Track 4

海軍秘密基地見学(魚雷のスクリューを回す音。コウモリの飛ぶ音、鳴き声)

;SE 洞窟内の足音。ゆっくり慎重。十歩ほどで止まる。 ;5/後 (マスターの後ろについて歩いてる) 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ここが――地下魚雷調整場……」 ;環境音 洞窟内 ;足音 継続 【かにこ】「最初聞いたときは信じられなかった。こんなに深い山の中に、まさか海軍の秘密基地があったなんて。 その遺構が残ってるだなんて」 ;5/後 (あたりをぐるりと見回しながら) 【かにこ】「しかも、ただ残ってるだけじゃない――こんなにも綺麗な状態で。この区画とか、床も壁もコンクリートで固めてあるし。 ……いったい何に使ってたんだろ」 ;SE stop マスターが振り返るので相対位置変化 ;1/前 【かにこ】「(呼吸音)小(呼吸音)(呼吸音)――あ、そうだった。入るときにもらったイラストガイド。んと……」 ;SE マップ広げ ;3/右(近い、マイクと同視線) 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)――そか、なるほど。弾薬庫――って、あ。見て、マスター。これ」 【かにこ】「すぐそこに魚雷調整室っていうのかある。――! 実物大の魚雷の模型がおいてあって、自由に触っていいって。 見てみたいかも」 ;SE 足音 ;1/前 【かにこ】「ここを抜けてすぐのところに……(呼吸音)――あった」 ;SE 足音stop ;3/右(同視線) 【かにこ】「(感心の息→見惚れる息とニュアンス、20秒ほど)」 【かにこ】「……これが魚雷。模型ってもっと――こう、ちゃちいものかと思ってたけど――すごい。本物みたい」 【かにこ】「とっても大きい。触っていいって書いてあったけど――(呼吸音)(呼吸音)――あ、これ。ここ、スクリュー回りそう」 ;SE スクリューまわし 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――えへへ、結構軽くうごくんだ。あ、けど推進機関だしあたりまえか」 【かにこ】「案内板もある……ええと――これは1931年――大詔(たいしょう)21年に正式採用された、『九一式魚雷』の実物大模型で―― (呼吸音)(呼吸音)――へぇ、ジャイロスコープが内蔵されててそれに連動した安定舵……あんていだ、って読むのかな? あんていかじ? とにかく、方向をコントロールするものだよね――あ、これか」 【かにこ】「このカジが、ジャイロスコープ――角度センサーと連動して、水中での姿勢を安定させる働きをしてたんだ。……(呼吸音)(呼吸音)――いわれてみたらたしかに、飛行機から投下されて海の中に突っ込んで――そこから水平に走ってく、とか……姿勢制御、ものすごい難しそう」 【かにこ】「……(呼吸音)(呼吸音)――ああ、うん。かにこたちレイルロオドのどこかにも、そういう時代に研鑽された技術とかその応用物とかが、きっと使われているのかも」 【かにこ】「(しばらく考え込む呼吸)」 【かにこ】「……“大戦”って――戦争って。かにこは新造配備されたのが終戦の4年前で、その4年間も、終戦後もしばらくは、本当に大変だっったから……忘れたいもの、みたいにずっと思ってたけど」 【かにこ】「ここに来てみて。戦争が残したものをみて。……平和と戦争って地続きなんだなぁ、って、少し思った。 すごく遠くにある、断絶されたものじゃなくって――地続きに――そこに行く気になっちゃったなら、いつでもいけるようなものって」 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん。そう思えただけでもなんか、ここに来た意味があった気がする。 北開道の観光振興っていう面でも……戦争遺構。もちろんたくさん残ってるし――こういう、なんだっけ、イラストガイドに書いてあった……」 ;SE ガイド広げ、紙ペラ ;3/右(接近) 【かにこ】「えっと――(呼吸音)――ああ、『フィールドミュージアム』。地域一帯の遺構をまるごと展示物と扱って管理・整備して。統括する事務所をおいて。このペーパーとか展示板みたいにわかりやすいガイドを用意して。――このやりかたって、ものすごく、北開道にマッチしそうに思う」 【かにこ】「(呼吸音)――ふふっ、マスターもそう思ってくれるなら嬉しい。 なら、他のところも勉強のため――あ。見て、ここ。『この先未整備。立入禁止』だって」 【かにこ】「『未整備』……気になる。 だって、未整備の状態がどんななのかを見ておけば、博物館化――ひいては観光地化のために、どんな整備をしたかが、逆にわかるかもって思うから」 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)――うん。なら行ってみよう、マスター。立ち入り禁止区域の外から、先がどうなってるのかを覗くだけ。それならなんの問題もないし」 ;SE 足音(継続) ;5/後 【かにこ】「…………この辺はレンガ造りなんだ。ふしぎ。自然の洞窟を活かして軍事施設にしたって書いてあったけど――コンクリづくりのところと、レンガ造りのところ、どうして作り分けたんだろう」 ;$=SE 石壁を指で擦る 【かにこ】「あ……この区画は――$――(呼吸音)――完全に岩だ。これ、岩をくり抜いて整備してある……か、天然の状態でこのままなのか。 もしかしたら、順次整備をしていく予定だったのが、資材とかの関係で、未着手のまま残った……とかなのかなぁ――っと。ここだ」 ;SE stop ;3/右(同視線) 【かにこ】「ロープ張ってある。 ……先は、まっくら。そか、未整備だから電灯もなんにもついてないのか」 【かにこ】「ライトで照らすくらいはいいよね。ん……っと」 ;SE ライトのスイッチ、カチっ ;環境音 コウモリの鳴き声と羽音 【かにこ】「ひっ!!!?」 【かにこ】「ふあっ! コウモリっ!? ひゃっ、きゃっ!? すごいたくさん――ひゃうっ!!!?」 【かにこ】「(一分ほど、目をつむって息を詰めてひたすらコウモリが頭上を飛び去っていくのに耐える呼吸とニュアンス。可能なら途中で一回、コウモリにほっぺをかすめられてビビっていただけるとさらにうれしいです)」 ;環境音 コウモリ終わり。クロスフェードでもとの洞窟環境音に 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――えっ? あ――あ……ほんとだ、コウモリ……もう全部どっかに移動しちゃってる……」 【かにこ】「(安堵のため息)」 ;3/右(マイク向き / 緊張から完全に弛緩して、北海道弁がでちゃう) 【かにこ】「ああ……怖かった、驚いた。コウモリくらい、そりゃ札幌市にでもいるけどさ。したっけこんなにたくさん一気になんて、いままで見たことあるわけないっしょ」 ;$=SE ポケットからアルコールティッシュ出して、2、3枚ひきぬく 【かにこ】「っていうかほっぺ、コウモリにかすめて飛ばれたし。なまらキモチわるかった~。あ。ってか、マスター、かにこのほっぺ、これ。んしょっ――$――アルコールティッシュで吹いて、ね?」 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うー、しゃっこい。でもスッキリした。ありがと、マスター」 【かにこ】「っていうかこれ……コウモリはちょっとウケが悪そうだけど。フィールドミュージアムと、動物ふれあい体験みたいなのって、ものすごく愛称良さそうかもって、かにこ、思った。特別感アップするし」 【かにこ】「……今日の体験。全部がすごく勉強になってる。――嬉しい」 【かにこ】「ね、マスター。次のところは――(呼吸音)――って、あ、そうか。もうこんな時間。 そろそろ移動を開始しないと、真っ暗な中でテント張ることになっちゃうって、注意されてたっけ」 【かにこ】「道房山(みちふさやま)キャンプ場――ここから結構あるみたいだから、早めに移動が安全だよね。うん」 【かにこ】「それじゃマスター。移動しよう」 ;環境音 F.O.