帰り道。二人で歩く駅までの道
//ダミーヘッド位置・3(右・近い)
//SE 靴を取り出して、地面に落とす
【美雨】
「わ……もうすっかり夕方になっちゃった」
【美雨】
「あ、そうだ。駅まで一緒に帰ろうよ。方向おんなじじゃんね?」
【美雨】
「……それとも……クラスメートとかに見られたら恥ずかしいから、拒否る?
それもまた一つの選択だぜ……。攻略難度が高けりゃ高いほど、オラ、燃えるたちだからよぉ……」
//SE 靴先で地面を二度叩く
【美雨】
「えへへ、なんちて。さっさと帰ろってね」
//BGS 足音
【美雨】
「(30秒ほど息遣い)」
//SE カラスの鳴き声。遠くから
【美雨】
「うんうん。カラスもよー鳴いとる」
【美雨】
「んー、皆この地球に生きてるねぇ……。
耳をすませば生命の息吹を感じる今日このごろだよ」
【美雨】
「……はっ!? 今のちょっと不思議ちゃんっぽい!?
90年台の言い方をするなら電波系!?」
【美雨】
「う、うみゅーん……男の子と二人で歩くという状況に、
ワタシ、どうも緊張している様子。我ながら意外だぜ。
こういうの、なんともないと思ってたんだけどなぁ」
【美雨】
「あー、ごめん今のナシ。ナシナシ。
そういうことを言うから、ことさら意識して、変に空回りするんだ……。
……クソ。なんで今のも口に出た? 私のお口チャック、ゆるすぎぃ……」
【美雨】
「……全部一旦なかったことにしよ、うん。全部忘れてーからのー」
【美雨】
「今日はありがとね」
【美雨】
「すごく助かったよ。炭酸を使った癒やし……かなり手応え感じたし」
【美雨】
「キミも、少しは元気になれたと良いんだけどな」
【美雨】
「……教室でちょろっと顔見た時とか、気になってたんだよね。
あー、あの人なんか疲れてそうだなー。癒やしたげたいなーって」
【美雨】
「あのさ。何か疲れてたりしたなら、いつでも声かけていいからね。
私、癒やし部なので。そりゃもう癒やしたげますよ。ええ、任せて下せえ」
【美雨】
「えへへ。代わりに、いろいろ実験台にさせてね。
海外から手に入れた怪しいお香とか試させてね?」
【美雨】
「(5秒ほど息遣いのみ)」
【美雨】
「ほんと……いつ声かけてくれてもいいからね」
【美雨】
「別に癒やしだけじゃなくていいし。
ほら……休日、どっか遊びに行こー……とか」
【美雨】
「今日みたいに? 一緒に駅まで帰ろー……的な……?」
//SE 足音 ストップ
【美雨】
「とか言ってたら、駅までついちゃった…………。ほんとすぐそこだな。
駅チカ学園め」
【美雨】
「……じゃ、私、改札アッチだから」
【美雨】
「ばいばい」
【美雨】
「(3秒ほど息遣いのみ)」
【美雨】
「え、何で行かないの。……私が行くの待ってるんじゃないよ。
いや、私も、キミが行っちゃうの待ってるんだから」
【美雨】
「ほら、ばいばい。おら、帰れ、オラ。
ハウス。おうち帰りなさい」
【美雨】
「……ラチが開かないぜい」
【美雨】
「よしっ。せーので帰ろ。せーので周り右して、ばいばいね。おーけー?」
【美雨】
「はいっ、せーのっ! ばいばい!!」
//SE 足音
//ダミーヘッド位置・13(後ろ・遠い)
【美雨】
「うぅ……全く、付き合いたての男女じゃないんだから……」
【美雨】
「って、なんで絶対聞こえる距離なのにソウイウこと言っちゃうの私は!?
あーー! だから、お口のゆるさ、ほんとよー!!」
//SE 足音 走っていく。フェードアウト気味に
//声 遠ざかっていく感じ。
【美雨】
「うがーーーー!!」