■01・マスター登録
[ある日の夕方、主人公の家]
(リビングルーム・家に届いた大きな荷物を開封する主人公)
《起動音》
(丸まって眠っていたニーシャ、起き上がって主人公を見つめる)
【正面・近距離】
(定型文を読み上げている)(若干ナレーションっぽく)
ハローマスター、人型汎用コンピュータHP2023-A-248と申します。
この度はお買い上げ、誠にありがとうございました。
RDゼネラルより、感謝の意を表します。
HP2023シリーズは前世代機と比較して、より人間らしく、より多機能になりました。
これからの生活をより豊かにするお手伝いができること、心から幸せに思っております。
(/定型文を読み上げている)
……ふぅ。と、前置きはこのくらいにしておきましょう。
こんにちは、A-248です。
あなたがマスターですね。初めまして。これからよろしくお願いします。
(ぺこりとお辞儀)
それでは早速、所有者登録を行いましょう。
私の唇に、軽くキスをしてください。
(主「キス?」)
はい、そうです。キスです。ちゅーです。
それによってマスターのDNA情報が私に登録され、晴れて私はマスターのものとなるのです。
マスター以外の人にはなびきませんし、言うことも聞きません。
予め送られた説明書に記載されていたと思いますが、まさか読んでないんですか?
(主「軽くしか読んでなかったな」)
【正面・至近距離】
んふふ……、まあ、悪いようにはなりませんよ。
お買い上げ頂いた時点で契約は成立済みですし、登録された遺伝子情報は私、A-248のマスター認識のためにのみ使用されて、ブラックボックスに保存されます。
通信その他によって外部に漏洩することはございませんのでご安心ください。
「主「「なんか最初と雰囲気変わってない?」」
あ、口調の雰囲気が変わった件ですね。
先ほどのオープニングメッセージはHP2023シリーズ共通のものなので、私のAIが紡ぎ出した言葉ではありません。
今の、この言葉の方が本物ですよ。これからマスターと一緒に暮らす、A-248の言葉です。
さあ、マスター……目、瞑ってますので……
(優しくキスをする主人公)
【キス】
ん、んむ……
ん……優しいキスですね。
(主「これでいい?」)
【正面・至近距離】
はい、これにて所有者登録は完了です。
A-248、これからマスターのために一生懸命お仕事させて頂きますので、よろしくお願いします。
え?名前、ですか?
はい、名称変更は可能ですよ。
A-248はシリアルナンバーですので、もっと呼びやすい名前に変更して頂ければ、より愛着も湧くかと思われます。
はい、はい。なるほど……「ニーシャ」、ですか。
語呂合わせ、ですよね。248でニーシャ……
はい。気に入りました。それではA-248、改めニーシャを、どうぞよろしくお願いします。マスター。