Track 5

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5.えびちゃんがえびちゃんに。

ひゃー、なにこれ。なにこれ。でっかい水溜まりだ。......湖?っていうの?あんたは何も覚えてないくせに、いろんな事知ってんだねぇ。でもさぁ、木の実はなんか......よく分からなかったなぁ。んー。まあ、さっきも言ったけど、特になにも、......口の中に入って、飲み込んで、それだけだったね。やっぱり、そういうのは必要ないみたいだね、私達。やーやー、しっかし、かーなり歩いたねぇ。うーん、どうしてかな、足が......、ちょっと痛い......のかな?こんなに歩いたの、初めてだなぁ。歩き過ぎるとこうなるんだねぇ。初めて知ったよ。んで、この景色もなんか、初めてだよぉ。すごいなぁ、すごいなぁ。あんたって、私にいろーんな初めてをくれるねぇ。ほとんどが初めてだよねぇ。あんたといると、退屈しなくて済みそうだなぁって、いまさら思っちゃったよ。うん。......あんたはさぁ、私と一緒にいてさぁ、退屈とか......感じてない?あ、いや、ごめん、忘れてー。何でもないよー。......、何でもないったら。あーもー。本当あんたって......余計なところに食いついてくんだから。ったくもぉ。だってさー......私、これまで会ったひとたち......終わらせてきたから......。......終わってほしくない、とか、あんたに......そんな気持ち抱いてんの、すんごく馬鹿らしいでしょ?ね?笑っていいよ、あはははは、って。え......ぁ。そ、そっかー。ふーん。まあ、はい、そんなら、いいよ。うん。あー......うああ、何だろうなぁこれ。あー、......あー......!うーッ。しんどいなぁ。あんたの顔見てると、声聴いてると、しんどい。なにこれ。げっ。......なんで、近づくのさ。どうして近づいたの。何する気さ。......な、何か、言いなさいよ。こら。ちょ、あんたさ、もしかして......。私の反応見て、楽しんでんじゃないの。うわー、うわー、やめなよ、もう、そういうのさ、悪い奴だよ、やっぱり。よくない奴だよ。ねえ。ねえってば。ぎあッ!ちょッぉぁッ、ああッ、あ、なにッ、なになにッ、ひいいッ。あ、あんた、何してんの。何、それは。えと、どういう、どういうアレなの?私をどうするつもりッ?逃げないよ、私は逃げませんから、落ち着いてっ。ぁぁあ......なん、これ、すごい、ココロ、やっば、振り切れそう。てか、てか、振り切れるッ。おかしくなる。おかしくなるから、やめてッ。うッ......はあ、はあ......。おぉぉう、......な、なん......、なに......してくれちゃってんのさ......。いきなり、そんな、ねぇ、ちょっと。......う、うるさい、話を逸らさないでくれるかなぁ?な、何度も言うけど、あんた、本当に不思議だね。まあ、うん、慣れてきたけどね?今のは、......ちょっと、ちょっとだけ!びっくりしたけどさぁ。......ちょっとだよ。......ちょっとだから!何なのさ、その目はッ。あんた、どんどん私の事、舐めてきてるね~ッ?私、怒ると怖いんだよ~?今まで一度もさ、手出しできなかったからぁ。ここいらで一発、この迎ェ火の恐ろしさをぉ、その身に教えてあげようかなぁ~!ひああああッ!おッオォオッ ゙おッぉ......!! ゙おオッ!や、やだッ、やめてッ、これやめてッ、変になる、馬鹿になるッ、すみませんでしたッ、生意気なこと言って、すみませんでしたッ、だからッ、離れてッ......!......う、......ふーッ......ふーッ......。......う、ぅうう、あぁあ、やばい、やばいやばいやばい......バレた......、私の弱点、私も知らなかったのに、バレた......どうしよう、どうしよう......。 ......ハッ。あ、あぁ、いや、......こほん。いや、あんまり嫌じゃ......ないというか、むしろ、まあ、......イイ、というか。ねえあんた、すっごい顔ニコニコしてるよ。なんか、きらきら光って見えるし。ひょっとして、凄まじくココロ満たされてんじゃないの。......ふうー......。ちょっとねぇ、冷静に考えてみました。なんとなく分かってきたんだよ、あんたの事。あんたさ、最初に目覚めて、私と出会った瞬間から、ずーっと......ココロ、満たされっぱなしだったんだね。だから......終わらないんだ。やっぱり、あんたは......神様じゃなかったんだなぁ。そっかぁ。......嬉しいよ。変な言い方かもしれないけど、さ、神様じゃなくて、ありがとうね。ココロが減ったら終わる世界で、あんたみたいな、ひとのココロを一瞬で満たせるひととね、こうして巡り合えて、私はとってもラッキーだなって。うん。でさ、......今さっきのアレは、うん、私がなんか、変な事を言っちゃったから、あんた、気を利かせてくれたんでしょ?......それも、ありがと。......こんなにココロ満たされて、とっても......幸せって感じ、するなぁ。今まで、こんな事は一度もなかったのに。知らなかっただけなんだねぇ。やっぱり、知るってのは重要なんだなぁ。......あはははははははッ!ひひッ、ふふッ、ふぅうッ。ごめんごめん、なんか、おかしいなってさぁ。知れば知るほど、この世界を分かっていけるんだなぁ。分かった気になってるだけかな?どちらにせよ、こんな世界を創って、こんな私達を生んだ神様には、やっぱりひとつ文句言ってやらないとね。......最後まで、付き合ってもらうよ?ま、その、満たされっぱなしってのも......不公平だよねぇ。......、はい......これでおあいこ。ふへへ。自分からすると、案外大丈夫だった。......すっごい怖いけどね。あんた、身体おっきいね。カチカチするし、私と全然違うなぁ。触ってみて、初めて分かる事ってのもあるねぇ。木の実もそうだったし。あんたの身体も、そう。......あんたは、色々知ってるみたいだし、たくさん、教えてほしいな。見つけるのも、教え合うのも、......楽しかったりするから。たくさん、いっぱい、楽しい事......しようね。(終)

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