Track 1

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【常世の国の海宮】

(BGM) (ナレーター調に) 常世(とこよ)。 それは、海の彼方にあるという国。 そこは、その昔ある釣り人が亀の背中に乗って訪れたという国。 日本書紀には、「蓬莱山(ほうらいさん)とは常世の国のことであり、不老不死の理想郷とされる世界である」。 と、記されている。 常世とは、誰もが憧れる理想郷。 空想上の、と言ってもいい理想郷。 (口語調に) ですが、 それは実在致します。 嘘ではございません。 今、この私の声を耳にしている貴方……。 そう、貴方様の事でございます。 本日は、貴方様を常世の国にお招きしたく参りました。 突然のことで、驚かれるのも無理はないと思います。 ですが、貴方様があまりにも、古き愛しき人と似ておりますもので…。 居ても立ってもいられず…こうして声をお掛けした次第でございます。 勿論、貴方様の都合がつけばで構わないのですが……いかがでしょう? ……。 …喜んで? そう言っていただけますか?! 嬉しい…っ。 私、久方ぶりに胸が熱くなりました……(しみじみ感じ入る)。 ありがとうございます。 本当にありがとうございます…っ。 では…、 その決心がお変わりになる前に…、 早速、お連れ致しますので、目をおつむりいただけますか? ……。 はい、結構です。 今から…私が「ひとつ」から、「とお」まで数を数えますが、耳元で「とお」と聞こえましたら、ふたたび、目をお開け下さい。 それでは、どうぞ、そのまま。 つむったままでお待ち下さいませ。 では、 (ゆっくり) ひい、ふう、みい、よお、いつ、むう、なな、やあ、ここのつ、(囁き)とお。 はい。 目を…ゆっくり、ゆ(溜め)っくり、お開け下さいませ。

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