前戯
右腕に集中して下さい。
そう、右腕の手の平の部分に。
貴方の右腕の手のひらに、今わたくしの手があります。
そこに意識を集中して下さいね。
意識すると、ピリピリとして何かを、そこに感じませんか?
感じない? それとも感じている?
……大丈夫、すぐに感じる必要はありませんよ。
すぐ感じなくても、少しずつ意識を高めれば気付きますわ。
わたくしが特にその部分を念入りに触れているって。
抱きしめ合っている暖かさを感じれば、貴方はすぐに気付きます……。
暖かさと同時に、感触が、確かにある事を。
それに、少し前の貴方はその片鱗を味わっています。
先ほど、わたくしの手が、貴方のお腹を撫で回した時のことを思い出して下さい。
その時、既に少し触られている事に体は気付いていたはずです。
そう、思い出して下さい。
貴方はわたくしに触れられていた。
その感触が、まだ残っている。
時とともに鮮明に、感触がお腹に宿って来ますよね。
もう一度、手の平に意識を戻して見て下さい。
どうですか?
手の平に、わたくしの感触を感じていますよね?
それは錯覚じゃありませんよ。
意識が、体に影響を与えている。
心が、わたくしと触れ合っているんです。
貴方の意識は既に、わたくしに触れているんです。
後は、体にそれを起こせば良い。
この世界は、貴方の思い通りになるのですから。
貴方の意識に伝わった事は、体にも伝わります。
そう、わたくしが触れば、意識下の出来事が体にちゃんと伝わる。
答えてくれるんです。
ん……。うふふ、逆にわたくしも感じてしまうんですけれどね。
そう、こうやって貴方に強く触れれば、わたくしにも影響があります。
わたくしも、気持ち良くなる。
例えば、こうやって貴方の胸板にわたくしの胸を押し付けたり……。
お腹の上にお腹を擦り付けたりすれば、わたくしも気持ち良い……。
貴方の気持ち良さを通して、わたくしも気持ち良い。
貴方がわたくしの奉仕を受け入れて気持ち良くなる。
そうすると、同じような気持ちになるんです。
ですから、思う存分、感じてくださいね。
そうする事で、わたくしも貴方と同じ快感を味わう事が出来ますわ。
貴方の感じる快楽は、わたくしの快楽でもある。
こうして肌を擦り付け合う事で快楽を共有出来るのと同じ。暖かさと感触の味は、いかがですか?