Track 4

【幽世の癒し:耳かき(右)】

いよいよ、耳の穴へ移ります。 幾人もの客人様の耳穴を掃除してきた耳かきの出番になります。 形状や先の曲がりが自在に变化して、取りこぼしが一切ない花屋敷特製の耳かきです。 あまりの気持ちよさに眠ってしまう人も多く、病みつきになってしまう客人様もおりました。 それでは…、 (耳かき:侵入) 右の桃源郷へ分け入ります。 少しづつ、慎重に、まるで匍匐前進のように耳垢を求めて…、進みます。 ゆっくりと、慎重に、 かつ確かな手つきで、耳かきは侵入していきます。 優しく……、 ややもすれば、もどかしく…、 耳の穴の中を撫で進む。 耳の毛をかき分け、撫で進む。 そうして、無数に散らばる耳垢に接触…。 ファーストコンタクト。 耳垢を取りやすいようにさじの向きを巧みに変えながら、 すくう。 すくい上げます。 耳かきを中から、外へ。 外から、耳の中へ。 乗客を運ぶエレベーターのように滑らかに往復。 絶妙な力加減で繰り返します。 耳毛が擦れるのも、 耳垢が取れるのも、 すべてが…快感。 全部が…気持ちいい。 愛撫されているように…気持ちがいい。 (3分) 天にも昇る夢見心地。 (3分) あまりの気持ちよさに、 貴方様の口も自然に開いてしまいます。 (3分) へばりついている手強い大きな耳垢も…、 つついて、はがします。 つつけば、はがれます。 優しく、こつん。 こそばゆさが、耳から伝わる。 耳から、中枢神経、末梢神経を経て、手足の先まで伝わる。 こそばゆさが手足の先まで伝わる。 一回つつくごとに、手足の先まで伝わる。 大物取りが、もどかしくも気持ちいい刺激になる。 徐々にはがれる度に、 興奮曲線はぐんぐん急上昇。 はがれた瞬間、最高点に達します。 あまりにも強烈な刺激は快楽。 たまらずビクッと体が震えて…跳ねます。 そうして、はがれた大きく見事な耳垢を…、 ゆっくり抱え上げ……落とさないように…取り出します。 (取り出す) はい…。 取れました。 取り出してわかる、リアルな大きさ。 見事ですね…。 これほどのものが耳の中からなくなると、 音の通りも良くなって、開放感もなかなかでしょう。 頭まで軽くなったかもしれません。 大変、ようございます。 右の桃源郷はこれにて終わりになります。