200126_0720.wav
;環境音 FI
;汽子はロングブーツ。足元はアスファルト
;場所は竹島の海岸沿い。
;SE 汽子足音 ;16/左前遠→;8/左前→;7/左→;1/前
;1/前
【汽子】
「あ――マスタア。うふふっ、おはようございます。
こちらにいらっしゃったのですね。
少し探してしまいましたわ」
;3/右
【汽子】
「まさか武島(たけしま)にいらっしゃるだなんて。
神社にご参拝……それとも朝のお散歩でございましょうか」
【汽子】
「どちらにしても、すぐお合いできてよかったですわ。
もちろん、あと二時間もすれば乗務でご一緒できますけれど……それでも、少しでも早くお知らせしたくて」
;3/右 ”さきほど”から →;3/右(接近囁き)
【汽子】「あの、ですねマスタア。
さきほど、思いもかけぬご連絡をいただきましたの。
なんと、新聞社の記者さまから――(呼吸音)」
;3/右(通常)
【汽子】「いえいえ! 事故や事件などは発生しておりません。
そうではなくて……記者さま、汽子とマスタアに会いたい、と」
【汽子】「どのようなご用件かは、まだくわしくは聞いておりませんですけれど、汽子、興味がございますの。
ですから、マスタアがよろしければ、と――(呼吸音)」
【汽子】「確かに、マスコミのみなさまと鉄道事業者は……
基本的には、なかなか折り合いがよろしいとはいいがたいものですわよね」
【汽子】「けれども汽子は、お会いして、お話だけでも聞いてみたいって思いますの。
樺郡線(かばごおりせん)を往復して過ごす日々は平和で、満ち足りたものではありますけれど――」
;3/右 接近囁き
【汽子】「ほんのときどきは違った線路の上を……(呼吸音)――
うふふっ、はい。走ってみたい気持ち、ほんの少しはありますの。この臆病な汽子の胸にも」
【汽子】「こんなにも老朽化した、量産型の、しかも蒸気動車のレイルロオドのこの身でも。
マスタアが一緒にいてくださるのならば、勇気が湧いてまいりますので――(呼吸音)――あ!」
【汽子】「ふふっ! うふふっ! うふふふふふふっ!」
【汽子】「もちろんでございます。マスタアが新聞記者さまとお会いになるとお決めでしたら、
汽子は誰より――ハチロクさんよりランさんより、すずしろさんより、優雅に振る舞ってみせますわ」
;SE 汽子、立つ
;1/前
【汽子】
「『汽子は、名護耶鉄路樺郡線(なごやてつろかばごおりせん)
ホジ6016(ほじろくせんじゅうろく)専用レイルロオド 汽子(きこ)でございます』
胸をはって、堂々とそう自己紹介を――あ、でも」
【汽子】
「新聞記者さんのお話を、万が一にも聞き逃したら怖いですから……
ね、マスタア。お願いです。ヘッドホンかイヤホンをつけていただいて、お話、絶対に聞き逃さないよう……(呼吸音)(呼吸音)――
ああ、ありがとうございます」
【汽子】
「それでは、試させていただきますわね」
;3/右
【汽子】「まずは、右耳」
;7/左
【汽子】「そうして今度は、左耳」
;3/左 接近囁き
【汽子】「左のお耳に囁きかけて――
(ふーーーーーーーーーー)
そうして、ね」
;7/左→;1/前→;3/右
【汽子】「ぐるーーーーーーーーーんって。
どうです マスタア、聞こえ方の具合は――
(呼吸音)(呼吸音)――
うふふっ、でしたらよかったです! あ!!」
;1/前
【汽子】「いけない、もうこんな時間ですね。
マスタアとお話してると、本当に時間があっという間に過ぎてしまって――」
【汽子】「汽子、先にもどって始業準備をしておりますね。
マスタアはどうぞゆっくりと、波の音でもご参拝でも、楽しんでからお戻りくださいな」
;Se 汽子足音 小走り ;1/前→;9/前遠
;9/前遠
【汽子】「それではマスタア、またあとで!
今日も無事故で、ご安全にと参りましょうね!!」
;環境音 F.O.