第二話 二人の朝はこうしてはじまる
あれからしばらく、朝は二人で運動するようになった
メイド「ふっ、はっ……ほれ、もっと腰入れろや……そんなんじゃ届かねーぜ……お、いいじゃねーか……もう一回やってみろ……(拳を受け止めて)よし、いい感じだ」
メイド「ふぅ、朝の運動はこんなもんにしようぜ……どうだ?とりあえず身体動かしてみるのもいいもんだろ」
主人公「……うん」
メイド「ふふっ、ご主人は筋がいいかもな……今日は天気がいいからこのままメシにしようぜ」
シートを敷いてバケットからおにぎりを取り出す
メイド「ほれ、おにぎりだ。それは鮭でそっちはおかか……あとこれエビピラフな」
メイド「いただきます」
メイド「お、いい食いっぷりだな……うまいか?」
主人公「うん」
メイド「ふふっ、そうか♪動くとうまいよな……それだけじゃねぇ、青い空、朝の清んだ空気……
何より一緒にメシを食うやつがいる……そんなことでいくらでも幸せな気分になれるもんだ……もちろん私の腕がいいのもあるがな」
メイド「ほれ、そんなにがっついて食うと詰まるぞ……お茶だ」
茶を注ぐ
メイド「くす、世話のかかるご主人様だぜ……私もメイドのし甲斐があるよ」
主人公「あ、ごめん」
メイド「ふぅ、嫌味じゃねぇよ……嬉しいんだ」
メイド「メイドっていうのは一人じゃできねーからな」
主人公「どうしてメイドさんしてるの?」
メイド「なんでメイドしてるかか?……そうだなぁ……まぁ好きだからかな……前も話したけど鍛えて丈夫になったはいいけどこんな性格になっちまったからな……オッサンが今度は花嫁修業をしてやるなんて言い出してよ……で、服を買って貰うことになったんだ」
メイド「んで、いくつか服を見せられたんだがよ……ヒラヒラした服ばっかで性に合わねぇんだこれが……で、そん中で一番動きやすそうだったからこいつにしたんだ」
メイド「オッサンあきれてたよ……でもな、メイド服を見てこれしかねぇって思ったんだ……恩返しできるってな」
メイド「育てて貰って、鍛えて貰って、私は何も返せてねぇ……だから今度は私が世話してやろうってな……最初は失敗ばかりだったが家事も一通りできるようになったし、料理もいい腕だろ?……でもなオッサンはいなくなっちまった」
主人公「……」
メイド「そんな顔すんな……だからご主人がいて私も嬉しいんだよ……私が受けた恩を困ってる誰かに返す……たぶんそれでいいんだ……オッサンもそう言うと思う」
主人公「……メイドさん」
メイド「だからなご主人、辛いとき、悲しいとき、困ったとき、いつでも言えよ……私が力になってやる……ただし甘やかさねぇがな」
主人公「うん」
メイド「うん、いい返事だ……はむ、そんじゃメシ食ったら仕事すっか……ご主人も自分のやるべきことを頑張れよ」?