Track 3

赤木南面千本桜

;3/右 (インカム越し) 【かかあ】「ついたっ! 赤木南面千本桜、駐輪場!!」 ;環境音 自転車走行音 stop ;$=SE = 右耳からインカムイヤホン外す ;$のあとから →;1/前 【かかあ】「って、今はインカム外していいのか―― $ えへへっ! なんだかちょっとスッキリするね」 ;環境音 赤城南面千本桜 F.I. ;1/前 【かかあ】「(大きく息を吸って)――ふわー! 空気美味しい!!! 大五の駅より、ちょっと涼しい感じするかも。標高かなぁ? っていうほど登ってきてないか」 【かかあ】「それでもさ、ここまででも結構疲れるねー。 あたしが自転車乗りなれてないってのもあるかもだけど……(呼吸音)(呼吸音)―― ふふっ、旦那、お水おいしそうだねぇ。汗、結構かいてるもんね」 【かかあ】「っていうか――(呼吸音)(呼吸音)――(ごくり)。 あたし、電車レイルロオドだからお水別に飲まなくっても平気なんだけど、その…… (呼吸音)(呼吸音)――あはは、ありがと。だよね、冷却水冷却水。冷却は大事」 【かかあ】「それじゃ、ありがたくいただきまーす! (んくっ、んくっ、んくっ――ごくんっ!)」 【かかあ】「あー……オーバーホール受けたみたいな気持ちがする。 旦那がときどきいってる、『生き返る~』って、たぶんこの気持ちとおなじでしょ? 違うかな。へへっ」 【かかあ】「って、ゆーかさー」 ;環境音 Vol ↑ 【かかあ】「(30秒ほど、ゆったりと森林浴な呼吸音)」 ;環境音 Vol戻す 【かかあ】「…………いいよね、赤木南面千本桜。名前が名前だから、桜の季節には人間ぎゅうぎゅうでお散歩どころじゃない感じだけど……」 【かかあ】「今の季節――葉桜の季節も、梅雨の季節も、夏の盛りも、落ち葉の秋も、寂しい冬も。 桜の季節以外はどの季節だって、さいっこーの散歩道だよね。 ね? せっかくだし歩かない? ちょっといったところに四阿(あずまや)あるし、そこで座って、少し足をやすめようよ」 【かかあ】「(呼吸音)(呼吸音)――うん、じゃ! 決まり!! 自転車は……ころがしていってもころがして戻ってくるようだし、ここに駐めてっちゃおう。 鍵って――(呼吸音)――ああ、このちっちゃいポーチにはいってるのか」 ;SE ポーチのジッパー開け 【かかあ】「わ! 長くて細い鍵! これって――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ああ、ワイヤーで荷物の方にもいっぺんに鍵できるようになってるのか。それじゃ、かけとけば安心だね……ん――(呼吸音)(呼吸音)」 ;SE ロック、ガチリ ;SE ロック部をガチガチやってチェック 【かかあ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん! ばっちりがっちりかかってる! おまたせ、旦那! それじゃ、四阿までのんびりいこー! よ、っと!」 ;SE 土の上に乗っかる足音 【かかあ】「ふふっ、舗装路より土の道の方が足に負担こない気がしない? それに森に近くなるから、空気もちょこっとよくなりそうな感じだし」 ;SE 土の道をのんびり歩く(サイクリングシューズ/継続) ;7/左 (並んで歩いてるので、マイクと同じ視線だったり、マイクの方みたり適宜でお願いします) 【かかあ】「(森林浴を楽しみながら散歩する呼吸、60秒ほど)」 【かかあ】「……ふかふかしてる。すごくやわらかい。こんなクッションみたいな土って、なんか新鮮」 【かかあ】「だってさ、旦那とあたしが普段踏むような土って、バラスト敷いてあるか、しいて無くても搗(つ)き固めてあるとこばっかりじゃない。こんなにふかふかの土なんて……(呼吸音)――うん、あんまりふんだ記憶ってないような気がする」 【かかあ】「これって、なんでこんなにふかふか――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― あー、そっか! 森からの落ち葉とかかー」 【かかあ】「それが長年積み重なって、分解されて泥になってってくりかえしてるから、こんなクッションみたいな歩きごこちなんだ。 おもしろい。線路とまるで反対だねー」 【かかあ】「(呼吸音)(呼吸音)――ふふっ、だって線路はさ、レールへの負担を少しでも減らすために、バラストを積み重ねて搗き固めてクッションにして。だけど列車が長年かけてそのバラストを分解しちゃって……。 砕かれちゃうから、またバラスト積んで搗き固めての繰り返しでしょ?」 【かかあ】「森の地面は、上に乗る木とかがきっと、もっと居心地よくなるためのクッションになってて。 レールの路盤は、上に乗る列車が――その中のお客さんや貨物を、もっと安定させて安全でいてもらえるように、はしっかり固めてるわけじゃない。 だから――ね? これってまるっきり反対だなぁって!」 ;$=SE=わざと森に踏み入って、落ち葉のとことか踏む ;;3/右 →‘$”以降 →;11/右遠 【かかあ】「そりぁあレイルロオドのあたしがふかふかの地面歩いた記憶なんてないの、当然だよね~ $ ふふっ! 森の中はいっちゃうと、落ち葉とかも全然形のこってるんだね、もうゴールデンウィークもすぎちゃってるのに! あははっ! さくふか、おもしろい!!」 【かかあ】「(30秒ほど、落ちふみに軽くはしゃぎながら歩く呼吸音)」 ;11/右遠→;3/右 ;SE stop 【かかあ】「えへへ、ただいまー! あー楽しかった! ただの地面と、森の中の地面と、アスファルトと、ぜぇんぶふんでる感触が違って――あ」 ;SE しゃがみこむ ;3/右(しゃがみこみ) 【かかあ】「旦那。なんかこれ、赤いのある。木の実――草の実? いちごみたいな、でももっとちっちゃい……」 【かかあ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――へびいちご! へびいちごっていう名前なんだ! あはは、おもしろい名前だねぇ。本当に蛇が食べるの? これ――ちょっとスマホで調べてみるね」 ;うつむいてスマホ操作 【かかあ】「んっ――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――へ、び、い、ち……ありゃ、とになっちゃった、失敗失敗。フリック入力っていうんだっけ? これ。いつまでたっても時々失敗しちゃう」 【かかあ】「一文字もどして――ち――こ、てんてん――へびいちご! で、検索!!」 【かかあ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――へぇ――(呼吸音)――ふうん――」 ;SE 立ち上がる ;1/前 【かかあ】「『蛇は肉食だからヘビイチゴを食べません』って書いてある。いわれてみたらそりゃそうだよね―― あれ? けど、そしたらなんでヘビイチゴっていう名前なんだろ」 【かかあ】「ん~(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――あ、あった――(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― へぇええ! ね、旦那。これ、へびいちごって、蛇みたいに地面を張って増えていくからへびいちごって名前なんだって……他にもいろいろ説あるみたいだけど」 【かかあ】「でね? へびいちごは繁殖力がすごくて、グラウンドカバー、地面に他の雑草が増えないようにする効果も高いんだって! ね? これ、どうかな、うちのカイシャの路線の路盤のノリ面とかにさ、ばーって植えるの」 【かかあ】「うまく定着して他の雑草抑えてくれたら、保線部の除草費用抑えられるでしょ? それに、見た目もすごくかわいくなるし……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――あ、だね」 【かかあ】「公園に生えてるの勝手にもっていくわけにもいかないから――どっかから移植する許可なり、それがむりなら購入なりしなきゃになるか。ん――じゃあまずは試験的に少面積からだわね。次の月曜会議で提案してみるから、旦那も味方してね」 【かかあ】「(呼吸音)(呼吸音)――うん、ありがと! そうこなくっちゃ!!! ってか、ごめん、足止めちゃって、立ちっぱなしにさせちゃって。四阿(あずまや)でしっかり足休めようね」 ;SE 草地をのんびり歩く ;3/右 【かかあ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……ふふっ、さっき落ち葉踏んで歩いたからかな。 草を踏んで歩くのも、全然別の感触で、音で――って、あ」 【かかあ】「ね? ここって紹介できるんじゃない? 新聞記事のさ‘蓄音レヱル”に」 【かかあ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん、だよね! わざわざ落ち葉を踏みにいかなくっても、足音を気にしなくったって――」 ;足音stop ;環境音 Vol↑ 【かかあ】「(一分ほど、息をひそめて自分たちを包む音に耳を澄ませる)」 【かかあ】「…………5月の森の、赤木南面千本桜の音だけだって、しずかで綺麗。 聞こえてくるのはただ風と、森と、鳥と――(呼吸音)(呼吸音)――(身を寄せる短いニュアンス)」 ;3/右 (接近囁き) "あはは"→で;3/右 【かかあ】「あとね、旦那の息の音――あははっ!」 ;SE ゆっくり歩く足音再開 【かかあ】「あたし的には、旦那の音が一番いいね。安心する。すごく。 乗務中でのどんなときでも、ちょっと不安を感じたときにはいっつも、耳が勝手に探してる」 【かかあ】「でもまぁ、それは――ふふっ、新聞じゃ紹介できないね。 あたしが独占できなくなったら、困っちゃうもの。 っと――見えた、四阿」 【かかあ】「ふふっ! ――!!」 ;SE かかあ駆け出す ;3/右→;9/前遠 ;9/前遠 【かかあ】「旦那! ここここ!! 座ろう座ろう。座ったほうが足やすまるし!」 ;旦那が近づいて来て隣に座るのまってる ;9/前遠→;1/前→;7/左 【かかあ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん! もちろん! どうぞどうぞ、座って座って?」 ;7/左 _(接近囁き) 【かかあ】「(嬉しい呼吸音)―あたしの隣はいつだって、旦那の指定席だから」 ;環境音 F.O.