Track 6

■6先...輩?眠れませんか?

【美由紀】...先輩?どこ、行かはるんですか...?そんな...ソファーで寝たら、また、疲れ、溜まっちゃいますよここで...お布団で、寝てください私のことは、気にせんで良いので...もう...先輩は、優しすぎますよ私のことばかり、気遣ってくれて...あの時だって、そうです雨の中、私のこと、おんぶしてくれて...あの後、風邪、引いちゃったんですよね...ほんま、先輩、全然変わってませんよ...私の中にある、思い出のまま...です...先輩...どうしても、ソファーで寝るつもりですかそうですか...じゃあ、私と一緒に...お布団で、横になりませんか?...だ、だっってしゃーないや、ないですか...先輩は、引く気ないですし...私だって、譲れないので...一緒に寝ちゃえば、解決...しますよねその...嫌じゃ、ないですよ。そんなん...当たり前やないですかやから...先輩、お布団...入りましょう【美由紀】先...輩?眠れませんか?ですよね...先輩でも、緊張...しちゃいますよね私も...同じですよいつもみたいに、胸が、ドキドキして...でも、身体は...震えてないんです先輩と...いっぱいお話して、マッサージ...ですけど...触れ合ったりもして...会えへんかった時間を埋めるように、先輩の側で...一番近くで、過ごせて...お祭りよりも、先輩とのこの時間は、掛け替えない、大事なものやって気づけたんですだから、このドキドキは...不安とかじゃなくて...そうじゃなくて... 21...まだ、言葉は見つかりませんけど...今、めっちゃ安心してるんです。緊張してんのに、安心やなんて...不思議、ですよね。おかしいって、思いますよねでも、全部...ほんまなんです...先輩のドキドキは、私と...同じもの、ですかねーーそうやったら良いなって、思っちゃいます......先輩?眠れへんのやったら、目を閉じて...ゆっくり、深呼吸してください先輩が寝付けはるように...優しく、頭、撫でますねあとは...羊を数えるのも、定番ですけど...効果、あるかもしれませんん...先輩よしよし...よしよしだんだん...眠くなっていきますよ意識は、鈴虫の鳴き声を子守歌に......雨音の中に紛れて...一緒に...なって...私の声も、融け込んでいきます...羊が、一匹......羊が......二匹羊が......三匹羊が...四匹羊が......五匹羊が......六匹羊が......七匹羊が......八匹羊が...九匹羊が.........十匹......ん......すぅ......すぅ......すぅ......んぅ......すぅ......すぅ............い。せ......ぱい眠っちゃい......ましたか......?ふふっ......寝顔、可愛い...あの......こんな時にしか、話せないんですけど... 22先輩が寝てはるのに、話しても...意味、ないのかもしれませんけど...それでも、話しておきたいことが、言葉にせなあかんことが、あるんです...実は、ですね......。先輩と、初めて出会った時のお話......初めて会った、っていえばあの時ですけど......私は、もうちょっと前から、先輩のこと、知っていたですよ...高校に入って、でも、あんまり友達が出来なくて......。私はよく、図書室で本借りてたんですそんな時、借りたいって思ってた本が、先に貸し出されてて......そんなことは、ありがちやと、思いますけど。それが、何回か続いたことがあったんです運悪いなぁって思って......ふと、借りてる人の名前を見たら......全部、同じ人でそれから私、ずっと......その人のことが、気になってたんです私と、同じ本を好きになる人がいるんやなぁって、どんな人なんかなぁって......ずっと、ずっと......その人のことを、考えてたんですその人が借りた本を、後になって、私も借りてみたりして......そしたら、めっちゃ面白い本で...お話...してみたいなぁって、思ったこともありますけど...その人は、男の子で...年上...やったんで...声とか、全然掛けれなくて...その人と私は、学校の図書室にある本でしか、繋がって、なかったんですそう思ってるのは、私だけ、なんですけどね...たぶん、すれ違うこともなく...卒業するんやなってその人が借りた、本のページを手繰りながら...そう思ってましたけど...帰り道で、私が足をくじいて...歩けへんくなってそんな時、でした。初めて、その人と......先輩と、出会ったのは...やっと...私の中にある、本のページが捲れるような...そんな気が、しました先輩......私と先輩は、今...何ページ目に、いるんでしょうかまだ、全然進んでへんのかな......それとも......なんて、こんなお話...面と向かっては、できないので......ごめんなさい、先輩。こんなこと言っても...全部、独り言やのに消えて、なくなってしまうのに...私...やっぱり、先輩が起きたら...ちゃんと、告白...しようと思います自分の、気持ち...先輩のことが......好き......っていう、気持ち 23......え?あれ?起き......てるって......あ、えっい、いつ、から......?さ、最初、から......あ、あの......それやったら、今の話も、全部......っう、ぁ、うぅぅ......せ、先輩......。こっち、向いてくれますか...?【美由紀】......近い、ですねこの距離やったら...私の言葉、絶対...届きますよね大好きです、先輩たぶん......ずっと前から、出会う前から、好きで...今は、先輩のことが大好きです...先輩も、ですか......?本当に......私の、こと............うぅ、ぐすっ......ご、ごめんなさい。私、泣くつもりじゃ......でも、う、嬉しくて、う、うぅ......先輩......せんぱぁい......っ好き、私も、大好きです......っうぅ......うぅ......あ......この音って、花火......?雨、いつの間にか、止んでたんですね......ぐすっ...先輩、ベランダに、行きません?もしかしたら、見えるかも...しれません【美由紀】ちょっと...肌寒いですね......花火、見えたら良いんですけど......あ...わぁ......綺麗、です... 24大きい花びらが、夜空に咲いてるみたいで............先輩ん......ちゅっ【美由紀】先輩のほっぺ...柔らかいですねふふ、花火に見惚れてるから、ですよ花火の方...見なくて良いんですか?なら、今度は......ん......ちゅぅ......はぁ...先輩の唇に、ファーストキス、しちゃいましたふふ......もう一回......ちゅっ、......もう、一回......ん、ちゅっ、ちゅぅ...ふふ...キス...先輩からも、ですか?じゃあ...この続きは、お部屋に戻ってから、しましょ。......夜風が冷たいので...その...私の身体...あっためてくれはったら、嬉しいです