Track2 カミゴトするっス!(ドラマパート)
;SE 電気ストーブスイッチオン
;16/左前遠
「はー。もっと早くストーブつけとけばよかったっスね」
「って、なにをぼーっとつったってるッスか。
お掃除も終わったんスから、
ささ、こっちきて休憩するッス!」
;SE 座布団ぽんぽん叩く
;1/前
「……(吐息)――おつかれさまッス。
おかげで社殿の中も外も、すっかり綺麗になったッス。
けど――ちょっと、おでこ失礼するッスよ?」
;SE おでここつん
;1/前(密着)
「……こうしてみると、わかるっす。
キミは芯から疲れてるッスね――
体もこころも丁寧に大事にケアされてるのに……」
;3/右 接近囁き
「一番奥底の深いとこ、一番高みの澄み切ったとこ――
魂とも呼べる座(くら)がじわじわ……
疲れて、重くなっているッス」
;1/前
「これじゃあ表面をいくら癒やして休めたところで、
すぐにまた、いくらでも疲労がわいてきて困るッスよね――
だから自分が、キミのツカレを――
キミの魂に憑いてるモノを、綺麗に落としてあげるッス」
;SE 立って→台所に移動(畳の足音→板敷きの足音)
;SE (台所)薬缶から湯呑に湯を注ぐ→湯呑を盆に乗せる→お盆に匙を乗せる
;SE 台所→戻って→座る
;1/前
「主伐(しゅばつ)――祓(はらえ)の神事(しんじ)。
カミゴトを行うッスから、まずは呼吸を――
今度はただ単に整えるんじゃなく、
自分とぴったり合わせるッスよ」
「いいっすか? 流れを静かに意識して――
自分の声に、そのまま従って欲しいッス」
「吸って――はいて――吸って――はいて――」
「(すーーー)(はーーー)(すーーー)(はーーー)」
「静かに――静かに――吸って――はいて――」
「(すーーー)(はーーー)(すーーー)(はーーー)」
「大きく大きく、息を吸えるだけふかぁく吸ってぇ――(すーーーーーーーーーーーーーー)」
「ゆるゆるぜぇんぶ、だせるだけ吐く――
(はーーーーーーーーーーーーーー)」
「そうしたら、さっき持ってきたこの白湯に――」
;SE 薬包(和紙)を丁寧に開く
;SE 中の粉を滑らせ、湯のみの白湯に注ぐ
;SE 酒瓶をとり蓋をあけ、白湯へ注ぎ、蓋をしめなおし酒瓶を置く。
;SE 匙をとり、ゆるゆると書きまぜて溶かす
「神饌(しんせん)――ミケとして捧げられた米酒(ふまざけ)と塩とを溶かし込んだッス」
「いますぎに半分を呑むッス。
残り半分は、カミゴトの最後に飲み干す分ッス――」
「さ……」
「(呼吸音)」
「ん。そしたら、目をつむってイメージするッス」
;7/左 接近囁き
「フマと塩とが湯と酒に溶け、喉から奥におちていく――」
「はらわたに染み、そこから広がり、手の先、足の先にまで――」
「体の芯から、心の底から、手先足先の末端に――
ツカレが、ケガレが――追いやられるのを、イメージするッス」
「――うん」
;SE 立ち上がる
「為れば今よりカミゴトを為す。
目を閉じたま任せるがよい」
;SE 畳の上をすり足で移動し廊下に出、廊下を足で踏み鳴らす(とんっ)
;SE トトトと廊下の端へ移動し、振り鈴を手に取る(しゃんっ)
;SE 鈴神楽(一人による鈴の音のみ。伴奏なし)
;参)https://youtu.be/FPHlk0cCttY
;下記のセリフに合わせて
;舞うイメージで
;1/前→;3/右→;11/右遠→;9/前遠→;15/左遠→;7/左→;1/前 (以下、このムーブ<右回り>)
「かむづまり ます とさの ものべの ものべのの
せいしんだいおうがひめみやの みこともちて
ものべののカミたちを かみづたえにつどえたまい」
;1/前→;7/左→;15/左遠→;9/前遠→;11/右遠→;3/右→;1/前 (以下、このムーブ<左回り>)
「かむはかりに はかりたまいて
ものべののみずのわかしゆの ものべののふまのかみくだきしの ふちさせの
とさのこうちのうしおほししの
ときまぜときまつりき たいらけつく しろしほせと」
;<右回り>
「かくほせば せいしんだいおうがひめみやの
みこともちて おほとちのすがそをもとかり すえかりて
オオトメガマの まみずのおつるをもがなし みながして」
;<左回り>
「すずのおとふる ふるふるを ふるわせ ふるえ
すずのおとなる ちりちりを ちりばめ ちらせ
かかるおのこに すくいしケガレ すくいながさん
すくいしけがれ ながれのこるは あずさのゆみを」
「(静かな吐息)」
;足音、廊下をトトトと右手奥に
:鈴をおいて、弓を取る
;足音、廊下を戻って
;SE 梓弓神事
;https://youtu.be/-WS1MPEfIpY
;<左回り>
「ゆんでにゆみとり めてにつるとり
つるうちならして うちはらわして はらわれしとが たいらくならさん
あずさすなわち すさなれば
いざやなみ いざやなぎとて たいらかならん」
;SE 弦音
;<右回り>
「くしもてけずり けずらうかみの
いつのちわきに ちわきして
かみとわしに とわしたまいて
かみはらいに はらいたまいて」
;SE 弦音
;<左回り>
「なれものべのの ものべのかわの
ながるるみずに おほづねうかべ
へ ときはなち とも ときはなちて
よどみのみずに おしはなたらん」
;SE 弦音
「かく せいしんひめみや いぶきはなちて
ことのは はなちてば
ねのくに かたすくに そこつくにの そこへもて
ながれのこりし つかれ うずめん」
;1/前
;弦音
「(短い吐息)」
;足音しずしずと右手奥に
;弓置く
;足音しずしずと戻る
「(息だけで微笑)」
;SE 肩をぽん、っと叩く
;3/右 接近囁き
「さ。ふまざけと塩とを溶かした白湯の残りを――」
;緊張→解ける
;1/前
「(呼吸音)――(呼吸音)」
「ふふっ! おーつかれッス!!!
これで祓えは終わったッスよ!
どっスか?
こころから、重くて暗いの、抜けおちてるの、わかるすか?」
「体の方も、多分、軽くなってると思うスよ?
たましいは、体ともこころともがっちり関係してるッスから――って!」
;SE 体支える
;2/右前
「急に立つとか、ちょっと無理スよ。
キミだって、わかってるッスよね?
カミゴトは、常にカヤリを求められるもの。
憑き物をおとした分は、いまはキミの中、空っぽっすから」
「その空っぽに、また悪いものがつかないように、
穏やかな南風(はえ)が、豊かなかやりを運んでくれるそのときまで」
;SE 膝ぽんぽん
;3/右 接近囁き (さ、は”さぁ”の意)
「自分が、キミを守るッス。
だから、さ。自分に体を預けるッス。
肉が薄いのは気の毒スけど、膝枕――
床に寝るより、きっと、少しはマシすから」
;環境音 F.O.