【幽世の花屋敷】
(幽玄BGM)
ここは歴史のある街。
中心のターミナル駅から北へ歩くと辿り着く広大な森。
その森の中には、花に覆われる瀟洒(しょうしゃ)な屋敷があるという噂があった。
噂はさらにこう続く。
その屋敷の客になった者は、女主人に類稀(たぐいまれ)な癒しのおもてなしを受ける、と。
(BGM:終)
(森歩きBGM)
その噂を確かめようと、森に分け入った者は数知れず。
ほとんどが屋敷の影すら見つけることができなかった。
しかし、ごく、ごくごく稀にその噂が紛れも無い事実なのだと知ることができる者がいた。
(BGM:終)
(門扉開SE)
あら、
これはこれは…。
花達が騒ぐもので、もしやと思いましたが、
やはり、そうでしたか。
久しぶりの稀人(まれびと)様。
現世(うつしよ)と、幽世(かくりよ)の狭間(はざま)に建っておりますゆえ、
入口の森に認められねば、訪れることはできないのです。
こんな辺鄙な花屋敷に、ようこそいらっしゃいました。
何のことやら…わからない。
そんなお顔をしておりますね(笑)。
わかりやすく言いますと…貴方様は非常に運がよい、ということでしょうか(笑)。
ご挨拶が遅れました。
私、幽世の花屋敷の主、凜花と申します。
森より許され、我が屋敷の門をくぐったからには、稀人ではなく、紛れも無く、大事な客人(まろうど)。
おもてなしも無しでお帰り頂くわけには参りません。
平穏な日々の暮らしに少々退屈していた所…。
楽しい時間を過ごせそうで胸が高鳴ってしまいます。
今日という日が、貴方様にとって、人生最良の日になると予言いたしますわ。
(門扉閉SE)