Track 1

ばっちり見ちゃいました、先輩♪

は~い、決定的瞬間、ばっちり撮っちゃいましたよ~先輩♪ ピアスやカラーリングをやめるどころか、学校の敷地内で煙草を吸っちゃうなんて… こんなのがばれたら、流石に退学は免れないんじゃないですかねぇ? …くすくす。だから言ったじゃないですか。中途半端にしていると、取り返しのつかない事態になるって。 大方、私に半端だって突っ込まれて焦ったんでしょう?  それで思いついたのが、煙草ですか。ふふ、どうやって手に入れたんですか、それ。 お父さんからくすねてきたとか? …ねぇ、先輩? 何か言ってくださいよ。そんなに青ざめた顔して、どうしたんですか? ほらほら、いつもみたいに悪ぶってくださいよぉ、ふふ、ふふふふっ… …この写真、先生に見せたら困りますか? 普通なら困りますよねぇ。学校を退学させられたーなんてなったら、親御さんになんて言われるか…世間にどういう目で見られるか… でも、先輩が本物の不良だっていうなら、そんなこと気にしませんよねぇ? たかが学校を退学させられるくらい…むしろ、自分を縛るものがなくなって清々するんじゃないですか? これで晴れて自由の身…先輩は自分の思うがままの人生を謳歌できるわけです。 …さて。先輩? もう一回だけ訊きますね。 この写真、先生に見せたら、先輩は困りますか? 見せないでほしいですか? ……ふふっ。だから先輩は中途半端なんですよ。 わかりました。この写真は私だけの秘密にしてあげます。 ただし、もちろん条件があります。わかりますよね? これからはちゃんと、校則は守ってください。素行の悪さも正してください。 …まぁつまり、真面目な生徒になってくださいということです。いいですね? …はい、いいお返事です♪  …それと、もう一つあります。 ふふ、そんなに身構えないでください。大したことじゃありませんから。 今日の放課後、風紀委員室に来てください。 あぁ、ご安心を。今日の放課後は委員活動はないので、教室には誰もいないはずですから。 先輩と私の二人きり…今後のことを、ゆっくりと話し合いましょう? ふふふっ。 じゃあ、先輩。そういうことで。 …絶対に、来てくださいね? ふふ。