07_寝かしつけというのも中々に奥が深いものであるな……。(05:07)
「……ぐ、ぐぬぬ……し、舌と顎が筋肉痛なのじゃ……」
「それに……興が乗ってしまいとんと暫くぶりに分身の術も使ってしもうて……魔力も底を尽きかけているのであるぞ……』
「しかも……やはりお主は寝入っておらぬし……妾、一生の不覚なのじゃ……」
「……」
「……それにしても……お主は本当に寝入らぬな? 妾の寝かし付けにて眠らないというのは……余程のことのような気がしないでもないのじゃが……」
「妾、一応考えてはみるが……これ以上は寝かし付けの術を持たぬ気がするのじゃが……じゃが……」
「……ま、まあ、残りの魔力を使用してお主を睡眠状態にする程度であれば……出来ぬことは無いかもしれない気がしないでもないが……」
「……しかし、それは何とはなしに妾のプライドが許さぬ故、出来ればノーマルな感じの寝かし付けを……」
「……」
「……むっ? お主、何かあるというような感じじゃな? その顔、確実に何かあるというような顔付きじゃ」
「ほ、ほれほれ? いうてみい? ここまで来たのじゃ、お主の願望、余さず妾に吐露するのじゃ。魔力も少なくなっていてぐったりしている妾……今なら……お主の好き放題、じゃぞ……?」
「妾のような妙齢の女子を好き放題に出来るチャンスなぞ……なかなかないのじゃぞ……?」
「むふっ、むふふっ……そ、そうじゃそうじゃ♪ お主の好きなように……境内にたまに捨ててある薄き本のように妾を……」
「……」
「……な、なん……じゃと……?」
「妾を……抱っこして寝てみたい……じゃと……?」
「……か、構わぬが……妾を抱っこしただけで……お主は満足なのじゃろうかと……」
「……」
「……ま、まあ……お主がそういうのであれば妾は構わぬが……妾を抱っこしても暑苦しいだけかとー―」
「ふぁっ!? きゅ、急に抱っこされると……驚くではないか」
「……まったく……妾を抱っこしたいなぞ……お主は本当に変わった人間……じゃな……」
「……長いこと生きてきたが……妾を……抱っこして寝たいなぞ…………初めて……なの……じゃ……」
「まったく…………お主…………人間…………は…………」
「……まっ………たく…………おぬ…………し………」
「(寝落ち)」