Track 2

【海宮の主:乙姫】

(BGM) ようこそ、常世の国へ。 美しい珊瑚と魚に囲まれた絢爛豪華なこのお城が、私の暮らす海宮(かいぐう)でございます。 古き愛しき人は、竜宮城と呼びました…。 ともあれ…、 ようこそいらっしゃいました。 申し遅れましたが、 海宮の主(あるじ)、乙姫と申します。 今、乙姫と聞いて、 耳馴染みのあるお伽(とぎ)話を思い出されましたか? 絵にも描けない程美しい海のお城。 ひと目で心奪われる美しいお姫様。 食べきれないご馳走。 鯛やひらめの舞踊り。 全てが珍しく、おもしろく、月日の経つのも忘れてしまう。 そんなお話でござましたね。 そして、それはお伽話ではなく、現実にこうして存在するのでございます。 実際の竜宮城……海宮は……いかがでしょう? 夢を壊したりはしていませんでしょうか? …え? 現実の乙姫が…綺麗? 美人すぎる? (喜び&照れ) まぁ…/// そんな…っ。 この私なんかに…もったいないお言葉…/// お上手なんですね。 お世辞でも嬉しいです。 ありがとうございます/// (照れてどもる) と、とにかく、 夢を壊してないようで安心致しました。 それでですね。 数百年と続く海宮の歴史の中、 招いた客人(まろうど)様、迷い込んだ稀人(まれびと)様、 共にかなりの人数にのぼりますが、 最近は、お伽話にあるようなあからさまな「歓待」…というよりも、 心に染み入る「癒し」に喜ぶ方が多くなりました。 貴方様はあの方と似ておりますが、 「歓待」と「癒し」…どちらがお好みでございましょう? …っ。 癒しと口に出した時の…目の輝き! ふふ、なるほど…。 これも時代の流れなのでしょうか…。 わかりました。 癒やしを主眼としたおもてなしをさせていただきたく思います。 それでは、 まずは、海宮をご案内致しましょう。 常世の国でしか見られない美しき景色の数々は、目の保養に最適でございます。 どうぞ、隅々までご覧下さいませ。 (石畳:歩SE) 海宮に住んでいるのは若い女子(おなご)ばかりなのでございますが、 彼女たちにとって、貴方様のような男子(おのこ)のお姿を見るのは…何よりの悦びだったり致します。 ですので…、軽く、お手を振ってあげたりしますと…。 (さざめき) あのように…(苦笑)。 普段は、慎み深い子達ばかりなのですが、 なにぶん…女子(おなご)ばかりの暮らしゆえ、 男子(おのこ)を見かけると、ああして舞い上がってしまうのでございます…(笑)。 ちなみに、迷い人のおもてなしは、彼女たちに一任しておりますが、 それが男子(おのこ)だった時の奪い合いたるや…、 その姿…その痴態は、とても、見せられたものではございません(苦笑)。 「みなさん、こちらの殿方は私の客人様です。 お分かりと思いますが、よろしくお願いしますね」 貴方様は私が招いた客人様、 私の断りなしに、話し掛けることは許しません。 貴方様は…私だけの男子(おのこ)なのでございます…///。