企みのお姉さん
「おはようっ」
朝、件(くだん)の彼とアパートの一階、エントランスでばったり邂逅。
もちろん、狙い通り。
ミキは、明るくニッコリ、爽やかに挨拶。
それはもう、自然に。へへ。口調も裏など感じさせず(笑)。
彼は間近で見るミキに、柑橘系の邪魔にならない大人の女性の香りに、プロポーションを強調する服
に、ちょっと、いや、かなりどきまぎ。
「え、っと。お隣さん、だよね?」
「は……はい」
「名前…聞いてなかったよね? なんていうんだっけ?」
「ユ、ユウジです…」
「ふぅーん、ユウくんか。いつも、遅くまで明かりついてるけど、いっぱい勉強してて、えらい
ねー」
「そそそそんなことはっ、まあ、受験生ですし、勉強しないと、ダメだから…」
「そっかそっか。受験はねえ、大変だよねえ。ミキも、思い出すわ。なんてーか、結局は気合いだぁ
ね(笑)。がんばんなさい少年っ」
ミキはそういうとユウジのお尻をパンと一叩き。
ユウくんの赤面びっくり顔に満足しながら、じゃね、いってらっしゃいと、とびきりの笑顔でお別
れ。
…を装い。
曲がり角を曲がったとこで電柱に身を潜ませ、反転♪
ぽーっと夢遊病者みたいに歩いてくるユウくんを観察。
あらあら、なんか歩きがぎこちない。何かギクシャクしちゃって(笑)。
え? なんでこんなことをしてるのかって??
そりゃー、あの子に一声掛ければ、コロっていっちゃうのはわかりきってるけどさ、ジワジワと彼の
欲望を高めていく事に意味があったりしない?
ちくちくとちょっかいを出して、ユウくんから手をだしてこそ、その頂点の欲望をつまんでこそ、楽
しみ甲斐がっ! あーん、ゾクゾクするぅ!
妄想の刺激から現実の刺激、へ。
半分ロボット歩きのユウくんの背後に回り込んで肩をポンポンっと。
「少年Yっ。ちょっといーい?」
ギクっとこっちを振り向くユウくん。
「あっ、あぁ?! お、おねーさんっ。え? だって、さっき先にいったんじゃ…え、ええっ?」
「あれっ、そーだっけ? まあ、細い事はキニシナイの。ウチでたものの、今日休講ってことに気付
いてさー。ミキちゃんショック! …もぅ、なんで早起きしたのに…。ミキのバカっ。バカバカっ、
朝の10分は夜の30分! 貴重な、あぁああああぁあ……」
「…くっ、くくっ。(笑)。お、おねーさんって面白い人なんですねっ」
「んー、んんっ?? ミキ? やぁね…ガッコじゃ、面白くてかなりセクシーって評判なんだけど?
ね、ユウくんはどう思う?」
さりげなく、腰をくねらせ、プリンプリンな曲線をユウくんに見せつけてみる、ミキ♪
案の定、ユウくん、どぎまぎモードに突入。
「あら、真っ赤っかになっちゃって、やぁだ、ミキってば。イタイケな○学生をこんなに照れさせる
ほどイイ女なのぉー?」
余裕の軽口を叩きながら、ユウくんにちらりと流し目スマイル☆
「……(無言でコクコクとうなずく)」
「そっかー、ウレシーなぁ。てか、ユウくんは素直でよろしいっ! いい子いい子☆」
ポムポムと若干ミキより背の低いユウくんの頭を撫でてあげる。
ユウくんは借りてきたネコ状態。
心なしか、股間も勃起しちゃってる感じ(うふふっ)。
「…おっと! ユウくんこれから学校なのに随分引き止めちゃった。ゴメンゴメン。ガッコ遅れたら
ミキのせいになっちゃうね。このくらいで開放したげる(笑)。
ふぁああああ(あくび)。バイトは夜からだし、ミキは、ウチに帰って一眠りでもしますわ。
あぁ、ユウくん一緒に寝る?」
目が点のユウくんに「バーカ、何考えてるのかしらっ、マセてんじゃなーいのっ」額をこづく、ミ
キ。
「青少年は勉学に励むのだー。でもね、勇気のある少年は好・き・よ♪」
チョー意味深な言葉を残して、ユウくんの肩を叩いて今度こそ、ユウくんとはお別れ。
ユウくんの名残惜しげな視線を背中に感じて満足満足。
少年のリビドーを朝っぱらから、つんつんとつつきまくったった!
よしよしっ、種まき完了っ。あとは、ユウくんの出方次第だねっ。