部屋の中
おかえりなさい。102号室、雪江のお部屋にようこそ。
うふふ、お待ちしていました。
ここからは、私と貴方、二人だけの空間です。優しい、夢の世界で、癒されましょう?
ほら、お部屋の奥へどうぞ。遠慮なさらずに。
それに、扉が開けっ放しだと、少し寒いですわ。わたくし、今下着姿なんですから。
はい、どうぞ。そこに座って下さい。
……ねえ、お名前はなんと言うのですか?
……そうですか。良い名前ですね。
よろしかったら、わたくしに、その苗字を貸して下さらないかしら。
ほら、わたくしの名前とくっつけて、呼んでみて下さい。
(4秒経過)
……うふふ♪ こうして呼ばれると、とても不思議な気持ちになります。
何だか、貴方のものになったかのよう……。とっても嬉しいです。
わたくし、今とってもドキドキしてます。
でも、貴方も、ドキドキしてるみたいですね。
だって、ここまで心臓の鼓動が伝わって来ますもの。
ほら、わたくしの手が貴方の胸を触っている。
こうして、胸のところを優しく、さわさわと……。
どんどん鼓動が高まってますね。
わたくしも、貴方と同じくらいドキドキしていますわ。
このドキドキは緊張?
それとも、わたくしのやっている事に感じてくれているのですか?
うふふ、固くならなくて良いんですよ。
……ねえ? 心臓の鼓動をよく聞きたいですから、お洋服を、脱いで下さらない?
それに、これから行う事にお洋服は必要ないのですし。
ほら、上着を脱ぎましょう?
……そう、バッと、脱いでください。
少し手間取るかもしれませんから、20秒ほどお待ちしますね。(20秒待つ)
もう、良いかしら? それじゃあ、ドキドキを感じさせて下さいね。最初はおへそ。そこからゆっくり上って行きますよ。
ほら、私の触っている所、ピリピリって感じませんか?
それが、わたくしの指の軌跡。おへその上、腹筋をなぞるように、這い上がっていく。
……(3秒経過)、うふふ、心臓の上。
ドクドクって、凄い。音が聞こえてきそうですよ。
上半身を脱いで、興奮していますのね?
それじゃあ次は、下半身を脱いでもらいましょう。
ほら、邪魔なズボンをズラして……そう、でも、まだ下着は脱ぎません。そっちは、後のお楽しみ。
同じベッドで、お互い下着姿で一緒に寝そべっていますよ。
こうして二人で同じベッドを共有していると、体温がどんどん上がって行きませんか?
ほら、体のあちこちがどんどん熱くなってくる。
お互いの体温が交じり合う。
体の熱が広がっていって、体を包み込むのを、感じるでしょう?
その暖かさが、わたくしが貴方の隣にいる証拠。
わたくしは、いつでも貴方の隣にいるんですよ。
心地よい、抱き合う気持ち良さ。
暖かさをそのまま感じて下さいね。
(10秒待つ)
……何も考えずに、聞いて下さい。
この世界では、ある事柄が強い影響力を持っています。
それは、物理的な事実の利用。
実際に起こっている事を利用して貴方に問いかけると、貴方の体は本当にそうだと信じ込む。
だから、ここからはソレを活用して気持ち良くして行きますわね。
貴方の体を通じて心を優しく慰撫してあげます。
さぁ、わたくしの声に身も心も委ねて下さい……。