Track 3

前戯

右腕に集中して下さい。 そう、右腕の手の平の部分に。 貴方の右腕の手のひらに、今わたくしの手があります。 そこに意識を集中して下さいね。 意識すると、ピリピリとして何かを、そこに感じませんか? 感じない? それとも感じている? ……大丈夫、すぐに感じる必要はありませんよ。 すぐ感じなくても、少しずつ意識を高めれば気付きますわ。 わたくしが特にその部分を念入りに触れているって。 抱きしめ合っている暖かさを感じれば、貴方はすぐに気付きます……。 暖かさと同時に、感触が、確かにある事を。 それに、少し前の貴方はその片鱗を味わっています。 先ほど、わたくしの手が、貴方のお腹を撫で回した時のことを思い出して下さい。 その時、既に少し触られている事に体は気付いていたはずです。 そう、思い出して下さい。 貴方はわたくしに触れられていた。 その感触が、まだ残っている。 時とともに鮮明に、感触がお腹に宿って来ますよね。 もう一度、手の平に意識を戻して見て下さい。 どうですか? 手の平に、わたくしの感触を感じていますよね? それは錯覚じゃありませんよ。 意識が、体に影響を与えている。 心が、わたくしと触れ合っているんです。 貴方の意識は既に、わたくしに触れているんです。 後は、体にそれを起こせば良い。 この世界は、貴方の思い通りになるのですから。 貴方の意識に伝わった事は、体にも伝わります。 そう、わたくしが触れば、意識下の出来事が体にちゃんと伝わる。 答えてくれるんです。 ん……。うふふ、逆にわたくしも感じてしまうんですけれどね。 そう、こうやって貴方に強く触れれば、わたくしにも影響があります。 わたくしも、気持ち良くなる。 例えば、こうやって貴方の胸板にわたくしの胸を押し付けたり……。 お腹の上にお腹を擦り付けたりすれば、わたくしも気持ち良い……。 貴方の気持ち良さを通して、わたくしも気持ち良い。 貴方がわたくしの奉仕を受け入れて気持ち良くなる。 そうすると、同じような気持ちになるんです。 ですから、思う存分、感じてくださいね。 そうする事で、わたくしも貴方と同じ快感を味わう事が出来ますわ。 貴方の感じる快楽は、わたくしの快楽でもある。 こうして肌を擦り付け合う事で快楽を共有出来るのと同じ。暖かさと感触の味は、いかがですか?