Track 2

2.とても素敵なところです。

ここがヤマキタだよ。いやー、スタート地点だねぇ。戻ってきちゃったねぇ。懐かしい景色だなぁ。とっても素敵だよねぇ。でもやっぱり、なーんもないし、どことも変わらない。緑と青だ。あ、ほらそこ、下見て。水が流れてるでしょ。あっ。ちょっとー、走ると危ないよ。滑るから気をつけてねー。......やれやれ。おーおー。今日もずっと止まらないねぇ、水。見てて飽きないなぁこういうの。......お?へえ、口に入れるんだ。そうやるんだねー。どう?ココロ満たされるかな?え、......そっかー、残念。ま、そういうもんだよ。気にすんな気にすんな。いやいや、謝んないでよ。別にあんたは悪くないでしょうに。そーんなさー、へこへこ頭下げてさー、こっちが申し訳なくなるでしょー。ほら、次はゴハンってのを探そうか。それって、どういう存在なの?......ふんふん、......ん~?いまいちピンと来ないけど。でも、そんなにハッキリ分かるっていうなら、正解なのかな。早く行こ。たぶんそろそろ、空の色が変わっていく時間だから。そうなると、歩くのは大変だよ。うん。......へっ?あぇ?......ぉあっ、ありがとー。でもさー、あのさー、好きって言う時には、一言断ってもらっていいかな。でないとなんか、ちょっと、うん。あ、いや、そういうのじゃなくて。......ん?......あー、まあ、そりゃね、ここまで生きてきたわけですから、私も色んなひとに言ってもらってたけど。んー、あー、どうしよ。何と言うか、あんた以外のひとから言われたのは、あんまり満たされなかったんだ。だから、何度も何度も言ってもらってたの。でも、どうしてかな、あんたは一言で私を満たしてくれるね。不思議だねー。......私ってさ、自分と喋るだけなら、全然ココロ減らないんだ。だから、最後に好きをもらってから、どれくらい経ったか忘れたけど、でも、忘れるくらいの時間は終わらずにいられたんだよねー。それが今日はやばいよぉ。三回も満タンになったのにさぁ、あんたと話してると、どんどんどんどんなくなっていくんだ。あ、ひょっとして、......ああいや、何でもないよー。ゴハンだね、ゴハン。探さないとねー、うんうん。でもごめん、私それの心当たりがないからさ、一から探さないとだよ。それまで、あんたが持てばいいけど......ちょっと不安だなぁ。あんたがいなくなったら、私も終わりを危ぶむ立場になっちゃうし。こう見えて結構、焦ってるんだよ~?目的達成せずに終わりたくないもん。どうかな、ココロ減ってく感じする?なんかこう、ぐぁぁあ、って、意識が遠のいていくというか、まともに考えられなくなってくる感じ。早いひとだと、一日も持たないで終わっちゃうからさぁ。 ......平気そうだね?なんでだろう。もう結構、歩いたんだけどな。こんなにお話しても大丈夫っていうのは、ううん、分からないなぁ。相当タフなのか、それとも、ゴハン以外の何かが源なのかなぁ。んー、謎だ。謎だらけだねぇ、あんたは。......あ、ぁあ?うん、言っていいよ?......ん。はぁー、満たされるなぁ。何か悪いね。私ばっかり満たされて、あんたのは何一つ見つけられてないのに。あんたがいる限りは、私、長生きできそうだよ。こう見えて私、終わりたくないんだ。......そうは見えないでしょ?いやー、あはは、何と言うか、感情を出すの苦手っていうかさー。あんたはよく喋るよね。動きもなんか、素早いし。よくそれでココロが持つなぁ。ほーんと、珍しいねぇ、不思議だねぇ。ああ、いいのいいの。あんたといるとすぐに補給できちゃうからさ、そんな事より、自分の心配をしなってば。ね。まあ、大丈夫そうなら、ちょっと休憩挟もうか。一気に歩き過ぎたもんねぇ。ほらそこ、座れるところあるからさ、水でも眺めながら休もうよ。