Track 1

Next Track Back

1.本は本棚に入れましょう

もしもし。こんばんは。今年の冬は寒いねえ......。って、去年も言った気がするけどさ。あはは。今ね、本を読んでるんだ。ノスタルジーを題材にした小説なんだけど。もうね、出てくる単語がさ、懐かしいったらなくて。お道具箱、算数ブロック、連絡帳......みたいな。小学生の頃に使ってたよね。算数ブロックはなんか、使った記憶ないけど......。でもこういう単語を見るだけで、ぽっと昔の記憶が蘇るの、不思議だよね。今こうして君とお話してる時間も、いつか懐かしいって思える時が来るのかな。......ふふ。そうだね。君が初めて声をかけてくれたあの時、懐かしいなぁ。何だったっけ。「あの、黒崎さん!」......だったかな?えー?どうしたのおー?慌てちゃって、君らしくないなぁ。確かそのあとは、「黒崎さん、好きです!」だよね。きゃー♪きゃー♪あははは。でも、私は......しどろもどろというか、ろくに何も言えなくて。結局、電話番号だけ教えて......逃げちゃったんだよね。でも、その、帰ってるときも、家に着いても、ずっとぼーっとしちゃって。頭の中が君の全てで満ち満ちになってさ、どうしても声が聴きたくなったの。......嬉しかったなぁ。まさか、まさかね、告白されるなんて......。夢にも思わない、を実体験しちゃったよ。もう、覚めない夢を見てるようで。あの日からずっと、ずううううっと君の事考えてるよ......。最近はね、私は君に出会う為に生まれてきたんだって思うようになったよ。......、......君も?えへ。えへへへへ。ありがと。ふたりでそう思ってるなら、きっと真実だね。......ああ、そうそう。本の話に戻るんだけど。唐突ですが、君を叱らないといけない事があるんだよね。......教えてほしい?仕方ないなぁ。......君さ......。ベッドの下は本棚じゃないんだよ......?んー?何だか今日の君は落ち着かないねぇ。やましい事でもあるのかな?言わせてもらうよ。......スケベ、変態!独り暮らしであんなところに本を隠すって事は、つまりそれはさ、私に見つからないようにしてるんでしょ?そうだよね?ねー?どうしてあんな本持ってるの?どうしてあんなもの読んでるの?私は?私じゃダメなの?私じゃ足りない?足りませんか?ねえ。今度からライター持っていくね。見つけたらすぐ燃やすからね。いいよね。......うふふ♪とまあ、あの時思った事を言ってみました。怖かった?うん、でもね、君も男の子だもん。仕方ないよ、うん。仕方ない、仕方ない......。......。......ああいうのが好きなの?言ってくれれば私、頑張るよ......?か、身体はもう、どうしようもないけどさ......。それ以外なら......。ほら、君の家で色々アレした時、もうしないって言ったけど、でも、いつまでもそれじゃダメだと思うのですよ、あは。だってその、いつかは君と......こども......つくるんだし......。なッちょっ、こ、声がイヤらしいよ君!私は真面目な話をしてるんだよ!?もうッ、君は下品な事しか考えられないのかなぁ!怒るよ、ぷんすか!これはもう......愛のありがた~い説教が必要だね。君、今すぐそこで正座しなさいっ。し、な、さ、い!した?うん、いいでしょう。もう、君というひとは......今日という今日は考えを改めさせるからね。前々からそうだったけど、君はちょっと、スケベすぎます。いやその、私もね、嫌だとか気持ち悪いだとか、そういうのはないよ。まあ、君だからだけどさ。君以外だったら御免被るけどさ。でもでもでもでも、でーも!君はッ、何でもかんでも私をスケベに関連づけようとするよね!私だよ?黒崎愛だよ?そういう類いのアレとは何より縁遠いからね。地味でぼっちで......って自分で言うのもなんだけど、とにかく、こじつけもいいとこだよ。君の想像力のたくましさには感心......じゃなくて、呆れちゃうなぁ。 ......なにさ。無自覚スケベってなにさ!立場を弁えなさい!ぐぬぬぬ。爽やかな声で反抗するね、君......。こうなったら......。こほん。私、君の事......きらいになっちゃうぞ?アッいやいやいやうそうそうそだからうそうそ。すき。だいすき。なりません嫌いには。好き。千パーセント大好き。......う、うう、また君に負けちゃった......。からかい上手のマイダーリン......。しゅん......。ん......えへへ。慰めてくれるのやさしい――じゃなくてっ!もおおお。もおお、だよもお。牛になっちゃうよ。......もういいもん。スケベだからこその君......みたいなところあるし。でもでも、......そういう話はね、誰にも聞かれない時と場所でね......?私も......そういう、気分の時は......しちゃうから。はいおしまい!もう寝ます~。寝ちゃいます~。おやすみ~!

Next Track Back