Track 1

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1.疲れたね

.....もうこんな時間なんだ。......ふふ。毎度ながら、君と過ごすと、あっという間だね。ん......そうだねぇ。今日はたくさん歩いたなぁ。足がパンパンになっちゃった。あ、そうそう。君ってば、すーぐ息を切らしちゃってさ、運動不足だよー?......でも、ここまで連れてきてくれて、ありがとう。疲れたでしょ?よしよし......。君のおかげで私、色んな景色を見られて嬉しいよ。へへ。君とふたりで歩いてるとさ、カメラは必要ないんだなって思っちゃった。だって、歩いて見た景色が、頭の中にずっと残ってるもん。もうあれだね、私の目がシャッターみたいなものだね。えへへ。......とか言いつつも、スマホの中、今日の写真だけですごい量だ......。う。......それとこれとはね、話が別なのですよ。ほら、何と言うか、頭の中のアルバムと、空色スマホのアルバム、ダブルで幸せ......みたいなね。あっ出たその目!絶対バカにしてる!なにさ、なにさっ。うぅうう......もう知らないっ。おばかっ。む......、まーたそういう......、頭撫でたって無駄でーす。私は君のペットじゃないんだよ?そんなさ、やさしい手つきで撫でたって、私がふわふわになっちゃうわけ――えへへへへへ。............うるさいよ。君、少しお喋りが過ぎます。......こら、このタイミングで浴衣を褒めない。......嬉しいけどさ......!今日だけで二十三回目だよ、それ。まったく。......あれ?でも、ちょっと眠そうな顔してるね?ふふっ。ん?あ、......その、私はちょっと、えへへ......。君とふたりで旅行って夢が叶って、まだ興奮が収まらないっていうか。......あっ、違うよ、そういう意味じゃないよ。......ふふん。先に言っとかないと、どうせまた邪な発言しそうだから、釘をプッスンしとかないと。......めっ、だよ?うふふ。ほら、明日もたくさん色んなところ、行くんだから。ちゃーんと力を残しておかないと、ね?......うん、えらい。それじゃあ、そろそろ......うん。あ、私はたぶん寝つけないと思うので、先に寝てていい――ふぁ。ちょ、い、いま、ダメって言ったばっかりじゃんッ。だめだってば......。わ、私、こうされると断れないの知ってるでしょ......!......え、ぅぅ。......ありがと。ぅひぇッ。だ、だからさぁ、私の匂いの話はナシ!恥ずかしいからッ。いいよ事細かに説明しなくてっ。こ、こら、髪まで嗅がないッ。シャンプーかリンスの匂いだってば。そりゃいつもと匂い違うよっ。......うぅ、このぉ......。......ん......。もー......。......私も大好き。好きだよ。大好き。でもっ。ほら、もうおやすみしよ。ね?......えぇっ?もおっ、勝手に目冴えないでよっ。自業自得ですっ。......はあ。調子良いなぁ君は。仕方ない、......いつもの、やったげるね。ん、全然平気だよ?眠くないし、君にはたくさん休んでもらいたいもん。それに私、これするの好きだから......。ふふん、これでも読書家ですから。こうなるかもと思って、何冊か持ってきたし。えへへ、準備良いでしょ。あっ。電気は、常夜灯でいいかな?――うん。あと、ごめんね、枕元だけちょっと明るくするよ。ん、ありがと。はい。目を閉じて、ゆったりゆっくり、集中しなくて良いからさ、うん。よし。......今日はこれにしようかな......。それじゃあ、読みます。

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