【海宮の主:乙姫】
(BGM)
ようこそ、常世の国へ。
美しい珊瑚と魚に囲まれた絢爛豪華なこのお城が、私の暮らす海宮(かいぐう)でございます。
古き愛しき人は、竜宮城と呼びました…。
ともあれ…、
ようこそいらっしゃいました。
申し遅れましたが、 海宮の主(あるじ)、乙姫と申します。
今、乙姫と聞いて、
耳馴染みのあるお伽(とぎ)話を思い出されましたか?
絵にも描けない程美しい海のお城。
ひと目で心奪われる美しいお姫様。
食べきれないご馳走。
鯛やひらめの舞踊り。
全てが珍しく、おもしろく、月日の経つのも忘れてしまう。
そんなお話でござましたね。
そして、それはお伽話ではなく、現実にこうして存在するのでございます。
実際の竜宮城……海宮は……いかがでしょう?
夢を壊したりはしていませんでしょうか?
…え?
現実の乙姫が…綺麗? 美人すぎる?
(喜び&照れ)
まぁ…///
そんな…っ。
この私なんかに…もったいないお言葉…///
お上手なんですね。
お世辞でも嬉しいです。
ありがとうございます///
(照れてどもる)
と、とにかく、
夢を壊してないようで安心致しました。
それでですね。
数百年と続く海宮の歴史の中、
招いた客人(まろうど)様、迷い込んだ稀人(まれびと)様、
共にかなりの人数にのぼりますが、
最近は、お伽話にあるようなあからさまな「歓待」…というよりも、
心に染み入る「癒し」に喜ぶ方が多くなりました。
貴方様はあの方と似ておりますが、
「歓待」と「癒し」…どちらがお好みでございましょう?
…っ。
癒しと口に出した時の…目の輝き!
ふふ、なるほど…。
これも時代の流れなのでしょうか…。
わかりました。
癒やしを主眼としたおもてなしをさせていただきたく思います。
それでは、
まずは、海宮をご案内致しましょう。
常世の国でしか見られない美しき景色の数々は、目の保養に最適でございます。
どうぞ、隅々までご覧下さいませ。
(石畳:歩SE)
海宮に住んでいるのは若い女子(おなご)ばかりなのでございますが、
彼女たちにとって、貴方様のような男子(おのこ)のお姿を見るのは…何よりの悦びだったり致します。
ですので…、軽く、お手を振ってあげたりしますと…。
(さざめき)
あのように…(苦笑)。
普段は、慎み深い子達ばかりなのですが、
なにぶん…女子(おなご)ばかりの暮らしゆえ、
男子(おのこ)を見かけると、ああして舞い上がってしまうのでございます…(笑)。
ちなみに、迷い人のおもてなしは、彼女たちに一任しておりますが、
それが男子(おのこ)だった時の奪い合いたるや…、
その姿…その痴態は、とても、見せられたものではございません(苦笑)。
「みなさん、こちらの殿方は私の客人様です。
お分かりと思いますが、よろしくお願いしますね」
貴方様は私が招いた客人様、
私の断りなしに、話し掛けることは許しません。
貴方様は…私だけの男子(おのこ)なのでございます…///。