Track 1

Next Track Back

01.理想の彼女

ーM(玄関のドアを開ける音) おかえりなさい! 今日もお疲れ様でした ほら、カバン持ってあげるから、こっちによこして ーM(リビングへ向かう足音) お風呂も湧いてるし、ご飯ももうできるけど、どっちにする? …… 結構汗かいちゃったんだ それじゃあ早く洗い流したいよね でも、その前に、ちょっと…… 匂いかがして 人間がどんな匂いをするのか、興味あるの…… なんてね、冗談だよ なに、本気にしてんの〜 ほーら、スーツ脱いで お風呂はいってさっぱりしてきな ーM(服を脱ぐ音) じゃあ、お風呂から上がったらすぐにご飯を食べられるように準備しておくね すっごくおいしいのつくったんだから、あんまり長風呂しないでね ーM(浴室へ向かう足音) 危ない、危ない つい、変な欲求がでちゃった…… あの人の性格はわかってきたけど もっともっと知りたい 匂いも嗅ぎたいし、どれくらい汗をかいたのかも見てみたい ちょっと距離を詰めるの急すぎる気もするけど、我慢できないよ うう、あの人がどんなセックスをするのか、どこが性感帯なのか、 感じてるときどんな顔になっちゃうのかも早く知りたいな…… あの人のことをよーく理解してから、わたしに夢中にさせるの でも、道のりはなかなか遠そう わたしのこと助けてくれたときは優しくて素敵だなって思ったし、 そのあともわたしのこと気にしてくれて、 一緒に生活していくうちにどんどん好きになっちゃったけどなかなか手は出してきてくれない 体に触れるどころかエッチな視線も向けてくれないし…… 優しすぎるんだよぉ…… やっぱり、おっぱいがないとダメなのかなぁ…… もしかしてわたし以外に女がいるとか? たまに帰りが遅いのもその女と密会を…… ? いや、そんなことあるわけないよね ひどいことするように見えないし、ここに女が訪ねてきたこともない もっとゆっくり待とう いやらしいことしなくても、今はあの人と一緒に過ごせるだけで嬉しい…… この世界飛ばされて最初は怖かったけど、あの人に出会えて、元の世界にいたころより幸せかも さて、スーツにブラシをかけなくちゃ ん?ポケットになにか入ってる なんだろう、この紙きれ キラキラしてて派手だけど、なにが書いてあるんだろう? んー、名前かな? この世界はわたしがいた世界と全然違うから、まだまだわからないことばっかり ご飯のときに聞いてみよう ー間 これ、初めて作ってみたんだけど、美味しくできてる? …… そっか、よかった あなた、おいしそうに食べてくれるからすっごく嬉しい わたし、料理は得意だから食べたいものがあったらなんでも言ってね レシピを調べて絶対においしくつくるから あなたに喜んでもらえる特技があってよかった そうだ、スーツのポケットからこんなものが出てきたんだけど…… これってなに? そこに書いてあるのって、たぶん人の名前だよね? …… キャバクラの名刺? キャバクラってなに? …… へー、お酒を飲むところなんだ そこでなにするの? …… 仕事相手とのお付き合い…… そんなのあるんだ、お仕事って大変だね でもお酒飲むなら、居酒屋さん?っていうところでもいいんじゃないの? キャバクラはなにか違うの? …… ふーん、キャバクラって女の人がいるところなんだ…… やっぱり、男の人は綺麗な女がいたほうがいいもんね…… あなたはキャバクラ好きなの? 綺麗で、おっぱい大きい女と遊びたいの? わたしなんかといるよりそっちの方が楽しいんだよね、きっと…… エロい女とおしゃべりできて、しかも仕事もうまくいくようになるんだもんね…… あ、そうだ、あなたに飲んでもらいたいものがあるんだった いま、持ってくるね ーM(足音)FO ーM(液体を注ぐ音) ーM(足音)FI はい、どうぞ これを飲むと体の疲れが一気にとれるの 仕事が終わった後も付き合いでキャバクラに行くんだもんね 疲れ溜まってるでしょ? ほら、全部飲み干して…… …… なーに?別に怒ってなんてないけど あなたが女となにをしようが怒るはずないでしょ? わたしはあなたに救ってもらったんだもん何も言えるはずないでしょ そんなこといいから、早くそれ飲んで 別に変な色なんてしてないよ 体にいいものは多少見慣れない色をしてるものなの ほら、めしあがれ ー短い間 ふふっ、全部飲んじゃったね…… 体がふわふわしてきた? 疲れが取れてる証拠だよ いい気分でしょ? このまま寝ちゃうか ベッドまで行こうね……

Next Track Back