第6話 メイドさんと月の夜 ※ダミヘ
耳かきでぐっすり眠った主人公だが深夜に目が覚める
するとヒロインはプールサイドで黄昏れていた
メイド「あ……ご主人……起きちまったのか?……せっかく耳かきで寝かしつけてやったのによ」
主人公「ごめん」
メイド「なんてな……私も寝つけなくてな……ひと泳ぎしようと思ったんだが……どうにもな……まぁご主人、座ってけよ……今夜もいい月だぜ……一緒に飲もうや……ラムネだがな」
主人公座る
メイド「じゃあ乾杯……あぁ、この水着か?……スク水っつーらしいぞ……こいつを着てるとなぜか
人魚化しないでも楽に泳げるんだ……まぁ最近じゃ中々手に入んないんだがな」
主人公「じゃあ、もうほとんど人と変わらないね」
メイド「そうだなぁー、私はもう「人」として生きて行くことも出来るだろうな……だがな、
どんなに強がっても心のどこかで考えちまうんだ……私は人魚だ……人じゃねぇ……きっとこの寂しさから逃げることなんてできないんだ」
主人公「……」
メイド「笑っていいぜ……さんざご主人に偉そうことを言っても……一皮剥けばこのザマさ……
まだまだ弱ぇよ私は……」
主人公「……それでいいんじゃないかな……前を向いて歩いていれば」
メイド「あ……弱さを認めて……それでも前を向いて歩けばそれでいい……私がご主人に言った言葉……そっくりそのまま返されちまったな……あはは」
メイド「昔、オッサンも私にそう言ってくれたっけ……オッサンの言葉が私の言葉になって……
そんで今度はご主人か……(しばし間)……なんか懐かしい気持ちだ……」
言葉をかみしめ頭の中で反芻するうちに泣けてきてしまったメイドさん
メイド「あ、あれ……悪ぃ……なんか目から出ちまう……なんだこれ……うっ……」
メイド「ご主人……自分でもわかってるんだ……だけどご主人にそう言われたらなんか止まんねぇんだ……なんでだろうな」
主人公「……きっと誰かに支えてほしかったんだよ」
メイド「そうかもな……ずっと辛かった……ぐすっ……寂しかった……私も誰かに……支えてほしかった……でもよ、認めたらもう立ち上がれねぇって……ぐすっ……」
抱きしめる主人公
メイド「すまねぇ、すまねぇご主人……ちっと泣く(しばしすすり泣く)」
メイド「なぁご主人、私は一人になってからこの屋敷から出たことがねぇ……怖かったんだ……
どうすりゃいいかわかんねぇまま閉じこもった……部屋から出てこなかったご主人と同じさ」
メイド「だけどな、ご主人と一緒に暮らすようになって……世話焼いて……なんだかな、ご主人を
勇気づけてると私も勇気が貰える気がしたんだ……ご主人に言ってた言葉は全部そっくりそのまま自分への言葉だった……情けねぇ……メイド失格だな……ごめんな」
主人公「それでもいいよ」
また抱きしめる 右or左で
メイド「……それでいいってまた慰められちまった……そうだな……私は弱ぇ……だが下だけは向かねぇ……ちゃんとご主人の顔をまっすぐ見れるメイドでいるからよ……ご主人も側にいてくれ」
主人公「うん」
メイド「うん、ありがとな……支えなきゃと思ってたご主人も強くなったもんだ……やっぱり男なんだな……正直……惚れちまいそうだ(ボソ)」
主人公「……」
メイド「なぁ……いつまでこうしてるんだ……さすがにもう魔法は溶けちまいそうだぜ……月?……
こんな素敵な人魚を捕まえてそんなもん見てやがったのか」
主人公「月がきれいだね」
メイド「月がきれいだね……って……あっ……ご主人、それ意味わかって言ってるのか?」
主人公「月が綺麗だね(ささやき)」
メイド「は、はうっ、ささやかなくていい……」
メイド「……(しばし間)……そうだな……ご主人とならずっとこうしていられる気がするよ……なぁ、今だけは甘えていいか」