シーン1プロローグ
ユリアーナ姫「きゃっ!」アンナ「姫様っ?」アンナ「どうぞお手を。逃亡続きでお疲れでしょう」ユリアーナ姫「ありがとう私の騎士。助かりました」アンナ「ああ、指先が冷たく......もしや呪いの影響では」アンナ「くっ、卑怯な手でユリアを蝕むなど。あの大臣どもめ」ユリアーナ姫「隷属の首輪に弱体化の効果はありませんよ、アン?これは単に、女性を奴隷化させるためのアイテムなのです。先ほどは躓きそうになりましたが、疲労無効の魔法のドレスのおかげであと1日ぐらいは歩き続けても大丈夫ですし」アンナ「な、なお悪いです!あ、あやつめ、偉そうに革命だの粛正だのと語っておきながら、全く下劣極まりないっ」ユリアーナ姫「まあまあ落ち着いて。解呪の鏡さえあれば外れるのですから......、あ、建物が見えてきたわ♡」アンナ「お、大きい。あれが魔具の館でしょうか?マジックアイテムが眠るという謎のダンジョン......」
ユリアーナ姫「恐らくは。人の気配はしないのに、何故か完璧に手入れされていて......伝承の通りです」アンナ「ならば、これより先は私独りで参ります。アンが鏡を持ち出しますから、姫様は外でお待ちください」ユリアーナ姫「まあ、だめよアン。危険だわ」アンナ「姫様の御身の為です」ユリアーナ姫「......私は、戦いには向きません。けれど回復魔法なら少しは使えるわ」ユリアーナ姫「なにより、私の『真実の目』がなくてはアイテムの鑑定ができないでしょう?」アンナ「真実の目......姫様の麗しい瞳に映った存在は、その真意を読み取られてしまう。確かに心強いお力ですが......」ユリアーナ姫「魔物のいる樹海より、アンの傍の方が安全です。それに一人だと不安なのです」アンナ「......ふぅ、致し方ありませんね。では姫様、中では私から離れないように。1年前の舞踏会のように、迷子になられては困りますからね」ユリアーナ姫「くすっ、子ども扱いなんてして。雰囲気が台無しじゃないですか」アンナ「はは、失礼。しかしアンが姫のおそばにいますから、ご安心を」